分類7|自己免疫・炎症性疾患約5分で読めます
サルコイドーシス(神経)とは?
肉芽腫が神経系に形成される全身性疾患
この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。
体験談・具体的な事例
加藤宏明さん(仮名・43歳)はサルコイドーシスと診断されて3年が経っていました。両肺門部リンパ節の腫脹と皮膚の結節が見つかり、ステロイドで経過観察中でした。
40歳のとき、突然顔が歪みました。右側の顔面神経麻痺でした。「ベル麻痺か?」と耳鼻科を受診しましたが、「サルコイドーシスの患者さんで顔面麻痺が出た場合は、神経サルコイドーシスを疑います」と担当医が神経内科へ紹介しました。
MRIで脳の髄膜・下垂体周辺に造影される病変が見つかりました。脳脊髄液検査でも炎症所見が確認されました。「神経サルコイドーシス」の診断でした。
ステロイドを増量した後、顔面麻痺は回復しました。しかし「頭がはっきりしない」という感覚は改善が遅く、神経心理検査では処理速度・記憶の軽度低下が確認されました。
「神経サルコイドーシスはサルコイドーシス全体の5〜10%に見られます。脳・脊髄・末梢神経のどこにでも病変が出ます」と主治医から説明を受けました。宏明さんは今も半年に一度のMRIで経過を観察しています。
広告
基礎知識の解説
サルコイドーシス(神経)とは
神経サルコイドーシスは、サルコイドーシス(非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫が全身に形成される原因不明の全身性炎症疾患)が中枢神経系・末梢神経系を侵した状態です。サルコイドーシス患者の5〜10%に見られ、顔面神経麻痺・頭痛・下垂体障害・認知機能障害・髄膜炎様症状などが現れます。
主な症状
- 1顔面神経麻痺(最も多い神経症状)
- 2頭痛・髄膜炎様症状
- 3脳神経麻痺(複視・聴力低下・嗅覚障害)
- 4認知機能低下(記憶・処理速度・注意)
- 5下垂体障害(尿崩症・下垂体機能低下)
- 6脊髄症・末梢神経障害
- 7てんかん発作
- 8精神症状(抑うつ・精神病様症状)
原因・メカニズム
非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫が脳・脊髄・髄膜・脳神経・末梢神経に形成されます。肉芽腫は直接の圧迫・浸潤のほか、血管炎・炎症性サイトカインを通じて神経機能を障害します。下垂体・視床下部への肉芽腫は内分泌障害を引き起こします。
診断
MRIで髄膜・脳実質・下垂体の造影増強病変を確認します。脳脊髄液でリンパ球増多・タンパク上昇・ACE(アンジオテンシン変換酵素)高値を確認します。血清ACE・リゾチーム・カルシウムの測定が補助的です。胸部CT・PETで肺病変・リンパ節腫脹を確認します。組織生検(肺・皮膚・リンパ節・脳)で肉芽腫を確認します。
治療・ケア
ステロイドが第一選択です(プレドニゾロン)。難治例にはメトトレキサート・アザチオプリン・インフリキシマブが使われます。下垂体機能低下はホルモン補充が必要です。長期のステロイド使用による副作用管理が重要です。
予後・経過
早期治療で多くの場合に改善しますが、再発・慢性化することがあります。脊髄・脳幹の重篤な病変は回復が限定的なことがあります。長期のフォローと再燃への対応が必要です。
この疾患の重要ポイント
- •「サルコイドーシス患者の顔面麻痺」は神経サルコイドーシスを強く疑う
- •MRIの「くも膜下腔・硬膜・下垂体の造影増強病変」が特徴的
- •サルコイドーシス全体の5〜10%に神経病変が出る——肺だけの病気ではない
- •血清・髄液ACEは感度・特異度が限定的——組織生検が確定診断に重要
- •ステロイドへの反応は比較的良好だが、長期管理が必要——副作用モニタリングを継続する
広告