昼寝は短時間(30分以内)にとどめる
長い昼寝は夜間睡眠の妨げに
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
「疲れているから」と昼寝を長時間させてしまうと、夜間の睡眠に悪影響を及ぼし、昼夜逆転につながることがあります。昼寝は30分程度を目安に切り上げる工夫が、夜の安眠を守るために重要です。
体験談
母(82歳、アルツハイマー型認知症)は、日中の疲れからか、昼食後にソファでうたた寝を始めると、そのまま夕方近くまで2〜3時間眠り続けてしまうことがよくありました。「疲れているんだから寝かせてあげよう」と、私も特に起こすことなく、好きなだけ眠らせていました。
しかし、そのしわ寄せは夜にやってきました。母は夜になっても目が冴え、なかなか寝つけず、私も就寝時間が遅くなる母に付き合わされる形で、お互いに睡眠不足が続いていました。
ケアマネジャーさんに相談すると、「昼寝が長すぎると、夜の睡眠に影響することがあります。30分程度を目安に、切り上げる工夫をしてみてください」とアドバイスされました。
それから、母が昼食後にうとうとし始めたら、タイマーを30分にセットし、時間になったら「お茶にしましょうか」と、優しく声をかけて起こすようにしました。最初は本人も「まだ眠いのに」と不満そうでしたが、続けるうちに夜の寝つきが目に見えて改善し、私自身の睡眠時間も確保できるようになりました。
— 82歳の母(アルツハイマー型認知症)を介護する54歳娘
詳しく知る
なぜ長い昼寝が夜の睡眠を妨げるのか
なぜ長い昼寝が夜の睡眠を妨げるのか
昼寝には、日中の眠気を解消し、活動性を保つという利点がありますが、長時間にわたる昼寝は、体内時計のリズムを乱し、夜間の睡眠に必要な「眠気の蓄積」を減らしてしまいます。その結果、夜になっても寝つけない、あるいは夜間の睡眠が浅くなるといった影響が生じ、昼夜逆転につながることがあります。
「疲れているから寝かせてあげよう」という配慮が、結果的に本人と介護者双方の夜の睡眠を犠牲にしてしまうことがあるため、昼寝の時間をある程度コントロールする視点が必要です。
昼寝を適切な長さにする工夫
昼寝を適切な長さにする工夫
1タイマーを使って時間を区切る
うたた寝を始めたら、30分程度のタイマーをセットし、時間になったら優しく声をかけて起こしましょう。
2昼寝の時間帯を決める
昼食後の早い時間帯(14時頃まで)に短時間の昼寝を済ませ、夕方以降の昼寝は避けるようにしましょう。
3起こすときの声かけを工夫する
「寝ないで」ではなく、「お茶にしましょうか」「お散歩に行きませんか」など、次の活動への自然な誘導を意識した声かけをしましょう。
4うたた寝しにくい環境を工夫する
日中は、ソファに横になりっぱなしにならないよう、椅子に座って過ごす時間を増やす、軽い活動を取り入れるなどの工夫も有効です。
5夜の睡眠状況を記録する
昼寝の時間と夜の睡眠状況を記録しておくと、本人に合った昼寝の長さやタイミングが見えてきます。
💬 「寝かせてあげることが優しさだと思っていました」
💬 「寝かせてあげることが優しさだと思っていました」
介護経験者からのアドバイス
「疲れている母を無理に起こすのは可哀想だと思い、好きなだけ寝かせていました。でも、それが夜の睡眠を犠牲にしていたんだと気づいて、考えを改めました。
30分で切り上げるようにしてからは、母の夜の寝つきが目に見えて良くなり、私自身の睡眠時間も確保できるようになりました。優しさの形を見直す必要があったんだと思います。」
起こす際の注意点
起こす際の注意点
- 急に大きな声で起こすと驚かせてしまうため、穏やかに声をかける
- すぐに起き上がれない場合は、無理に急かさず、少し時間をかけて起きてもらう
- 起きた後は、軽い活動や日光を浴びる機会を作り、覚醒を促す
こんな時は医療機関に相談
こんな時は医療機関に相談
- 昼寝を短くしても、夜間の不眠や昼夜逆転が改善しない
- 日中、昼寝以外の時間帯にも強い眠気が続く
- 睡眠のリズムが著しく崩れ、生活全体に影響が出ている
こうした場合は、生活習慣の工夫だけで対応せず、かかりつけ医に相談し、睡眠障害の背景に他の要因がないか確認してもらいましょう。
まとめ:昼寝は「短く、早めに」が基本
まとめ:昼寝は「短く、早めに」が基本
長時間の昼寝は、夜の睡眠を犠牲にし、昼夜逆転を招くことがあります。30分程度を目安に、昼寝を切り上げる工夫が、夜の安眠を守り、本人と介護者双方の生活リズムを整えることにつながります。
実践のステップ
うたた寝を始めたら30分程度のタイマーをセットする
昼寝は昼食後の早い時間帯(14時頃まで)に済ませ、夕方以降は避ける
起こすときは『お茶にしましょうか』など次の活動への自然な声かけをする
日中はソファに横になりっぱなしにならないよう軽い活動を取り入れる
昼寝の時間と夜の睡眠状況を記録し本人に合った長さを見つける
注意点
昼寝を短くしても夜間の不眠や昼夜逆転が改善しない場合、昼寝以外の時間帯にも強い眠気が続く場合、睡眠のリズムが著しく崩れ生活全体に影響が出ている場合は、生活習慣の工夫だけで対応せず、かかりつけ医に相談してください。
応用・バリエーション
夕方に眠気が強く出る場合は、その時間帯に軽い運動や日光を浴びる活動を入れることで、うたた寝を防ぎやすくなることがあります。
まとめ
このヒントのポイント
長時間の昼寝は夜の睡眠に必要な眠気を減らし昼夜逆転につながることがある
昼寝は30分程度、14時頃までを目安にする
起こすときは次の活動へ自然に誘導する声かけを心がける
昼寝と夜の睡眠状況を記録すると本人に合った調整がしやすい
改善しない場合や強い眠気が続く場合は医療機関に相談する
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