清拭のあとは乾燥・保湿までがセット
皮膚トラブルを予防する清潔ケア
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
おむつの使用は、蒸れや排泄物の刺激により皮膚トラブルを起こしやすくします。清拭に加えて、しっかりとした乾燥と保湿を習慣にすることが、おむつかぶれなどの皮膚トラブルを防ぐ鍵になります。
体験談
祖母(86歳、アルツハイマー型認知症)がおむつを使うようになってしばらく経った頃、おむつ交換の際に、お尻の皮膚が赤くただれているのに気づきました。清拭は毎回きちんと行っていたつもりでしたが、拭いた後の水分が残ったまま、すぐにおむつを当ててしまっていたことが原因だったようです。
訪問看護師さんに見てもらうと、「清拭の後、しっかり乾燥させてから保湿クリームを塗ることが大切です。濡れたままおむつを当てると、蒸れて悪化しやすくなります」と教えられました。
それから、清拭の後はタオルで水分を丁寧に拭き取り、さらに数分待って自然乾燥させてから、保湿クリームを薄く塗るようにしました。また、2〜3時間ごとにおむつを交換し、長時間同じ状態で放置しないよう心がけました。
数日後には赤みが和らぎ、1週間ほどで皮膚の状態はほぼ元に戻りました。清拭さえしていれば大丈夫だと思い込んでいましたが、乾燥と保湿という一手間が、皮膚トラブルを防ぐ上でこれほど重要だとは知りませんでした。
— 86歳の祖母(アルツハイマー型認知症)のおむつ交換をする孫
詳しく知る
なぜおむつで皮膚トラブルが起こりやすいのか
なぜおむつで皮膚トラブルが起こりやすいのか
おむつの中は、尿や便による化学的な刺激に加えて、湿度が高く蒸れやすい環境になります。この状態が続くと、皮膚のバリア機能が低下し、赤み、ただれ、かゆみといった皮膚トラブル(おむつかぶれ)や、悪化すると褥瘡(床ずれ)につながることがあります。
清拭(拭き取り)だけでは、皮膚に水分が残ったままおむつを当ててしまい、かえって蒸れを悪化させることがあります。清潔・乾燥・保湿という3つの工程をセットで行うことが、皮膚トラブルの予防には欠かせません。具体的な手順は下の実践ステップを参考にしてください。
通気性も味方につける
通気性も味方につける
こまめな交換とスキンケアに加えて、可能なタイミングで短時間おむつを外し、皮膚を空気に触れさせることも蒸れを防ぐ助けになります。ただし安全面や見守りの観点から、無理のない範囲で行いましょう。
実践のステップ
排泄後は皮膚を強くこすらず優しく清拭する
清拭後、タオルで水分を拭き取り数分置いて自然乾燥させる
乾燥後、保湿クリームやオイルを薄く塗る
おむつやパッドは2〜3時間ごとを目安にこまめに交換する
交換のたびに赤み・ただれ・痛みがないか皮膚の状態を観察する
可能なタイミングで短時間おむつを外し皮膚を空気に触れさせる
注意点
すでに皮膚が赤くただれている場合、傷ができている場合、スキンケアを続けても改善しない・悪化している場合、発熱や強い痛みを伴う場合は、自己判断でクリームを塗り続けず、医師や看護師に相談してください。
こんな場合は当てはまらないことも
この清拭・乾燥・保湿のケアは、あくまで予防や軽度な段階への対応です。糖尿病や血流障害など皮膚の治癒力が低下する基礎疾患がある場合や、膿・強い臭い・熱感を伴う感染が疑われる場合は、保湿ケアだけでは対応しきれず、医療的な創傷処置が必要になることがあります。
応用・バリエーション
皮膚が特に敏感な場合は、低刺激性の製品や、洗浄成分の少ない清拭用ウェットシートを選びましょう。撥水性の保護クリームを使う際は、少量から試して肌に合うか確認することをおすすめします。
まとめ
このヒントのポイント
清拭だけでは水分が残り、かえって蒸れを悪化させることがある
乾燥と保湿は特別な技術ではなく、今日から追加できるひと手間
「毎回きちんと拭いている」つもりでも皮膚トラブルは起こり得る
早期発見の鍵は、交換のたびの皮膚観察を習慣にすること
関連するヒント
根拠について:清拭・乾燥・保湿を組み合わせたスキンケアがおむつ関連皮膚炎の予防に有効という考え方は褥瘡・スキンケアの分野で広く支持されているが、個々の皮膚状態に応じた製品選択には専門的な判断が有用である。