デイサービスやデイケアで社会とのつながりを保つ
他者との交流で孤立を防ぐ
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
認知症の診断後、外出の機会が減り、社会とのつながりが失われがちです。デイサービスやデイケアを利用し、他者との交流を保つことが、孤立を防ぎ、表情や意欲の維持につながります。
体験談
父(81歳、アルツハイマー型認知症)は、診断を受けてから、外出する機会がめっきり減り、一日中家の中でテレビを見ているだけの生活が続いていました。以前は近所の人と挨拶を交わしたり、町内会の集まりに顔を出したりしていた父が、次第に口数も少なくなり、表情も乏しくなっていくのを見て、不安を感じていました。
ケアマネジャーさんに相談すると、「デイサービスを利用してみませんか。他の利用者さんやスタッフとの交流が、良い刺激になることが多いですよ」と勧められました。「知らない人ばかりの場所を、父が嫌がるのではないか」と心配しましたが、まずは体験利用から始めてみることにしました。
最初は緊張した様子だった父でしたが、通ううちに、同世代の利用者さんと将棋を指したり、レクリエーションに参加したりするようになり、帰宅後に「今日は〇〇さんと将棋をした」と、自分から話してくれる場面が増えていきました。
家の中だけで過ごしていたときには見られなかった表情や会話が戻ってきたことに、驚きと安堵を感じました。社会とのつながりを保つことが、これほど父の心に良い影響を与えるとは思っていませんでした。
— 81歳の父(アルツハイマー型認知症)を介護する53歳息子
詳しく知る
なぜ社会とのつながりが重要なのか
なぜ社会とのつながりが重要なのか
認知症の診断を受けると、本人も家族も、外出や人との交流に対して消極的になりがちです。しかし、他者との交流が減り、家の中だけで過ごす時間が長くなると、刺激の少ない生活が続き、意欲の低下や、認知機能・身体機能のさらなる低下を招くことがあります。
デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)は、どちらも同世代の人々との交流やレクリエーションを通じて、日常的に社会的な刺激を得られる場ですが、役割には違いがあります。デイサービスは入浴・食事などの生活支援やレクリエーションが中心で、デイケアは医師の指示のもと理学療法士・作業療法士などによる専門的なリハビリテーションが受けられる点が特徴です。本人の目的が身体機能の維持・回復にある場合は、デイケアの利用も選択肢に入れて検討するとよいでしょう。定期的に通うことで、生活リズムが整い、表情や会話の豊かさが保たれることも多く報告されています。具体的な工夫は下の実践のステップを参考にしてください。
💬 「知らない人ばかりの場所を嫌がるのではと心配していました」
💬 「知らない人ばかりの場所を嫌がるのではと心配していました」
介護経験者からのアドバイス
「父が新しい環境に馴染めるか、正直不安でした。でも、通ううちに、家では見られなかった表情や会話が戻ってきて、本当に驚きました。
社会とのつながりが、これほど本人の心に良い影響を与えるとは思っていませんでした。心配しすぎず、まずは体験してみることの大切さを実感しています。」
利用に消極的な場合の工夫
利用に消極的な場合の工夫
- 家族が一緒に見学に行き、雰囲気を確認してから決める
- 気の合いそうな利用者やスタッフがいる事業所を探す
- 最初は週1回など少ない頻度から始め、徐々に増やす
実践のステップ
本人が抵抗を感じる場合はまず体験利用から始める
将棋や園芸など本人の趣味や興味に合ったプログラムの事業所を選ぶ
『新しい友達に会いに行きましょう』など前向きな言葉で誘う
事業所での様子をスタッフや連絡帳で確認し家庭での関わりに活かす
最初の緊張や戸惑いを数回で判断せず慣れるまで見守る
注意点
体験利用をしても強い拒否や不安が続く場合、通所先での他者とのトラブルが頻繁に起こる場合、本人の状態に合った事業所が見つからない場合は、ケアマネジャーに相談し、別の事業所や訪問系サービスへの切り替えも含めて検討してください。
こんな場合は当てはまらないことも
体調不良や感染症の流行時期は、施設側の受け入れ基準により利用を断られたり、あえて利用を控えるべき場合があります。また、要介護度によって1ヶ月に利用できる回数には上限があり、他のサービスとの兼ね合いで希望通りの頻度を確保できないこともあります。他者との摩擦を繰り返す状態が続く場合は、集団でのケアそのものが今は合っていない可能性もあるため、訪問系サービスへの切り替えも視野に入れてください。
応用・バリエーション
集団活動が苦手な性格の場合は、少人数制のデイサービスや、個別対応が中心の事業所を優先的に検討しましょう。
まとめ
このヒントのポイント
外出機会の減少は意欲や機能低下を招くことがある
デイサービス・デイケアは社会的刺激を得られる場
本人の興味に合った事業所選びが継続の鍵
前向きな誘い方と慣れるまでの見守りが大切
強い拒否やトラブルが続く場合はケアマネジャーに相談する
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根拠について:社会的交流の維持が認知症のある方の意欲・心理的健康の維持に資するという考え方は認知症ケアの分野で広く支持されているが、効果には個人差があり、本人に合った形の見極めが重要である。