体験談・具体的な事例
基礎知識の解説
大脳皮質基底核変性症とは
大脳皮質基底核変性症(CBD/CBS)は、4リピートタウが大脳皮質と基底核に非対称性に蓄積する神経変性疾患です。片側の上肢を中心とした筋固縮・失行・「他人の手徴候」が特徴的で、運動症状と高次脳機能障害(失行・失認)が組み合わさって現れます。PSPと病理的に関連が深い疾患です。
主な症状
- 1片側の肢(多くは利き手側)の筋固縮・不器用さ
- 2失行(道具の使い方がわからない、意図した動作ができない)
- 3他人の手徴候(手が意図と異なる動きをする)
- 4ミオクローヌス(ぴくつき)
- 5失語(言語症状が前面に出る型もある)
- 6高次脳機能障害(失認・空間認識障害)
- 7認知症(前頭葉型の行動変容・実行機能低下)
- 8眼球運動障害(PSPとの重複例)
原因・メカニズム
4リピートタウが大脳皮質(特に頭頂葉・前頭葉)と基底核(被殻・淡蒼球)に非対称性に蓄積します。「バルーンニューロン(腫大した神経細胞)」の出現が病理的特徴です。PSPと同じタウ病理を持ちながら、大脳皮質への広がりが強い点が異なります。
診断
「片側性の失行・筋固縮・他人の手徴候」の組み合わせが臨床診断の手がかりです。MRIでは病変側の反対側大脳半球の萎縮(非対称性)が特徴的です。L-ドーパへの反応は乏しく、PSPとの鑑別が必要です。確定診断は病理組織検査が必要です。
治療・ケア
根治療法はありません。L-ドーパは一部の筋固縮に効果を示すことがあります。作業療法による残存機能の活用・自助具の導入が有効です。ミオクローヌスにはクロナゼパムを使用します。コミュニケーション障害には言語聴覚士の介入が重要です。
予後・経過
発症から平均6〜8年の経過をたどります。症状は徐々に反対側にも広がり、最終的には全身の運動障害・嚥下障害・認知症が現れます。誤嚥性肺炎・転倒が主な死亡原因です。
大脳皮質基底核変性症の重要ポイント
「片側の手だけがおかしい」「手が勝手に動く(他人の手徴候)」がCBSの特徴的なサイン
症状が左右非対称であることが診断の重要な手がかり
PSPと同じタウ病理を持つ関連疾患であり、症状が重複することがある
失行(道具の使い方がわからない)は認知症とは異なる——道具を渡しながら使い方を示す介護が有効
進行が速いため、早期から作業療法・コミュニケーション支援を開始する