医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医

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アルツハイマー型認知症の重要ポイント
認知症全体の約60〜70%を占める最も多い認知症
海馬から始まる記憶障害が最初のサイン
発症の10〜20年前からアミロイドが蓄積し始める
抗アミロイド薬(レカネマブ)は2023年9月に日本で承認(同年12月保険適用)、早期治療が鍵
早期発見・診断で生活の質を長く維持できる
体験談・具体的な事例
同じ話を一日に何度も繰り返すようになった母親を心配し、もの忘れ外来に付き添った50代の息子が、診察室で聞かされた病名。
基礎知識の解説
アルツハイマー型認知症とは
アルツハイマー型認知症は認知症の中で最も多く、全体の約60〜70%を占めます。脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積し、神経細胞が徐々に死滅することで記憶や思考力が低下します。発症は主に65歳以降ですが、若年性(65歳未満)のケースもあります。
主な症状
- 1同じことを何度も聞いたり話したりする(エピソード記憶の障害)
- 2最近の出来事を忘れるが、昔の記憶は比較的保たれる
- 3日付・曜日・場所の感覚が薄れる(見当識障害)
- 4物の置き場所を忘れる、探し物が増える
- 5複雑な計算や段取りが難しくなる(実行機能障害)
- 6言葉が出てこず、会話に詰まることが増える
- 7趣味・活動への関心が薄れ、ふさぎこむことがある
症状の進行
最近の出来事を忘れる(エピソード記憶障害)
同じことを何度も聞く・話す
日付や曜日が分からなくなる
慣れた場所で道に迷う
財布や鍵の置き場所を頻繁に忘れる
家族の名前や顔が分からなくなる
着替えや食事など日常動作に介助が必要
会話が成り立ちにくくなる(言葉が出ない)
徘徊・幻覚・妄想(物盗られ妄想など)が現れる
排泄の失敗が増える
寝たきりになることが多い
言葉がほとんど出なくなる
嚥下(飲み込み)が困難になる
誤嚥性肺炎のリスクが高まる
全面的な介護が必要
※ 進行速度・症状の現れ方は個人差が大きく、必ずしも順序通りに進むとは限りません。
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原因・メカニズム
原因・メカニズム
脳内でアミロイドβペプチドが異常に蓄積し、「老人斑」と呼ばれる沈着物を形成します。発症の10〜20年前からこの蓄積が始まるとされています。
続いてタウタンパク質の異常(神経原線維変化)が起こり、神経細胞が徐々に死滅していきます。
記憶の中枢である海馬が最初に障害を受けるため、記憶障害が初発症状として現れます。病変は徐々に脳全体に広がり、言語・判断・行動など様々な機能が失われていきます。
診断
診断
MMSE・HDS-Rなどの検査でスクリーニングを行います。
MRIで海馬の萎縮を確認し、PET検査でアミロイドの蓄積を可視化することも可能です。
アミロイドβやタウを測定する新しい検査法も普及しつつあります。
他の治療可能な認知症との鑑別が重要です。
治療・ケア
治療・ケア
根治療法はまだありませんが、以下の対応で進行を緩やかにし、生活の質を保つことができます。
コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)やメマンチンが進行を遅らせます。抗アミロイド抗体薬(レカネマブ)は2023年9月に日本で承認(同年12月保険適用)され、早期での使用が始まっています。
認知リハビリ・運動・音楽療法なども有効です。
介護環境の整備と家族支援も不可欠です。
予後・経過
予後・経過
発症から進行のペースには個人差があり、一般的に診断後7〜10年程度で生活全般への支援が必要になります。
早期発見・早期介入により、QOLを長く保つことが可能です。
似た症状の疾患との違い
似た症状の疾患との違い
| 疾患名 | 見分け方のポイント |
|---|---|
| レビー小体型認知症 | 発症初期から認知機能の変動、具体的で構築された幻視、パーキンソニズム、REM睡眠行動障害といった中核症状が目立ち、記憶障害はアルツハイマー型より軽度で経過初期には前景に立たないことが多い。 |
| 前頭側頭型認知症 | 記憶障害に先立って脱抑制・常同行動・共感低下などの人格・行動変化が前景に立ち、MRIでは海馬より前頭葉・側頭葉前方の萎縮が優位な点で区別できる。 |
| 正常圧水頭症 | 小刻み・すり足歩行や尿失禁が認知機能低下と同時期かそれ以前に出現し、髄液排除試験(タップテスト)で症状が一時的に改善する点が鍵になる。 |
| 多発梗塞性認知症(血管性認知症) | 脳卒中エピソードに一致した階段状の悪化や、麻痺・構音障害などの局所神経症状を伴うことが多く、MRIで複数の梗塞巣・白質病変を認める点で、アルツハイマー型の緩徐進行性の経過と区別できる。 |
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