就寝前のリラックスタイムを作る
入浴、音楽、読書で心を落ち着かせる
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
慌ただしく就寝を促すと、かえって心が落ち着かず、寝つきが悪くなることがあります。就寝前に穏やかな時間(入浴、音楽、読書など)を設けることで、心身をリラックスさせ、スムーズな入眠を促すことができます。
体験談
祖母(84歳、アルツハイマー型認知症)は、夕食が終わるとすぐに「寝る」と言って布団に入りますが、しばらくすると目が冴えてしまい、また起き出してくることがよくありました。慌ただしく夕食の片付けをして、そのまま「はい、寝ましょう」と布団に押し込むような流れになっていたことに、後から気づきました。
ケアマネジャーさんに相談したところ、「就寝前に、心を落ち着かせる時間を作ってみてはどうでしょう」とアドバイスされました。それから、夕食の片付けが終わった後、慌ただしく寝室に向かうのをやめ、リビングで一緒にぬるめのお茶を飲みながら、祖母が好きな昭和の歌謡曲を小さな音量で流す時間を作るようにしました。
15分ほどそうして過ごした後、寝室に移動すると、祖母は以前よりも穏やかな様子で布団に入り、比較的スムーズに眠りにつくようになりました。慌ただしく「寝かせよう」とするのではなく、心を落ち着かせる時間を挟むことが、これほど入眠のしやすさに影響するとは思っていませんでした。
— 84歳の祖母(アルツハイマー型認知症)と同居する孫
詳しく知る
なぜ就寝前のリラックスタイムが大切なのか
なぜ就寝前のリラックスタイムが大切なのか
人は、興奮や緊張した状態から急に眠りに入ることは難しく、徐々に心身を落ち着けていく移行の時間が必要です。認知症のある方は、環境の変化や急かされる状況に敏感に反応しやすく、慌ただしく「さあ寝ましょう」と促されることが、かえって不安や緊張を生み、寝つきを悪くすることがあります。
就寝前に穏やかな時間を設けることは、心身を興奮状態から睡眠に適した落ち着いた状態へと移行させる助けになります。
リラックスタイムを作る工夫
リラックスタイムを作る工夫
1ぬるめのお風呂に入る
就寝の1〜2時間前に、ぬるめのお湯(38〜40度程度)でゆっくり入浴すると、体温が徐々に下がる過程で眠気を感じやすくなるとされています。熱すぎるお湯はかえって覚醒を促すことがあるため注意しましょう。
2好きな音楽を静かに流す
本人が若い頃に親しんだ音楽など、心地よく感じる音楽を小さな音量で流すことで、リラックス効果が期待できます。
3一緒に穏やかな会話をする
その日あった出来事や、昔の思い出話など、答えを急がない穏やかな会話の時間を持ちましょう。
4読み聞かせや簡単な読書
本人が好きな本や新聞をゆっくり読む、あるいは読み聞かせる時間を取り入れるのも一つの方法です。
5慌ただしい家事や刺激的な活動を就寝前に避ける
就寝直前まで慌ただしく動き回ったり、テレビで刺激の強い番組を見たりすることは避け、穏やかな時間の流れを意識しましょう。
💬 「慌ただしく寝かせようとしていました」
💬 「慌ただしく寝かせようとしていました」
介護経験者からのアドバイス
「夕食の片付けに追われて、『さあ寝る時間だから』と急かすように布団に促していました。でも、それが祖母を落ち着かなくさせていたのだと気づきました。
お茶を飲みながら好きな音楽を聴く、たった15分程度の時間を作るだけで、祖母の入眠の様子が明らかに変わりました。急かすことが逆効果だったと知り、反省しました。」
リラックスタイムを続けるコツ
リラックスタイムを続けるコツ
- 毎日同じ時間、同じ流れで行うことで、体が「そろそろ眠る時間」と認識しやすくなる
- 内容は本人の好みに合わせて柔軟に調整する
- 介護者自身も一緒に落ち着いた時間を過ごすことを意識する
こんな時は医療機関に相談
こんな時は医療機関に相談
- リラックスタイムを設けても、寝つきの悪さが改善しない
- 就寝前に強い不安や興奮が続く
- 夕方から夜にかけて症状が悪化する「夕暮れ症候群」が疑われる
こうした場合は、生活習慣の工夫だけで対応せず、かかりつけ医に相談してください。
まとめ:眠りは、心が落ち着いてから訪れる
まとめ:眠りは、心が落ち着いてから訪れる
慌ただしく就寝を促すのではなく、入浴や音楽、穏やかな会話などで心身をリラックスさせる時間を設けることが、スムーズな入眠につながります。急かすことをやめ、落ち着いた移行の時間を大切にしましょう。
実践のステップ
就寝の1〜2時間前にぬるめのお湯でゆっくり入浴する
本人が親しんだ音楽を小さな音量で流す
その日の出来事や昔の思い出話など穏やかな会話の時間を持つ
読み聞かせや簡単な読書の時間を取り入れる
就寝直前の慌ただしい家事や刺激的なテレビ番組を避ける
毎日同じ時間・同じ流れでリラックスタイムを続ける
注意点
リラックスタイムを設けても寝つきの悪さが改善しない場合、就寝前に強い不安や興奮が続く場合、夕方から夜にかけて症状が悪化する様子(夕暮れ症候群)が疑われる場合は、生活習慣の工夫だけで対応せず、かかりつけ医に相談してください。
応用・バリエーション
入浴が体力的に負担な場合は、足湯や蒸しタオルで手足を温めるだけでも一定のリラックス効果が期待できます。テレビよりラジオや音楽の方が刺激が少なく、リラックスタイムに適していることがあります。
まとめ
このヒントのポイント
慌ただしく就寝を促すとかえって寝つきが悪くなることがある
入浴・音楽・会話などで心身を落ち着かせる時間を作る
毎日同じ流れで行うと体が眠る時間を認識しやすくなる
就寝直前の刺激的な活動は避ける
改善しない場合や強い不安・興奮が続く場合は医療機関に相談する
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