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👔着替え・身だしなみ•2分で読める医師査読済 · 2026年8月25日

着替えやすい服を選ぶ(前開き、ゴム等)

自立を支援する衣類の工夫

Yuya Kobayashi, MD, PhD

医療監修

Yuya Kobayashi, MD, PhD

認知症専門外来・在宅診療医

着替えやすい服(前開き、マジックテープ、ゴムウエストなど)を選ぶことで、自立を支援できます。

体験談

母は認知症が進んでから、ボタンやファスナーの服を嫌がるようになりました。着替えに時間がかかり、イライラして途中で諦めてしまうこともありました。

ケアマネージャーさんのアドバイスで、前開きでマジックテープやスナップボタンの服、ゴムウエストのズボンに変えました。すると、母は自分一人でスムーズに着替えられるようになり、「一人でできた」と自信を取り戻しました。

服選びの工夫で、母の自立を支援できたことが嬉しかったです。

— 80歳の母(アルツハイマー型認知症)を在宅介護する55歳の娘

詳しく知る

認知症が進行すると、手指の細かい動作(巧緻性)が低下し、ボタンやファスナーの操作が難しくなります。また、着替えの手順を忘れてしまうこともあります。

これは筋力の低下が主な原因ではありません。アルツハイマー型認知症では、動作の手順を計画・実行する働きを担う頭頂葉(特に角回を含む領域)に病変が及びやすく、「失行(しっこう)」と呼ばれる状態が起こります。手や指の力・感覚は保たれているのに、「ボタンをつまむ→穴に合わせる→押し通す」という一連の動作の組み立てがうまくいかなくなるのです。ボタンと穴の位置関係をとらえる視空間認知の障害や、複数の手順を順序立てて進める実行機能の低下も同時に関わります。

前開きやマジックテープ、ゴムウエストなど、着脱の負担を減らす服にはいくつかの共通した特徴があります。具体的な特徴は下の実践のステップを参考にしてください。

服の選び方一つで「できないこと」が「できること」に変わる場合があります。本人の自尊心を守るためにも、着替えやすさを意識した服選びを検討してみてください。

実践のステップ

  1. 前開きの服を選ぶ

  2. ボタンをマジックテープやスナップボタンに変更

  3. ゴムウエストのズボンやスカートを用意

  4. 伸縮性のある素材を選ぶ

  5. ゆったりしたサイズを選ぶ

  6. 靴は脱ぎ履きしやすいスリッポンタイプに

  7. 介護用品店で専用の衣類を探す

注意点

ただし、本人の好みも大切です。着やすさだけでなく、本人が気に入るデザインや色も考慮しましょう。また、季節に合った素材を選び、体温調節に配慮してください。失行による着替えづらさと、関節の痛みや麻痺による着替えづらさは見分けが必要です。手を動かす際に痛がる様子や、左右どちらかの腕・手だけ動きが悪い場合は、失行ではなく身体的な原因の可能性があるため、服の工夫の前に医師に相談してください。

こんな場合は当てはまらないことも

着替えの拒否が急に強まった、関節を動かすと痛がる、皮膚に発赤やただれがある場合は、服の工夫よりも身体的な原因(関節炎、皮膚トラブル、麻痺の進行など)を先に確認してください。

応用・バリエーション

介護用品店では、見た目は普通の服でも、着脱しやすい工夫がされた衣類が販売されています。パジャマや下着なども、介護用のものを選ぶと便利です。

まとめ

関連するヒント

根拠について:着脱しやすい衣類の工夫は作業療法・介護技術の分野で広く用いられる実践知だが、個々の効果を検証した比較試験は少なく、経験に基づく推奨という位置づけ。失行のメカニズムについては、頭頂葉を中心とする「動作の計画」に関わる脳領域のタウ蛋白蓄積と失行の重症度が相関するという2024年の画像研究があるが、個人差が大きく研究が進行中の分野でもある。

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本記事は認知症専門外来・在宅診療医 Yuya Kobayashi, MD, PhD による監修・査読を経て公開しています。 査読日: 2026年8月25日

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最終更新日:

参考文献

  1. [1]Bischof GN, et al.. Cortical Tau Aggregation Patterns Associated With Apraxia in Patients With Alzheimer Disease. Neurology (2024)

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