好きだった料理や懐かしい味を取り入れる
長期記憶に訴えかけ、食欲を刺激する
ケーススタディ
グループホームで暮らすKさん(84歳、レビー小体型認知症)は、最近食欲が落ち、用意された食事にほとんど手をつけなくなりました。スタッフが心配して声をかけても、「いらない」と首を振るばかりでした。
スタッフは、Kさんの生活歴を確認し、京都出身で和食が好きだったことを知りました。そこで、ある日の昼食に、Kさんの地元の郷土料理「鯖寿司」を用意してみました。
すると、Kさんは食卓の鯖寿司を見た途端、「懐かしい!」と目を輝かせ、「母がよく作ってくれた」と話し始めました。そして、久しぶりに完食されたのです。
それ以降、スタッフは定期的にKさんの好物や懐かしい料理を取り入れるようにしました。Kさんの食欲は回復し、食事の時間を楽しみにされるようになりました。
Kさん(84歳) - レビー小体型認知症、京都出身、グループホーム入所中
好きだった料理や懐かしい味を取り入れることで、長期記憶が刺激され、食欲が湧くことがあります。
詳しく知る
認知症が進行しても、若い頃や子ども時代の記憶(長期記憶)は比較的長く保たれます。この特性を活用して、昔食べた懐かしい料理を提供することで、食欲を刺激できることがあります。
懐かしい味がもたらす効果:
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記憶の呼び起こし: 味や匂いは、強く記憶と結びついています。懐かしい料理を食べることで、幸せな記憶が蘇り、気分が良くなります。
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安心感: 馴染みのある味は、安心感を与えます。知らない料理よりも、食べることへの抵抗が少なくなります。
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会話のきっかけ: 「これ、昔よく食べたわ」という会話が生まれ、コミュニケーションも活性化します。
懐かしい料理を知るためには、本人や家族から生活歴を聞き取ることが大切です。
- 出身地の郷土料理
- 子どもの頃によく食べた料理
- 好きだった食べ物
- 家庭の味(おふくろの味)
- お祝いの時に食べた料理
これらの情報を記録しておき、メニューに定期的に取り入れましょう。
実践のステップ
本人や家族に、好きだった料理や思い出の味を聞く
出身地の郷土料理を調べる
昔の食文化を理解する(その年代に人気だった料理など)
定期的に懐かしい料理をメニューに取り入れる
料理の匂いや見た目も記憶を刺激する要素として活用
食事中に「これ、昔食べましたか?」と話しかける
注意点
ただし、嚥下機能や咀嚼機能が低下している場合は、懐かしい料理をそのまま提供するのではなく、食べやすい形態に調整する必要があります。例えば、お寿司をペースト状にするなど、安全性を最優先にしましょう。
応用・バリエーション
季節の料理も記憶を刺激します。正月のお雑煮、節分の恵方巻き、桜の季節の桜餅など、季節感のある食事を提供することで、時間の感覚や季節の記憶が蘇ることがあります。
まとめ
長期記憶は比較的保たれている
懐かしい味が食欲を刺激する
生活歴から好きな料理を知る
郷土料理や家庭の味を取り入れる
安全性を考慮して形態を調整