体験談・具体的な事例
基礎知識の解説
サルコイドーシス(神経)とは
神経サルコイドーシスは、サルコイドーシス(非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫が全身に形成される原因不明の全身性炎症疾患)が中枢神経系・末梢神経系を侵した状態です。サルコイドーシス患者の5〜10%に見られ、顔面神経麻痺・頭痛・下垂体障害・認知機能障害・髄膜炎様症状などが現れます。
主な症状
- 1顔面神経麻痺(最も多い神経症状)
- 2頭痛・髄膜炎様症状
- 3脳神経麻痺(複視・聴力低下・嗅覚障害)
- 4認知機能低下(記憶・処理速度・注意)
- 5下垂体障害(尿崩症・下垂体機能低下)
- 6脊髄症・末梢神経障害
- 7てんかん発作
- 8精神症状(抑うつ・精神病様症状)
原因・メカニズム
非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫が脳・脊髄・髄膜・脳神経・末梢神経に形成されます。肉芽腫は直接の圧迫・浸潤のほか、血管炎・炎症性サイトカインを通じて神経機能を障害します。下垂体・視床下部への肉芽腫は内分泌障害を引き起こします。
診断
MRIで髄膜・脳実質・下垂体の造影増強病変を確認します。脳脊髄液でリンパ球増多・タンパク上昇・ACE(アンジオテンシン変換酵素)高値を確認します。血清ACE・リゾチーム・カルシウムの測定が補助的です。胸部CT・PETで肺病変・リンパ節腫脹を確認します。組織生検(肺・皮膚・リンパ節・脳)で肉芽腫を確認します。
治療・ケア
ステロイドが第一選択です(プレドニゾロン)。難治例にはメトトレキサート・アザチオプリン・インフリキシマブが使われます。下垂体機能低下はホルモン補充が必要です。長期のステロイド使用による副作用管理が重要です。
予後・経過
早期治療で多くの場合に改善しますが、再発・慢性化することがあります。脊髄・脳幹の重篤な病変は回復が限定的なことがあります。長期のフォローと再燃への対応が必要です。
サルコイドーシス(神経)の重要ポイント
「サルコイドーシス患者の顔面麻痺」は神経サルコイドーシスを強く疑う
MRIの「くも膜下腔・硬膜・下垂体の造影増強病変」が特徴的
サルコイドーシス全体の5〜10%に神経病変が出る——肺だけの病気ではない
血清・髄液ACEは感度・特異度が限定的——組織生検が確定診断に重要
ステロイドへの反応は比較的良好だが、長期管理が必要——副作用モニタリングを継続する