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分類4代謝・内分泌・栄養の異常5分で読めます

葉酸欠乏症とは?

葉酸不足による神経・認知機能への影響

この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

体験談・具体的な事例

柴田幸雄さん(仮名・71歳)は一人暮らしで、食事は毎日ほとんどコンビニのおにぎりと缶コーヒーで済ませていました。「料理は面倒で」という生活が数年続いていました。 もの忘れが気になり始めたのは70歳を過ぎたころでした。予約を何度も間違える、同じことを繰り返し言う、計算が遅くなった——長男の健太さんが連れていったもの忘れ外来で、血液検査を行うと葉酸値が非常に低く、加えてビタミンB12も低下していました。 「偏った食事による葉酸・ビタミンB12の欠乏が、認知機能に影響している可能性があります」と担当医から言われました。MRIでは脳萎縮は軽度でした。 葉酸サプリメント(5mg/日)とビタミンB12注射を3ヶ月続けたところ、幸雄さんの物忘れは改善し、「頭がはっきりしてきた」と自覚できるほどになりました。 「一人暮らしで野菜を食べないとこうなるんですね」と幸雄さん。健太さんは週に2〜3回、野菜の入った食事を作って届けるようになりました。「お父さんが元気でいてくれるなら、料理も悪くない」と健太さんは笑います。

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基礎知識の解説

葉酸欠乏症とは

葉酸欠乏症は、DNAの合成・ホモシステイン代謝に必須な葉酸の不足によって、認知機能障害・大球性貧血・精神症状を引き起こします。高齢者の偏食・アルコール依存症・吸収障害(クローン病など)・葉酸拮抗薬(メトトレキサートなど)の使用が原因となります。補充により多くの場合に改善する「治る認知症」の一つです。

主な症状

  • 1認知機能低下(記憶・集中力・処理速度)
  • 2抑うつ・無気力
  • 3大球性貧血(倦怠感・動悸)
  • 4舌炎・口内炎
  • 5ホモシステイン上昇による血管障害
  • 6神経精神症状(焦燥・精神病様症状)

原因・メカニズム

葉酸はDNA合成(細胞分裂)とメチル化反応(ホモシステインをメチオニンへ変換)に必須です。欠乏するとホモシステインが蓄積し、脳血管障害・神経毒性が生じます。また神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン)の合成が障害されることで精神症状が出現します。ビタミンB12と協調して機能するため、両方の欠乏が重なることが多いです。

診断

血清葉酸値・赤血球葉酸値を測定します(赤血球葉酸値が体内ストアをより正確に反映)。ホモシステイン高値が欠乏の機能的指標として有用です。ビタミンB12との合併欠乏を必ず確認します(B12欠乏を葉酸だけで補充すると神経症状が隠蔽される危険)。

治療・ケア

葉酸サプリメント(1〜5mg/日)を補充します。食事改善(緑黄色野菜・豆類・レバー)を指導します。ビタミンB12欠乏を合併する場合はB12も同時に補充します。基礎疾患(吸収障害・薬剤)への対処も必要です。

予後・経過

早期補充で認知症様症状は多くの場合に改善します。ホモシステイン低下が心血管リスクを減少させる可能性があります。

この疾患の重要ポイント

  • 「治る認知症」の一つ——葉酸・B12は認知症評価の必須血液検査
  • 葉酸単独補充でB12欠乏の神経症状が隠蔽される危険——必ずB12も同時に確認
  • 高齢者の一人暮らし・偏食・アルコール多飲は葉酸欠乏の高リスク群
  • ホモシステイン高値は認知症・心血管リスクの独立した危険因子
  • 緑黄色野菜・豆類の定期的な摂取が予防の基本——食事支援が重要
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