生活リズムを整え、昼夜逆転を防ぐ
規則正しい生活で体内時計を調整
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
規則正しい生活リズムを作ることで、体内時計が整い、昼夜逆転を防げます。
体験談
父が認知症になってから、昼夜逆転がひどくなりました。夜中に起きて歩き回り、昼間は眠っている状態が続きました。私も夜眠れず、体調を崩してしまいました。
デイサービスのスタッフから「日中の活動を増やしてみては」とアドバイスを受けました。それからは、朝は必ず7時に起こし、散歩に連れ出し、デイサービスでも体操やレクリエーションに参加してもらいました。また、夕食は18時、就寝は21時と決めました。
1か月ほどで、父の生活リズムが整い、夜もぐっすり眠るようになりました。規則正しい生活の大切さを実感しました。
— 82歳の父(レビー小体型認知症)を在宅介護する55歳の息子
詳しく知る
認知症のある方は、脳の機能低下により体内時計が乱れやすく、昼夜逆転が起こりやすくなります。昼夜逆転は、本人の健康だけでなく、介護者の負担も増大させます。
体内時計を整えるには、起床・食事・就寝の時間を毎日一定に保ち、日中は活動的に過ごして体を疲れさせ、朝は日光を浴び、夜は照明を落として光のメリハリをつけることが基本になります。具体的な工夫は下の実践のステップを参考にしてください。
生活リズムが整うと、睡眠の質が向上し、昼夜逆転を防げます。
レビー小体型認知症の場合の補足:体内時計を司る脳の中枢(視交叉上核)にレビー小体の病理そのものが及ぶ可能性があると報告されており、認知機能低下の二次的な結果としてだけでなく、体内時計の機能自体が直接影響を受けている場合があると考えられています。この点から、他の認知症より昼夜のリズムが崩れやすいのではないかとする見方もありますが、まだ研究が進行中の分野であり、断定的な結論には至っていません。
また、レビー小体型認知症では「夜中に起きて歩き回る」昼夜逆転とは別に、レム睡眠行動障害(RBD)という現象が知られています。通常、夢を見るレム睡眠中は全身の筋肉が緩みますが、この病気ではその緩みが起こらず、夢の内容をそのまま体で演じてしまいます。大声を出す、手足を激しく振り回すといった様子があれば、生活リズムの乱れではなくRBDの可能性があり、対応の仕方が異なります。
実践のステップ
毎朝7時に起床させ、カーテンを開けて日光を浴びる
朝食、昼食、夕食の時間を決める(例: 7時、12時、18時)
日中は散歩や体操、デイサービスで活動
昼寝は30分以内にとどめる
夕方以降は静かに過ごす
就寝時間を決める(例: 21時)
夜は照明を暗くし、静かな環境を作る
注意点
急に生活リズムを変えると、かえって混乱することがあります。少しずつ調整していきましょう。また、昼夜逆転がひどい場合は、医師に相談し、睡眠薬などの使用も検討してください。大声を出す・手足を激しく振り回すなど、夢を体で演じているような様子がある場合はレム睡眠行動障害の可能性があり、生活リズムの調整だけでは対応できません。ベッド周りの安全確保(角のある家具を離す等)を優先し、早めに受診してください。また、レビー小体型認知症は抗精神病薬に対して重篤な過敏反応を起こしやすいため、薬物療法を相談する際は診断名を必ず医師に伝えてください。
こんな場合は当てはまらないことも
夜間の徘徊で転倒・外出のリスクが高い、興奮や大声を伴う、あるいは短期間に急に始まった昼夜逆転は、生活リズムの調整だけでは対応しきれないことがあります。安全確保を優先しつつ、医師に相談し薬物療法の必要性も含めて検討してください。
応用・バリエーション
光療法(高照度光療法)も、昼夜逆転の改善に効果的です。朝に明るい光を浴びることで、体内時計がリセットされます。
まとめ
このヒントのポイント
昼夜逆転は体内時計の乱れ
毎朝同じ時間に起床
日中は活動的に
食事・就寝時間を固定
光のメリハリをつける
レビー小体型認知症は体内時計の中枢自体に病理が及びやすい
レム睡眠行動障害(夢を体で演じる)は徘徊とは別の現象
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根拠について:規則正しい生活・日光を浴びること・日中の活動量確保が睡眠覚醒リズムを整えるという考え方は、時間生物学(体内時計)の知見に基づく一般的なアプローチ。個々の効果や必要な期間には個人差がある。レビー小体型認知症における視交叉上核への病理の関与・レム睡眠行動障害との関連は研究知見に基づくが、進行中の研究分野であり、個々の患者への当てはめは医師の評価が必要。