分類4|代謝・内分泌・栄養の異常約5分で読めます
ビタミンB12欠乏症とは?
治療可能な認知機能低下の重要な原因
この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。
体験談・具体的な事例
村上トシ子さん(仮名・74歳)は完全な菜食主義者でした。「肉・魚・卵・乳製品は一切食べない」という生活を20年続けていました。
60代後半から、足がしびれるようになりました。「年のせい」と思っていましたが、70代に入ると記憶の問題が出てきました。「いつも行くスーパーへの道を間違えた」「同じことを何度も聞いてしまう」——娘の美香さんが心配して受診を勧めました。
もの忘れ外来での血液検査で、ビタミンB12値が正常の1/10以下という著明な低値でした。「これだけ低ければ、認知症様の症状が出て当然です」と担当医は言い、同時に「これは治療できます」と付け加えました。
ビタミンB12の筋肉注射(シアノコバラミン)を週1回、3ヶ月続けました。足のしびれが改善し、記憶の問題もかなり良くなりました。
「どうして野菜ばかり食べていたらダメなんですか」と聞かれた担当医は、「ビタミンB12は動物性食品にしか含まれていません。菜食主義者は意識的にサプリメントで補う必要があります」と答えました。トシ子さんは今、毎日B12サプリメントを飲んでいます。
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基礎知識の解説
ビタミンB12欠乏症とは
ビタミンB12欠乏症は、認知症様症状・末梢神経障害・貧血(悪性貧血)を引き起こす、治療可能な疾患です。菜食主義者・胃切除後・萎縮性胃炎・悪性貧血(自己免疫)・メトホルミン長期服用者などで多く見られます。ビタミンB12の補充で多くの場合に症状が改善します。
主な症状
- 1認知機能低下(記憶・注意・処理速度)
- 2末梢神経障害(手足のしびれ・疼痛)
- 3脊髄症(亜急性連合変性:歩行障害・深部感覚障害)
- 4大球性貧血(疲労・動悸)
- 5舌炎・口内炎
- 6抑うつ・精神症状
- 7視力障害(視神経症)
原因・メカニズム
ビタミンB12はDNA合成・ミエリン(神経の絶縁体)形成・ホモシステイン代謝に必須です。欠乏するとミエリンが壊れ、末梢神経・脊髄(特に後索・側索)・脳が障害されます。ホモシステインが蓄積し、脳血管障害・神経毒性を引き起こします。
診断
血清ビタミンB12値の測定が基本です(<200pg/mLが欠乏域)。正常低値でも欠乏が疑われる場合はメチルマロン酸・ホモシステインを測定します。内因子抗体・壁細胞抗体で悪性貧血を確認します。末梢血塗抹で大球性赤血球・過分葉好中球を確認します。
治療・ケア
ビタミンB12筋肉注射(シアノコバラミン1000μg)が迅速な補充に有効です。内因子欠乏(悪性貧血・胃切除後)では経口吸収ができないため注射が必要です。経口高用量B12(1000μg/日)でも受動拡散による吸収が可能です。菜食主義者はB12強化食品・サプリで予防を徹底します。
予後・経過
早期治療で認知機能・神経症状は多くの場合に改善します。長期の重度欠乏(脊髄変性が進んだ場合)では完全回復が難しいことがあります。
この疾患の重要ポイント
- •「治る認知症」の代表例——認知症の血液検査にB12は必須
- •菜食主義者・胃切除後・高齢者(胃酸低下による吸収障害)がリスク群
- •メトホルミン(糖尿病薬)の長期服用もB12欠乏の原因になる——定期検査を
- •足のしびれ+認知症様症状の組み合わせはB12欠乏を強く疑うサイン
- •菜食主義者はB12サプリメントの定期的な摂取が必須——予防が最善
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