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葉酸欠乏症の重要ポイント
認知症疑いの初期評価で葉酸・B12・ホモシステインを必ず測定——「治る認知症」を見逃さない
葉酸単独補充でB12欠乏の神経症状が隠蔽される危険——必ずB12と同時に評価・補充する
高齢者の一人暮らし・偏食・アルコール多飲は葉酸欠乏の高リスク群
ホモシステイン高値(15 μmol/L以上)は認知症・脳卒中の独立した危険因子
ほうれん草・枝豆・ブロッコリー・レバー・納豆など葉酸豊富な食品の習慣的摂取が予防の基本
食事支援・配食サービスなど社会的サポートが一人暮らし高齢者の栄養管理に有効
体験談・具体的な事例
基礎知識の解説
葉酸欠乏症とは
葉酸欠乏症は、DNA合成・核酸代謝・ホモシステインのメチオニンへの変換に必須な葉酸(ビタミンB9)の不足によって認知機能障害・大球性貧血・精神症状を引き起こす治療可能な疾患です。血清葉酸値3.1 ng/mL未満または赤血球葉酸値150 ng/mL未満が欠乏の目安とされ、高齢者の偏食・アルコール依存症・消化管吸収障害(クローン病・セリアック病)・葉酸拮抗薬(メトトレキサート・フェニトインなど)の使用が主な原因です。ホモシステイン高値は脳血管障害・認知症の独立した危険因子であり、葉酸補充によるホモシステイン低下が認知機能維持に寄与する可能性が示されています。日本神経学会ガイドラインでは認知症疑い例への葉酸測定を推奨しています。
主な症状
- 1認知機能低下(記憶・集中力・処理速度・遂行機能の障害)
- 2抑うつ・無気力・易刺激性
- 3大球性・正色素性貧血(倦怠感・動悸・息切れ)
- 4舌炎・口内炎(赤く平滑な舌)
- 5ホモシステイン高値による血管内皮障害・脳血管リスク上昇
- 6神経精神症状(焦燥・幻覚・精神病様症状)
- 7食欲不振・体重減少
- 8四肢の感覚異常(末梢神経炎:ビタミンB12欠乏合併時に顕著)
- 9過分葉好中球(末梢血塗抹標本所見)
- 10胎児神経管欠損リスク上昇(妊娠可能年齢女性における欠乏の場合)
原因・メカニズム
原因・メカニズム
葉酸はテトラヒドロ葉酸(THF)として一炭素単位転移反応の中心を担い、プリン・ピリミジン塩基の合成を通じたDNA複製と、ホモシステインからメチオニンへの変換(ビタミンB12依存的メチル化)に不可欠です。葉酸が欠乏するとホモシステインが蓄積し、血管内皮細胞への酸化ストレス・炎症促進・メチル化反応の全般的な障害をもたらします。ホモシステインはニコチン酸受容体(NMDA受容体)を過剰刺激して神経毒性を示し、脳血管病変・神経変性を加速させます。また葉酸はセロトニン・ドーパミン・ノルエピネフリンの生合成に関与するため、欠乏時には気分障害・精神症状が出現します。葉酸とビタミンB12は代謝経路で相互依存しており、一方が欠乏するともう一方の機能も低下します。さらに葉酸単独補充はB12欠乏の貧血を改善しても神経症状を隠蔽するリスクがあるため、両者の同時評価が不可欠です。
診断
診断
日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」は認知症疑い例への葉酸測定を推奨しています。血清葉酸値(3.1 ng/mL未満で欠乏)と赤血球葉酸値(150 ng/mL未満で欠乏:体内葉酸蓄積量をより正確に反映)を測定します。機能的欠乏の指標としてホモシステイン(15 μmol/L以上で上昇)が有用です。ビタミンB12との合併欠乏を必ず確認します(B12欠乏を見落として葉酸のみ補充すると神経症状が隠蔽される危険)。末梢血検査では大球性貧血(MCV >100 fL)と過分葉好中球が確認されます。薬剤歴(メトトレキサート・フェニトイン・経口避妊薬)と飲酒歴の確認が診断に重要です。
治療・ケア
治療・ケア
葉酸サプリメント1〜5mg/日の経口投与が主体です。ビタミンB12欠乏が合併している(または除外できない)場合は必ずB12も同時に補充します。食事改善として葉酸を豊富に含む食品(ほうれん草・ブロッコリー・枝豆・アスパラガス・レバー・納豆)の定期的な摂取を指導します。アルコール依存症が原因の場合は断酒支援と栄養管理を並行します。メトトレキサートなど葉酸拮抗薬による医原性欠乏には亜葉酸カルシウム(ロイコボリン)が選択されることがあります。ホモシステイン高値の心血管リスク低減を目的とした補充も研究されています(Clarke R et al, 2010)。補充後は3〜6ヶ月でホモシステイン値・認知機能検査・血算の再評価を行います。
予後・経過
予後・経過
早期補充によって認知機能障害・貧血・精神症状は多くの場合に改善します。ホモシステイン低下は脳血管リスクの軽減に寄与する可能性があります。欠乏期間が短く脳血管障害が少ない症例ほど回復が良好です。食習慣の改善が難しい高齢一人暮らし・アルコール依存症患者では再発防止のためサプリメントの継続が必要です。
葉酸欠乏症の重要ポイント
認知症疑いの初期評価で葉酸・B12・ホモシステインを必ず測定——「治る認知症」を見逃さない
葉酸単独補充でB12欠乏の神経症状が隠蔽される危険——必ずB12と同時に評価・補充する
高齢者の一人暮らし・偏食・アルコール多飲は葉酸欠乏の高リスク群
ホモシステイン高値(15 μmol/L以上)は認知症・脳卒中の独立した危険因子
ほうれん草・枝豆・ブロッコリー・レバー・納豆など葉酸豊富な食品の習慣的摂取が予防の基本
食事支援・配食サービスなど社会的サポートが一人暮らし高齢者の栄養管理に有効
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