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分類4代謝・内分泌・栄養の異常5分で読めます

甲状腺機能低下症とは?

治療で改善する可能性がある認知機能低下

この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

体験談・具体的な事例

佐々木幸子さん(仮名・67歳)は、「最近どうも頭が働かない」と感じていました。物事を考えるのに時間がかかり、会話の返事が遅くなった気がする。疲れやすく、寒がりになって、体重が増えました。 娘が「お母さん、もしかして認知症?」と心配して連れていったもの忘れ外来で、担当医が血液検査を行いました。甲状腺機能の検査で、TSH(甲状腺刺激ホルモン)が著明に上昇し、FT4(甲状腺ホルモン)が低下していました。「甲状腺機能低下症」でした。 「これは認知症ではなく、甲状腺ホルモンが足りないことが脳の働きを落としているんです」と担当医から説明を受け、甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン)の内服を開始しました。 3ヶ月後の受診で、幸子さんの変わりようは明らかでした。「頭がすっきりした」「以前の自分に戻った感じ」と笑顔で話しました。認知機能検査のスコアも大幅に改善していました。 「治る認知症があるって、知らなかった」と娘はほっとした様子で言いました。「認知症かもしれないと思ったら、まず血液検査を受けることが大切」と担当医が強調しました。

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基礎知識の解説

甲状腺機能低下症とは

甲状腺機能低下症による認知症様症状は、「治る認知症」の代表例の一つです。甲状腺ホルモンは脳の代謝・神経機能に不可欠で、不足すると記憶力低下・思考の遅さ・倦怠感などの認知症様症状が現れます。レボチロキシン(甲状腺ホルモン薬)の内服で多くの場合、症状が改善または完全に回復します。

主な症状

  • 1認知機能低下(記憶力・思考速度の低下)
  • 2倦怠感・易疲労感
  • 3寒がり(寒冷不耐症)
  • 4体重増加・浮腫
  • 5皮膚の乾燥・脱毛
  • 6便秘
  • 7動作・言語の緩慢化
  • 8抑うつ・無気力

原因・メカニズム

甲状腺ホルモン(T3・T4)は脳の代謝・神経伝達・髄鞘形成に必要です。自己免疫疾患(橋本病)・手術・放射線治療・薬剤などでホルモンが不足すると、脳全体の代謝が低下します。アセチルコリン系・ノルアドレナリン系の神経伝達が障害されることで、認知機能・感情・覚醒度が低下します。

診断

血液検査でTSH上昇・FT4低下を確認します(TSHが最も感度の高い検査)。認知症の評価では必ず甲状腺機能検査を含める(「治る認知症」の除外が必須)。抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体で橋本病を確認します。

治療・ケア

レボチロキシン(甲状腺ホルモン補充)の内服が標準治療です。適切な量のホルモン補充で多くの認知症様症状は改善します。高齢者や心疾患のある患者では少量から慎重に増量します。

予後・経過

適切な治療で認知症様症状は大幅に改善または完全回復することが多いです。ただし長期間放置した場合は一部の障害が残ることがあります。生涯にわたるホルモン補充が必要な場合が多いです。

この疾患の重要ポイント

  • 「認知症疑い」の患者には必ず甲状腺機能検査——治る認知症を見逃さない
  • TSH上昇・FT4低下というシンプルな血液検査で診断できる
  • レボチロキシンで「劇的な回復」が期待できる——早期発見・早期治療が鍵
  • 寒がり・体重増加・便秘・脱毛という全身症状が認知症様症状と並行して現れる
  • 「認知症ではなかった」という結果が患者・家族に安心をもたらす——血液検査の重要性
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