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びまん性レビー小体病の重要ポイント
「びまん性レビー小体病(DLBD)」は現在の「レビー小体型認知症(DLB)」とほぼ同義——診断書に旧病名があっても同じ疾患として理解する
抗精神病薬(ハロペリドール・リスペリドール等)は原則禁忌——救急・入院・他科受診時も必ずこの情報を医師に伝える
幻視は本人にはリアルな体験——「そんなものいない」と否定せず「怖かったね」と共感的に受け流す
DaTスキャンと心臓MIBGシンチグラフィが診断を強く支持するバイオマーカー——専門施設への紹介が重要
ドネペジル(コリンエステラーゼ阻害薬)はDLBに保険適用あり——認知症状だけでなく幻視の改善効果も期待できる
REM睡眠行動障害(夢を演じる夜間行動)はDLB発症の数年〜10年前から出現する最初のサインになりうる
体験談・具体的な事例
基礎知識の解説
びまん性レビー小体病とは
びまん性レビー小体病(DLBD: Diffuse Lewy Body Disease)は、αシヌクレインからなるレビー小体が大脳皮質全体(特にすべての皮質層)にわたって広範に分布する病態を指す概念で、現在はレビー小体型認知症(DLB: Dementia with Lewy Bodies)と実質的に同義です。「びまん性(diffuse)」は旧Kosaka分類における「びまん性新皮質型」に由来し、皮質全層への広がりを強調した呼称です。臨床像は典型的なDLBと同様で、リアルな幻視・認知機能の著しい日内変動・パーキンソン症状・REM睡眠行動障害が四大症状です。抗精神病薬への重篤な過敏反応(neuroleptic sensitivity)が最大の治療上の危険点であり、全医療者への情報共有が不可欠です。
主な症状
- 1鮮明でリアルな幻視(毎日のように繰り返され、人・子供・動物が「見える」と確信している)
- 2認知機能の著しい日内・日間変動(朝は会話が成立するのに昼過ぎには名前もわからなくなる)
- 3REM睡眠行動障害(夢の内容に合わせて大声を出す・腕足をばたつかせる)
- 4パーキンソン様運動症状(筋固縮・小刻み歩行・動作緩慢・表情の乏しさ)
- 5繰り返す転倒・立ちくらみ(自律神経障害による起立性低血圧)
- 6過剰な日中傾眠(日中に何時間も眠り込む)
- 7自律神経症状(頑固な便秘・発汗異常・血圧変動)
- 8抗精神病薬への重篤な過敏反応(筋固縮悪化・高体温・CK上昇・意識障害)
- 9嗅覚低下(パーキンソン病と共通する早期症状)
- 10注意機能・視空間認知の低下(アルツハイマー型より前面に出やすい)
原因・メカニズム
原因・メカニズム
αシヌクレインというタンパク質が神経細胞内で異常凝集・封入体(レビー小体)を形成します。「びまん性(diffuse)」の語は旧Kosaka分類(1980年代)における「びまん性新皮質型」に由来し、レビー小体が脳幹から辺縁系にとどまらず大脳新皮質の全5層に広く分布することを意味します。黒質のドーパミン神経が変性するとパーキンソン症状が出現し、Meynert基底核のコリン神経障害が認知機能・注意機能を低下させます。後頭葉の視覚処理野が侵されると幻視が起こりやすくなり、脳幹網様体の障害がREM睡眠行動障害の原因となります。アルツハイマー病変(アミロイドβ・神経原線維変化)を合併する混合型が多く、これが症状の多様性につながります。
診断
診断
McKeith IG et al.(Neurology 2017)のDLBコンソーシアム第4次コンセンサス基準にもとづいて診断します(DLBD はこの基準でDLBとして分類されます)。「確実」の臨床診断には2つの中核症状(幻視・認知変動・パーキンソン症状・REM睡眠行動障害)、または1つの中核症状+1つのバイオマーカーが必要です。
① DaTスキャン(123I-FP-CIT SPECT):線条体ドーパミントランスポーターの取り込み著明低下 ② 心臓MIBGシンチグラフィ:H/M比の低下(後期像1.6以下が基準の目安)③ ポリソムノグラフィー:REM睡眠中の筋緊張消失なし(RBD確認)。
アルツハイマー型認知症との鑑別では、認知機能の変動・幻視の鮮明さ・DaTスキャン所見が重要です。
治療・ケア
治療・ケア
根治療法はなく症候別対症療法が中心です。
コリンエステラーゼ阻害薬のドネペジル(5〜10mg/日)が認知機能と幻視の改善に有効で、DLBへの保険適用があります。
クロナゼパム(0.5mg 就寝前)が有効ですが、転倒リスクに注意。メラトニン(0.5〜3mg)も選択肢となります。
L-ドーパを低用量から慎重に開始します。ドーパミンアゴニストはより慎重な使用が必要です。
ハロペリドール・リスペリドール等の定型および非定型抗精神病薬はレビー小体型では致死的な過敏反応(高度のパーキンソン症状悪化・高体温・CK上昇・意識障害:悪性症候群様反応)を引き起こすことがあるため原則禁忌です。全ての医療者にこの情報を共有することが家族の最重要任務です。
日中の照明を明るく保つ(暗い環境で幻視が増悪しやすい)、生活リズムの規則化、幻視を否定せず共感的に受け流す対応が有効です。
予後・経過
予後・経過
平均罹患期間は5〜8年ですが個人差が大きく、3〜20年の幅があります。転倒による骨折・誤嚥性肺炎・自律神経障害(脱水・感染)が予後を悪化させる主な要因です。抗精神病薬の誤投与による急速悪化が最大のリスクであり、医療機関を受診・入院する際には必ず薬剤禁忌情報を伝える必要があります。アルツハイマー合併例は進行が速い傾向があります。
びまん性レビー小体病の重要ポイント
「びまん性レビー小体病(DLBD)」は現在の「レビー小体型認知症(DLB)」とほぼ同義——診断書に旧病名があっても同じ疾患として理解する
抗精神病薬(ハロペリドール・リスペリドール等)は原則禁忌——救急・入院・他科受診時も必ずこの情報を医師に伝える
幻視は本人にはリアルな体験——「そんなものいない」と否定せず「怖かったね」と共感的に受け流す
DaTスキャンと心臓MIBGシンチグラフィが診断を強く支持するバイオマーカー——専門施設への紹介が重要
ドネペジル(コリンエステラーゼ阻害薬)はDLBに保険適用あり——認知症状だけでなく幻視の改善効果も期待できる
REM睡眠行動障害(夢を演じる夜間行動)はDLB発症の数年〜10年前から出現する最初のサインになりうる
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