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分類1変性性認知症8分で読めます

アルツハイマー型認知症とは?

最も多い認知症。脳にアミロイドβが蓄積する

穏やかな光の差し込む居間で、高齢の女性と家族が一緒に写真を眺めている温かい情景
記憶が少しずつ遠ざかっても、共に過ごす時間は確かにそこにある
この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

体験談・具体的な事例

田中みよ子さん(仮名・75歳)の変化に最初に気づいたのは、娘の恵子さんでした。 「お母さん、昨日も同じこと言ってたよ」。何気なく言ったその言葉に、みよ子さんは少し傷ついた様子を見せましたが、翌日にはまた同じ話を繰り返しました。近所のスーパーへの道を間違え、自宅の鍵をしまった場所が分からなくなる。そんなことが続くようになったのは、2年ほど前からのことです。 恵子さんが本当に心配になったのは、母が長年続けていた俳句の教室を突然「もうやめる」と言い出したときでした。理由を聞いても「なんとなく」と繰り返すだけ。後から教室の仲間に聞くと、みよ子さんは毎回同じ俳句を発表しており、自分でも気づいていなかったようでした。 もの忘れ外来を受診すると、MRI検査で海馬の萎縮が見つかり、認知機能検査でも記憶力の低下が確認されました。診断は「アルツハイマー型認知症の初期」。みよ子さんは「そんなはずはない」と最初は受け入れられませんでしたが、恵子さんが「一緒に向き合っていこう」と手を握ると、静かに涙をこぼしました。 今は薬物療法を始めながら、週2回のデイサービスに通っています。俳句は続けています。先生が毎回そっと前回の作品を教えてくれるので、みよ子さんは「また良い句が浮かんだ」と笑顔で発表できるのです。

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基礎知識の解説

アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー型認知症は認知症の中で最も多く、全体の約60〜70%を占めます。脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積し、神経細胞が徐々に死滅することで記憶や思考力が低下します。発症は主に65歳以降ですが、若年性(65歳未満)のケースもあります。

主な症状

  • 1同じことを何度も聞いたり話したりする(エピソード記憶の障害)
  • 2最近の出来事を忘れるが、昔の記憶は比較的保たれる
  • 3日付・曜日・場所の感覚が薄れる(見当識障害)
  • 4物の置き場所を忘れる、探し物が増える
  • 5複雑な計算や段取りが難しくなる(実行機能障害)
  • 6言葉が出てこず、会話に詰まることが増える
  • 7趣味・活動への関心が薄れ、ふさぎこむことがある

原因・メカニズム

脳内にアミロイドβとタウタンパクが蓄積し神経細胞が損なわれていく様子を描いた図解イラスト
アミロイドβとタウタンパクの蓄積が神経細胞を傷つけるイメージ図

脳内でアミロイドβペプチドが異常に蓄積し「老人斑」を形成します。これに続いてタウタンパク質の異常(神経原線維変化)が起こり、神経細胞が死滅します。記憶の中枢である海馬が最初に障害を受けるため、記憶障害が初発症状として現れます。病変は徐々に脳全体に広がり、言語・判断・行動など様々な機能が失われていきます。発症の10〜20年前からアミロイドの蓄積が始まるとされています。

診断

問診と認知機能検査(MMSE・HDS-Rなど)でスクリーニングを行います。MRIで海馬の萎縮を確認し、PET検査でアミロイドの蓄積を可視化することも可能です。血液検査でアミロイドβやタウを測定する新しい検査法も普及しつつあります。他の治療可能な認知症との鑑別が重要です。

治療・ケア

根治療法はまだありませんが、コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)やメマンチンが進行を遅らせます。2024年には抗アミロイド抗体薬(レカネマブ)が日本でも承認され、早期での使用が始まっています。非薬物療法として認知リハビリ・運動・音楽療法なども有効です。介護環境の整備と家族支援も不可欠です。

予後・経過

発症から進行のペースには個人差があり、一般的に診断後7〜10年程度で生活全般への支援が必要になります。早期発見・早期介入により、QOLを長く保つことが可能です。

この疾患の重要ポイント

  • 認知症全体の約60〜70%を占める最も多い認知症
  • 海馬から始まる記憶障害が最初のサイン
  • 発症の10〜20年前からアミロイドが蓄積し始める
  • 2024年に抗アミロイド薬(レカネマブ)が日本で承認、早期治療が鍵
  • 早期発見・診断で生活の質を長く維持できる
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