症状のことや介護の悩みを、認知症を専門とする医師に直接相談できます。初回500円・48時間以内に回答。
相談する体験談・具体的な事例
基礎知識の解説
遺伝性拡散性白質脳症(ALSP)とは
ALSP(Adult-onset Leukoencephalopathy with axonal Spheroids and Pigmented glia)は、CSF1R遺伝子変異によりミクログリアが機能不全となり、大脳白質に神経軸索スフェロイドと色素沈着グリアが形成される常染色体優性の白質変性疾患です。30〜50代に発症し、認知機能低下・てんかん・精神症状・運動障害が数年かけて進行します。MRIで大脳白質の広範な変性と脳梁菲薄化、CTで白質内石灰化が特徴的です。発症10年以内に重篤な障害に至ることが多く、造血幹細胞移植が初期例に有効とされる稀少神経変性疾患です。
主な症状
- 1認知機能低下(記憶・実行機能・処理速度の低下)
- 2てんかん発作(焦点性または全般性)
- 3精神症状(うつ・感情制御困難・精神病様症状)
- 4運動障害(痙性歩行・錐体路症状)
- 5パーキンソン様症状(動作緩慢・筋強剛)
- 6失語(語想起困難・理解障害)
- 7MRIでの大脳白質広範変性と脳梁菲薄化
- 8CTでの白質内石灰化(前頭葉優位)
- 9失禁・嚥下障害(進行期)
- 10急速な認知症への進行(数年単位)
原因・メカニズム
原因・メカニズム
CSF1R変異によりミクログリアのコロニー刺激因子1(CSF1)および IL-34 シグナル伝達が障害され、ミクログリアの生存・分化・機能維持が失われます。ミクログリアは脳の常在免疫細胞として白質ホメオスタシス・髄鞘の維持・軸索保護を担いますが、その機能不全により神経軸索にスフェロイド(直径5〜50μmの球状異常構造)が形成され、脂褐素を含む色素沈着グリアが蓄積します。これらの変化が白質の広範な変性・線維化を引き起こし、認知機能・運動機能の進行性低下をもたらします。常染色体優性遺伝のため、変異アレルが1つあるだけで発症します。
診断
診断
CSF1R遺伝子解析でヘテロ接合性病的変異を確認することで確定診断します(Konno T et al, 2018年診断基準)。MRIでは大脳白質のびまん性T2/FLAIR高信号と脳梁の菲薄化が特徴的であり、初期には前頭葉・頭頂葉白質に優位に見られます。頭部CTでは白質内の石灰化(前頭葉優位のびまん性または斑状)が確認されます。神経心理検査で前頭葉機能・処理速度の低下を評価します。家族歴(常染色体優性遺伝パターン:親・兄弟の若年認知症・白質疾患)の聴取が診断の重要な手がかりです。確定診断には専門施設(希少遺伝性神経疾患センター)への紹介が推奨されます。
治療・ケア
治療・ケア
根治療法は現時点では確立していません。疾患修飾的治療として、造血幹細胞移植(HSCT)が発症初期(症状が軽度で日常生活に大きな支障がない時期)に実施された場合に疾患の進行を遅らせる可能性があります。てんかん発作には抗てんかん薬(バルプロ酸・レベチラセタムなど)を使用します。精神症状(うつ・興奮)には向精神薬が対症的に用いられます。運動障害・嚥下障害にはリハビリテーション(理学療法・言語聴覚療法)が重要です。遺伝カウンセリングが患者本人と家族全員に必要です。遺伝子治療・ミクログリア移植などの根本的治療の研究が進行中です。
予後・経過
予後・経過
発症から6〜12年で重篤な障害(寝たきり・高度認知症)に至ることが多いです。進行速度には個人差があり、てんかん重積や肺炎などの合併症が予後を悪化させます。造血幹細胞移植を早期に実施した症例では進行抑制の効果が報告されていますが、長期予後の詳細なデータは蓄積中です。
遺伝性拡散性白質脳症(ALSP)の重要ポイント
「30〜50代の認知機能低下+てんかん+MRI白質変性+CT石灰化+家族歴」はALSPを疑う
CSF1R遺伝子解析が診断の決め手——希少遺伝性神経疾患専門施設への紹介を早期に
常染色体優性遺伝で子への遺伝確率50%——遺伝カウンセリングを家族全員に提供する
造血幹細胞移植は発症初期のみ有効——早期診断が治療の機会を左右する
てんかん発作が初発症状となることが多い——若年〜中年のてんかん新規発症では白質疾患を鑑別に
精神症状(うつ・行動変容)が先行し精神科初診になることがある——MRIで白質病変確認を
遺伝性拡散性白質脳症(ALSP)についてもっと詳しく相談したい方へ
遺伝性拡散性白質脳症(ALSP)に関するご疑問や、ご自身・ご家族の状況に合わせた相談を、認知症を専門とする医師に直接お聞きいただけます。
初回500円・48時間以内に医師が回答