日中は活動的に過ごし、適度な疲労を
散歩や体操で夜の安眠を促進
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
日中の活動量が少ないと、体が十分に疲れず、夜間の不眠や昼夜逆転につながることがあります。散歩や体操など、日中に適度な運動を取り入れることが、夜の安眠を促す助けになります。
体験談
母(79歳、アルツハイマー型認知症)と同居し始めてから、母は日中ほとんどをリビングのソファでうとうとしながら過ごし、夜になると目が冴えて何度も起き出す、という生活が続いていました。夜中に何度も声をかけられる私自身も睡眠不足が続き、正直、限界を感じ始めていた時期がありました。
ケアマネジャーさんに相談すると、「日中の活動量が少ないと、体が疲れず、夜に眠くならないことがあります。散歩や簡単な体操を日課にしてみてはどうでしょう」と提案されました。
半信半疑で、毎日午前中に近所を15分ほど一緒に散歩する習慣を始めました。最初は母も乗り気ではありませんでしたが、日を追うごとに「今日はどこまで歩こうか」と自分から言うようになり、表情も明るくなっていきました。
散歩を始めて2週間ほど経った頃、母が夜中に目を覚ます回数が目に見えて減り、朝までぐっすり眠れる日が増えてきました。日中に体を動かすというシンプルな習慣が、これほど夜の眠りに影響するとは思っていませんでした。
— 79歳の母(アルツハイマー型認知症)を介護する51歳娘
詳しく知る
なぜ日中の活動が夜の睡眠に影響するのか
なぜ日中の活動が夜の睡眠に影響するのか
人の体には、日中に活動して疲労を蓄積し、夜にその疲労を回復するために眠るという自然なリズムがあります。しかし、認知症のある方は外出の機会が減り、日中を座ったまま、あるいはうとうとしながら過ごすことが増えがちです。
日中の活動量が少ないと、体が十分に疲れないため、夜になっても眠気が訪れにくくなります。また、日中のうたた寝が夜間の睡眠の質をさらに低下させ、昼夜逆転につながる悪循環が生まれることもあります。日中に適度な運動を取り入れることは、この悪循環を断ち切る有効な工夫の一つです。
日中の活動を取り入れる工夫
日中の活動を取り入れる工夫
1短時間の散歩を日課にする
毎日決まった時間に、無理のない距離を散歩する習慣をつけましょう。天候が悪い日は、室内を歩くだけでも効果が期待できます。
2座ったままできる体操を取り入れる
歩行が難しい場合は、椅子に座ったまま行える簡単なストレッチや体操を取り入れましょう。
3家事や趣味活動に関わってもらう
洗濯物をたたむ、野菜を洗うなど、本人が無理なくできる家事に参加してもらうことも、活動量を増やす一つの方法です。
4日光を浴びる時間を作る
屋外での活動は、体を動かすことに加えて、日光を浴びることで体内時計を整える効果も期待できます。
5デイサービスなどの活用も検討する
家庭内だけで活動量を確保するのが難しい場合は、デイサービスなどで体操やレクリエーションに参加する機会を取り入れることも有効です。
💬 「散歩がこんなに効くとは思いませんでした」
💬 「散歩がこんなに効くとは思いませんでした」
介護経験者からのアドバイス
「夜中に何度も起こされる生活が続いて、正直限界を感じていました。散歩を勧められたときは半信半疑でしたが、続けるうちに母の睡眠が目に見えて改善していきました。
特別なことをしたわけではなく、毎日少し歩くというシンプルな習慣だけで、これほど変わるとは思っていませんでした。私自身の睡眠時間も確保できるようになり、心身ともに助けられました。」
活動を取り入れる際の注意点
活動を取り入れる際の注意点
- 気温や天候に応じて、無理のない範囲で行う
- 転倒リスクがある場合は、付き添いや歩行補助具を使用する
- 疲れすぎるほどの活動は、かえって興奮や混乱につながることがあるため、本人の様子を見ながら調整する
こんな時は医療機関に相談
こんな時は医療機関に相談
- 日中の活動を増やしても、夜間の不眠が改善しない
- 昼夜逆転が著しく、生活リズムの立て直しが難しい
- 日中の活動時にも強い疲労感や意欲の低下が見られる
こうした場合は、生活習慣の工夫だけで対応せず、かかりつけ医に相談し、睡眠障害の背景に他の要因がないか確認してもらいましょう。
まとめ:日中の活動が、夜の眠りをつくる
まとめ:日中の活動が、夜の眠りをつくる
夜の不眠や昼夜逆転は、日中の活動量の少なさが一因になっていることがあります。散歩や体操など、無理のない範囲で日中の活動を増やす工夫が、夜の安眠を取り戻す助けになります。
実践のステップ
毎日決まった時間に無理のない距離の散歩を日課にする
歩行が難しい場合は座ったままできる体操を取り入れる
洗濯物をたたむなど無理なくできる家事に参加してもらう
屋外での活動を通じて日光を浴びる時間を作る
家庭内での活動量確保が難しい場合はデイサービスの活用を検討する
疲れすぎない範囲で活動量を本人の様子を見ながら調整する
注意点
日中の活動を増やしても夜間の不眠が改善しない場合、昼夜逆転が著しく生活リズムの立て直しが難しい場合、日中の活動時にも強い疲労感や意欲の低下が見られる場合は、生活習慣の工夫だけで対応せず、かかりつけ医に相談してください。
応用・バリエーション
外出が難しい体調の場合は、窓際で日光を浴びながら座って過ごす時間を作るだけでも、体内時計を整える一助になります。
まとめ
このヒントのポイント
日中の活動量が少ないと夜間の不眠や昼夜逆転につながることがある
散歩や体操など無理のない運動を日課にする
日光を浴びることは体内時計を整える助けになる
疲れすぎない範囲で本人の様子を見ながら調整する
改善しない場合や昼夜逆転が著しい場合は医療機関に相談する
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