分類2|血管性認知症約5分で読めます
脳アミロイドアンギオパチーとは?
血管にアミロイドが溜まり出血しやすくなる
この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。
体験談・具体的な事例
森田純子さん(仮名・78歳)は突然「頭が痛い」と倒れ、救急車で病院に運ばれました。頭部CTで脳の表面(皮質・皮質下)に出血が確認されました。「血圧はそれほど高くないのに、なぜ脳出血が?」と夫の正雄さんは不思議に思いました。
MRIの特殊撮影(SWI)では、脳の表面のあちこちに小さな出血痕(マイクロブリード)が多数みられました。「脳アミロイドアンギオパチー(CAA)」という診断が告げられました。アルツハイマー病と同じアミロイドβというタンパクが脳の血管に溜まり、血管が脆くなって出血しやすくなっている状態でした。
退院後、純子さんには記憶の問題が残りました。「さっきのことを忘れる」「料理の手順がわからなくなった」。以前からあった物忘れが、出血を契機に一気に悪化した感じでした。
「抗凝固薬を処方したら、また出血するかもしれない」という医師の説明が正雄さんには衝撃でした。心房細動もあるので本来なら抗凝固薬を飲みたいところですが、CAAがある場合は判断が非常に難しいと言われました。治療方針を家族全員で話し合い、主治医と相談しながら、脳出血リスクを最小限にする方針を選びました。
広告
基礎知識の解説
脳アミロイドアンギオパチーとは
脳アミロイドアンギオパチー(CAA)は、脳の血管壁にアミロイドβが沈着し、血管が脆くなって脳出血を起こしやすくなる疾患です。主に高齢者(70歳以上)に多く、脳の表面に出血が起きやすいことが特徴です。アルツハイマー病との合併が多く、認知機能障害をもたらします。
主な症状
- 1繰り返す脳出血(特に脳表面・後頭葉に多い)
- 2一過性の神経症状(一時的な麻痺・感覚異常・視覚症状)
- 3認知機能低下(記憶・実行機能)
- 4歩行障害・バランス障害
- 5抑うつ・無関心
- 6てんかん発作
- 7くも膜下出血(表在性鉄沈着症)
原因・メカニズム
アミロイドβペプチドが脳の小〜中動脈の血管壁に沈着し、血管の弾性・強度が低下します。血管破綻による脳出血が繰り返され、さらに慢性的な血流障害も認知機能を低下させます。APOEε4遺伝子が最大の危険因子で、アルツハイマー病変との合併が多いです。
診断
MRIのSWI(磁化率強調画像)またはGRE画像で多発するマイクロブリードを確認します。「Boston基準」により、MRI所見と臨床情報から診断します。アミロイドPETで血管外のアミロイド蓄積を確認することもできます。確定診断は病理組織検査が必要です。
治療・ケア
根治療法はありません。脳出血リスクを増加させる抗凝固薬・抗血小板薬は慎重に判断します(心房細動合併例では特に難しい判断)。血圧管理が出血予防に重要です。転倒予防と頭部への衝撃を避けることが重要です。
予後・経過
繰り返す脳出血により認知機能が段階的に低下します。一回の大きな出血で一気に悪化することもあります。アルツハイマー病との合併例では認知症の進行が速い傾向があります。
この疾患の重要ポイント
- •高血圧がなくても脳出血を繰り返す高齢者はCAAを疑う
- •抗凝固薬・抗血小板薬が出血を招く危険——心房細動合併時の治療方針決定が難題
- •MRIのSWIで多発するマイクロブリードがCAAの特徴的所見
- •アルツハイマー病と深く関連——アミロイドβが血管にも蓄積する
- •転倒予防が最重要——頭部への衝撃が致命的な出血につながりうる
広告