浴室を暖め、寒暖差をなくす
ヒートショック予防と快適性の向上
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
浴室を暖め、寒暖差をなくすことで、ヒートショックを予防し、快適な入浴ができます。
ケーススタディ
特別養護老人ホームで、冬場に入浴中の事故が増えていました。篠原節子さん(81歳)は入浴中に意識を失い、救急搬送されました。医師の診断は「ヒートショック」でした。
施設では入浴前に浴室と脱衣所を温める対策を徹底しました。暖房器具で室温を25度程度に保ち、湯温も41度以下に設定しました。また、入浴前に温かい飲み物を提供し、体を温めてから入浴してもらうようにしました。
この対策により、冬場の入浴事故はゼロになりました。利用者からも「寒くなくて気持ちいい」と好評です。
篠原節子さん(81歳) - アルツハイマー型認知症、特別養護老人ホーム入所中
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高齢者、特に認知症のある方は、急激な温度変化に弱く、ヒートショックのリスクが高くなります。
ヒートショックとは
ヒートショックとは
温かい部屋から寒い浴室・脱衣所に移動すると、血管が急激に収縮し、血圧が上昇します。その後、温かい湯に浸かると血管が拡張し、血圧が急降下します。この急激な血圧変動により、心筋梗塞や脳梗塞、失神などが起こることがあります。
なぜ認知症があると特に弱くなるのか
なぜ認知症があると特に弱くなるのか
理由は大きく2つあります。1つ目は、血圧を自動で調整する自律神経の働きが認知症では低下しやすいことです。本来、寒い場所では血管を収縮させ、熱い湯に浸かれば血管を拡張させるという調整が瞬時に働きますが、この反射が鈍くなると温度変化に体が追いつかず、血圧の乱高下がより大きくなります。2つ目は、「のぼせてきた」「気分が悪い」といった体調の変化を自覚したり言葉で伝えたりする力が低下しやすいことです。健常な方なら異変を感じてすぐ湯船を出られますが、認知症があると危険な状態のまま入浴を続けてしまうことがあります。認知症の種類によっても傾向が異なり、レビー小体型認知症は自律神経障害そのものが中核症状として現れやすく、アルツハイマー型認知症では状況判断力の低下が加わりやすいとされています。具体的な予防策は、下の実践のステップを参考にしてください。
実践のステップ
入浴前に浴室と脱衣所を暖房で温める
室温を25度程度に保つ
湯温は38〜41度に設定する
足元から徐々にかけ湯をする
いきなり湯に浸からず、体を慣らす
入浴時間は10分程度に
入浴前後に水分を摂る
注意点
心臓病や高血圧のある方は、特に注意が必要です。医師に入浴方法を相談しましょう。また、一人での入浴は避け、必ず見守りや介助を行ってください。
こんな場合は当てはまらないことも
室温・湯温を整えても意識消失やふらつきを繰り返す場合は、環境調整だけで様子を見ず、循環器科・かかりつけ医に相談してください。降圧薬や睡眠薬を服用している方は薬剤の影響で血圧変動が起こりやすいため、自己判断で入浴方法を変えず主治医に確認しましょう。
応用・バリエーション
冬場は、入浴前に温かい飲み物を飲んでもらうと、体が温まり、寒暖差が少なくなります。
まとめ
このヒントのポイント
ヒートショックのリスクが高い
認知症では血圧を調整する自律神経の反射が鈍くなりやすい
体調の変化を自覚・伝達する力の低下も一因
浴室・脱衣所を暖める
湯温は41度以下
かけ湯で徐々に体を温める
入浴時間は短く
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根拠について:ヒートショックによる血圧変動と入浴中の事故リスクは消費者庁・医療機関から繰り返し注意喚起されている、広く知られた知見。室温25度・湯温41度以下という数値は複数の高齢者向けガイドで共通して示される目安だが、個人差があり、持病がある場合は主治医の指示を優先してください。認知症における自律神経機能低下は、疾患の種類によって程度が異なることが研究で報告されているが、個々の患者への当てはめは医師の評価が必要。