分類1|変性性認知症約5分で読めます
びまん性レビー小体病とは?
脳全体に広がるレビー小体による認知症
この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。
体験談・具体的な事例
西村勝美さん(仮名・77歳)の場合、レビー小体型認知症と診断された後も、症状の重さが通常より際立っていました。
幻視は毎日のように出現し、「廊下に知らない男がいる」「天井から蜘蛛の巣が下がっている」という訴えが絶えません。妻の妙子さんが「何もいないよ」と言うと勝美さんは一瞬怒りますが、すぐに「そうかもな」と納得することもあります。
認知機能の変動も激しく、朝は会話が成立するのに午後は名前もわからないほど混乱することがあります。眠気が強く、日中に何時間も眠り込むこともあります。パーキンソン様の筋固縮と小刻み歩行も現れ、転倒が繰り返されました。
主治医から「びまん性レビー小体病(DLBD)」という言葉が出てきたとき、妙子さんは「レビー小体型認知症とどう違うの?」と疑問を持ちました。医師は「本質的には同じ病態で、脳内にレビー小体が広範に散らばっている状態を強調した古い病名です。現在はレビー小体型認知症と同義に使われることが多い」と説明してくれました。
抗精神病薬を別の病院で処方されたことがあり、一度内服したところ突然歩けなくなり、発熱・筋硬直が出現して入院になりました。「あの薬だけは絶対にだめ」と妙子さんは強調します。
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基礎知識の解説
びまん性レビー小体病とは
びまん性レビー小体病(DLBD)は、αシヌクレインからなるレビー小体が大脳皮質全体にわたって広範に分布する病態を指します。現在は「レビー小体型認知症(DLB)」と実質的に同義であり、特に皮質型のレビー体分布が強調された場合に使われることがあります。幻視・認知変動・パーキンソン症状・REM睡眠行動障害を呈します。
主な症状
- 1鮮明でリアルな幻視(頻度・強度が高い)
- 2認知機能の著しい日内変動
- 3パーキンソン様運動症状(筋固縮・歩行障害)
- 4過剰な日中傾眠
- 5レム睡眠行動障害(夢に合わせた激しい体動・叫び声)
- 6自律神経障害(起立性低血圧・便秘)
- 7転倒・失神
- 8抗精神病薬への重篤な過敏反応
原因・メカニズム
αシヌクレインが脳幹から大脳辺縁系・皮質へと広範に蓄積し、ドーパミン系・アセチルコリン系・ノルアドレナリン系の複数の神経伝達系を障害します。「びまん性(diffuse)」という語は、レビー小体が皮質全体に広く散在することを示します。アルツハイマー病変の合併が多く、混合型の病態を取ることが多いです。
診断
レビー小体型認知症(DLB)の診断基準(McKeith基準)に準じます。DaTスキャンでドーパミントランスポーターの減少、心臓MIBGシンチで心臓交感神経の機能低下を確認します。睡眠ポリグラフィー(PSG)でREM睡眠行動障害を確認します。
治療・ケア
コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル)が認知・幻視症状に有効です。抗精神病薬は原則禁忌(重篤な過敏反応:悪性症候群様の反応・死亡例あり)。パーキンソン症状にはL-ドーパを少量から慎重に使用します。クロナゼパムがRBD(夢遊症様の行動)に有効です。
予後・経過
平均罹患期間は5〜8年ですが個人差が大きいです。転倒・誤嚥・抗精神病薬への過敏反応が予後を悪化させます。アルツハイマー合併例は進行が速い傾向があります。
この疾患の重要ポイント
- •「びまん性レビー小体病(DLBD)」は現在の「レビー小体型認知症(DLB)」とほぼ同義
- •抗精神病薬(ハロペリドール等)への重篤な過敏反応——「この薬は使えない」ことを全医療者に伝える
- •幻視は非常に鮮明で強度が高い——「見えている」ことを否定せず、恐怖に共感する
- •認知機能の変動は「調子のいい日・悪い日」ではなく、数時間単位で変わる急激な変動
- •DaTスキャン・MIBGシンチグラフィが診断に有用——専門施設への受診が重要
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