「なぜこんな症状が出るの?」「薬で改善できる?」という専門的な疑問を、医師が直接回答します。初回¥500〜。
多発梗塞性認知症の重要ポイント
「急に悪くなって、また少し落ち着く」という階段状の進行がMIDの最大の特徴
高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙の管理が最大の予防であり治療——再梗塞予防が鍵
Hachinski虚血スコア≥7で血管性認知症を強く示唆——アルツハイマー病との鑑別に活用
LDL-C 70mg/dL未満・血圧130/80 mmHg未満・抗血小板薬の3本柱が再梗塞予防の根幹
高齢者ではアルツハイマー病変との混合型が40〜50%——単純な鑑別は難しい
感情失禁(涙もろさ・笑いやすさ)は病気の症状——家族が戸惑わないよう説明が必要
毎朝の服薬管理が介護の中心——幸子さんのような家族の継続的な支援が予後を左右する
体験談・具体的な事例
基礎知識の解説
多発梗塞性認知症とは
多発梗塞性認知症(MID; Multi-Infarct Dementia)は、脳内の複数の部位に小さな梗塞(ラクナ梗塞)が繰り返し生じることで認知機能が低下する血管性認知症の代表的な型です。梗塞が起きるたびに「階段状」に認知機能が低下し、その間は比較的安定するパターンが特徴です。高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙などの生活習慣病が主な危険因子で、再梗塞予防が治療の根幹となります。
主な症状
- 1「階段状」の認知機能低下(梗塞のたびに段階的に悪化し、間は比較的安定)
- 2記憶障害(特に近時記憶——5分前の会話を忘れる)
- 3実行機能障害(段取りが立てられない・計画が難しい)
- 4歩行障害(小刻み歩行・すり足・転倒リスク増大)
- 5感情失禁(些細なことで涙が出たり突然笑ったりする)
- 6注意力・集中力の低下
- 7夜間の混乱・せん妄(梗塞直後に特に多い)
- 8尿失禁
- 9構音障害・嚥下障害(橋・延髄に梗塞が及んだ場合)
- 10焦燥感・抑うつ・無関心
症状の進行
梗塞の度に認知機能が段階的に悪化する(階段状進行)
「まだら認知症」:できることとできないことが混在
歩行の不安定さ・小股歩き
感情のコントロールが難しくなる(感情失禁)
日常生活全般に介助が増える
尿失禁が現れる
片側の手足に麻痺・しびれが残ることがある
新しい梗塞のたびに症状が悪化する
嚥下障害による誤嚥性肺炎
寝たきりに近い状態
コミュニケーションの著しい困難
新たな脳梗塞・脳出血の予防が重要課題
※ 進行速度・症状の現れ方は個人差が大きく、必ずしも順序通りに進むとは限りません。
原因・メカニズム
原因・メカニズム
高血圧・糖尿病・脂質異常症などにより脳の穿通枝(lenticulostriate arteries・視床穿通枝など)の血管壁が肥厚・硬化し、内腔が閉塞します。閉塞した先の脳組織に15mm未満の小梗塞(ラクナ梗塞)が生じ、基底核・視床・橋・放線冠などに集積するパターンが特徴的です。一回の梗塞は小さくとも、複数箇所に蓄積すると認知機能に著しい影響をもたらします。白質病変はFazekas分類(grade 0〜3)で評価され、grade 2以上で認知機能・歩行への影響が顕在化します。高齢者ではアルツハイマー病変(アミロイド・タウ)との合併(混合型認知症)が40〜50%以上の頻度で生じ、単純な鑑別が難しくなります。
診断
診断
MRIのFLAIR画像で多発するラクナ梗塞・大脳白質病変(Fazekas grade評価)を確認します。Hachinski虚血スコア(≥7で血管性認知症を強く示唆、≤4でアルツハイマー病を示唆)が鑑別の補助として用いられます。Roman(NINDS-AIREN)基準(1993)では「認知症の存在」「脳血管疾患の存在」「両者の時間的・解剖学的関連」の3条件が求められます。臨床的には「突然の発症または段階的な悪化」「神経局所症状・徴候」「脳血管疾患の危険因子の存在」が診断の鍵となります。神経心理検査では実行機能・注意・処理速度の低下が記憶障害より目立つ傾向があります。
治療・ケア
治療・ケア
再梗塞予防が最も重要な治療です。抗血小板薬(アスピリン100mg/日またはクロピドグレル75mg/日)を継続します。降圧目標は収縮期130 mmHg・拡張期80 mmHg未満(ARB・ACE阻害薬・Ca拮抗薬を使用)。脂質管理ではLDL-Cを70mg/dL未満(心血管イベント後の高リスク群)に保つためスタチン(アトルバスタチン・ロスバスタチンなど)を用います。糖尿病を合併する場合はHbA1c 7%未満を目標とします。認知症状に対してコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル5〜10mg/日)やメマンチンが一部の患者に有効とされます。リハビリテーション(歩行訓練・作業療法)が機能維持に有効で、デイサービスの活用が介護負担軽減にも役立ちます。
予後・経過
予後・経過
再梗塞を防ぐことで進行を止められる可能性がある点が、アルツハイマー病などの変性性認知症との大きな違いです。しかし一度失われた神経機能は完全には回復しません。心臓病(心筋梗塞・心不全)・誤嚥性肺炎・転倒・骨折が主な死亡原因です。危険因子の厳格な管理が長期予後を左右します。
多発梗塞性認知症の重要ポイント
「急に悪くなって、また少し落ち着く」という階段状の進行がMIDの最大の特徴
高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙の管理が最大の予防であり治療——再梗塞予防が鍵
Hachinski虚血スコア≥7で血管性認知症を強く示唆——アルツハイマー病との鑑別に活用
LDL-C 70mg/dL未満・血圧130/80 mmHg未満・抗血小板薬の3本柱が再梗塞予防の根幹
高齢者ではアルツハイマー病変との混合型が40〜50%——単純な鑑別は難しい
感情失禁(涙もろさ・笑いやすさ)は病気の症状——家族が戸惑わないよう説明が必要
毎朝の服薬管理が介護の中心——幸子さんのような家族の継続的な支援が予後を左右する
多発梗塞性認知症についてもっと詳しく相談したい方へ
多発梗塞性認知症に関するご疑問や、ご自身・ご家族の状況に合わせた相談を、認知症を専門とする医師に直接お聞きいただけます。
お試し相談 ¥1,000(初回1回限定)・48時間以内に医師が回答