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分類7自己免疫・炎症性疾患5分で読めます

脳血管炎とは?

脳の血管に炎症が起きる希少疾患

この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

体験談・具体的な事例

松下愛子さん(仮名・46歳)は半年間、繰り返す頭痛と「なんとなくおかしい」という感覚が続いていました。「片頭痛かな」と思っていたものの、普通の鎮痛薬では効かず、頭痛の間は思考がぼんやりする。 ある週末、右手のしびれが数時間続きました。「一過性脳虚血発作(TIA)かもしれない」と神経内科を受診すると、MRAで脳の小さな血管が節状に狭窄・拡張を繰り返す「数珠状」のパターンが確認されました。脳脊髄液検査でも軽度の炎症所見がありました。 「原発性中枢神経系血管炎(PACNS)」の疑いがあると言われました。「脳の血管そのものに炎症が起きている稀な疾患です。感染症・全身性膠原病・悪性腫瘍などの除外が必要です」と担当医は説明しました。 脳生検を行い、血管壁への炎症細胞浸潤が確認されて確定診断となりました。ステロイド大量療法とシクロホスファミドの併用治療が開始されました。 3ヶ月後、頭痛は消失し、認知機能も改善しました。「あの頭痛を「片頭痛」と思って放置していたら、脳梗塞が起きていたかもしれない」と愛子さんは振り返ります。

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基礎知識の解説

脳血管炎とは

脳血管炎(中枢神経系血管炎)は、脳・脊髄の血管壁に炎症が起きる疾患です。原発性中枢神経系血管炎(PACNS)は脳のみに限局した稀な疾患で、全身性自己免疫疾患(SLE・ベーチェット・結節性多発動脈炎など)が原因の二次性血管炎もあります。繰り返す頭痛・認知機能低下・脳梗塞様症状を呈し、免疫療法が有効です。

主な症状

  • 1慢性〜亜急性の頭痛(最多の症状)
  • 2認知機能低下(記憶・注意・実行機能)
  • 3一過性脳虚血発作・脳梗塞
  • 4精神症状(混乱・人格変化)
  • 5けいれん発作
  • 6局所神経症状(麻痺・感覚障害・失語)
  • 7意識障害

原因・メカニズム

脳の小〜中動脈の血管壁にリンパ球・マクロファージが浸潤し、肉芽腫性または非肉芽腫性の炎症が生じます。血管壁の炎症・壊死により管腔が狭窄または閉塞し、虚血性脳病変が生じます。PANCSの原因は不明ですが、感染・自己免疫・腫瘍との関連が研究されています。

診断

MRI・MRAで脳梗塞・白質病変・血管の節状狭窄(数珠状)を確認します。脳脊髄液検査で炎症所見を確認します。脳血管造影(DSA)が最も感度の高い画像検査です。確定診断は脳生検(血管壁への炎症細胞浸潤)が必要です。感染症・全身性自己免疫疾患の除外が必須です。

治療・ケア

ステロイド大量療法(プレドニゾロン)が第一選択です。重症例・難治例にはシクロホスファミドを併用します。早期治療で多くの場合に改善します。免疫抑制薬の長期維持が再発予防に必要です。

予後・経過

早期診断・早期治療で良好な予後が期待できます。治療が遅れると脳梗塞の蓄積により認知障害が進行します。再発リスクがあり、長期フォローが必要です。

この疾患の重要ポイント

  • 「若〜中年の原因不明の頭痛+認知機能低下」はPANCSを疑う
  • MRAの「数珠状の血管狭窄」がPANCSの特徴的な画像所見
  • 確定診断には脳生検が必要——invasiveだが治療に必要な情報が得られる
  • 「感染症・膠原病・腫瘍の除外」が診断プロセスの重要な部分
  • 早期免疫療法で改善が期待できる——診断の遅れが不可逆的な脳梗塞をもたらす
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