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脊髄小脳変性症に伴う認知症の重要ポイント
SCAには40種類以上のサブタイプがあり、認知症を伴うかどうかはサブタイプによって異なる——遺伝子検査(CAGリピート数測定)が確定診断に必須である
「酔っぱらったような歩き方」が30〜60歳代の若年者に現れた場合、SCАを鑑別に入れて神経内科を受診する——診断まで数年を要することが多い
認知機能障害は純粋な記憶障害よりも実行機能・注意・処理速度の低下が先行する——TMT・MoCA等の前頭葉機能評価が重要な評価ポイントとなる
遺伝性のサブタイプでは子への遺伝リスクがあり、遺伝カウンセリングが診断初期から必須——予測遺伝子検査を受けるかどうかは本人の意思を最大限に尊重する
リハビリテーション(理学療法・作業療法・言語療法)が機能維持と転倒・誤嚥予防の要——継続的な多職種支援が生活の質を長く保つ鍵となる
患者会・ピアサポートが精神的支援として大きな役割を果たす——同じ疾患を持つ仲間との情報共有が孤立を防ぎ、制度利用の助けにもなる
電動車椅子・音声入力機器・バリアフリー改修などの補助具と環境整備が、就労継続・在宅生活の延長を可能にする重要な支援要素となる
体験談・具体的な事例
基礎知識の解説
脊髄小脳変性症に伴う認知症とは
脊髄小脳変性症(SCA:Spinocerebellar Ataxia)は、小脳・脊髄の神経細胞が変性する疾患群の総称で、40種類以上のサブタイプが知られている。主な症状は運動失調(歩行時のふらつき・手足の不器用さ・構音障害)であるが、疾患サブタイプ・進行度によって実行機能・注意・処理速度を中心とした認知機能障害を伴うことがある。日本のSCA全体の有病率は人口10万人あたり7〜8人とされ、遺伝性(常染色体優性遺伝が多い)と孤発性がある。SCA3(マシャード・ジョセフ病)は世界的に最多のサブタイプであり、CAGリピートの伸長が原因遺伝子変異となる。発症年齢は30〜60歳代が多く、若年発症の進行性疾患として就労・家族・遺伝への影響が大きい。
主な症状
- 1運動失調(歩行時のふらつき・バランス障害・階段の踏み外し)
- 2手・指の不器用さ(書字困難・楽器演奏の障害)
- 3構音障害(ろれつが回りにくい・言葉が不明瞭になる)
- 4眼球運動障害(眼振・眼球運動の緩慢化)
- 5嚥下障害(誤嚥・食事に時間がかかる)
- 6実行機能の低下(複数タスク管理・段取りの困難)
- 7注意・処理速度の低下(会話の流れを見失う・反応が遅くなる)
- 8ワーキングメモリの障害(直後の情報を保持する力の低下)
- 9抑うつ・不安(進行性疾患への心理的反応を含む)
- 10前頭葉症状(無関心・計画性の低下)——特に前頭葉変性を来すSCA17などで顕著
原因・メカニズム
原因・メカニズム
SCAの原因はサブタイプによって異なる。CAGリピートの伸長(SCA1/2/3/6/7/17等)が最多のカテゴリーであり、伸長したポリグルタミン鎖(polyQ)を持つタンパクが核内に異常凝集し、神経細胞死を引き起こす。SCA3(マシャード・ジョセフ病)ではATXN3遺伝子のCAGリピートが正常の44回以下から73回以上に伸長することで発症する。小脳プルキンエ細胞・脊髄の神経細胞変性が運動失調の主体をなすが、大脳基底核・前頭葉・側頭葉への変性が進行すると実行機能・注意・記憶の障害が出現する。SCAの認知機能障害は「前頭葉・小脳ループ」の障害によるものが多く、純粋な記憶障害よりも注意・遂行機能の低下が先行することが特徴である。
診断
診断
遺伝子検査(CAGリピート数測定)により遺伝性SCАの確定診断が可能であり、SCA1/2/3/6/7/17等のサブタイプ同定ができる。脳MRIでは小脳・脳幹の萎縮を確認し、孤発性の場合は多系統萎縮症(MSA)との鑑別が必要となる(MSAでは自律神経症状・パーキンソン症状が目立つ)。神経心理検査では前頭葉機能(TMT・ストループ)・実行機能・注意の評価が重要で、MMSEよりMoCA(Montreal Cognitive Assessment)が前頭葉症状の捉えに優れる。認知機能障害の有無・程度はSARAスコア(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)と並行して経過観察に用いられる。遺伝性SCАでは遺伝カウンセリングが診断初期から必須である。
治療・ケア
治療・ケア
根治療法は現時点で存在しない。運動失調に対してリハビリテーション(理学療法:歩行訓練・バランス練習、作業療法:上肢機能・ADL維持)が機能の維持・転倒予防に有効であり、欧州SCA研究コンソーシアム(EUROSCA)のデータもリハビリ効果を支持する。孤発性SCAに対してタルチレリン水和物(TRH誘導体、5 mg/日)が日本で保険適用を得ており、運動失調の改善効果が報告されている。嚥下障害に対しては言語聴覚士による嚥下訓練・食形態の調整が誤嚥性肺炎予防の要となる。認知機能障害への薬物療法のエビデンスは限られており、抑うつに対してはSSRIが使用される。補助具(電動車椅子・音声入力機器)の活用とバリアフリー改修が自立生活の延長を支える。
予後・経過
予後・経過
サブタイプにより予後が大きく異なる。SCA3(最多サブタイプ)は発症から15〜20年の経過をたどるとされ、誤嚥性肺炎・転倒骨折が予後を左右する主要因となる。認知機能障害の程度は運動症状の重症度と必ずしも平行せず、個人差が大きい。CAGリピート数が多いほど若年発症・重症化の傾向がある(表現型の予測に一定の参考となる)。適切なリハビリテーション・補助具・在宅支援により、就労継続・家庭生活の維持が可能な期間を延ばすことができる。
脊髄小脳変性症に伴う認知症の重要ポイント
SCAには40種類以上のサブタイプがあり、認知症を伴うかどうかはサブタイプによって異なる——遺伝子検査(CAGリピート数測定)が確定診断に必須である
「酔っぱらったような歩き方」が30〜60歳代の若年者に現れた場合、SCАを鑑別に入れて神経内科を受診する——診断まで数年を要することが多い
認知機能障害は純粋な記憶障害よりも実行機能・注意・処理速度の低下が先行する——TMT・MoCA等の前頭葉機能評価が重要な評価ポイントとなる
遺伝性のサブタイプでは子への遺伝リスクがあり、遺伝カウンセリングが診断初期から必須——予測遺伝子検査を受けるかどうかは本人の意思を最大限に尊重する
リハビリテーション(理学療法・作業療法・言語療法)が機能維持と転倒・誤嚥予防の要——継続的な多職種支援が生活の質を長く保つ鍵となる
患者会・ピアサポートが精神的支援として大きな役割を果たす——同じ疾患を持つ仲間との情報共有が孤立を防ぎ、制度利用の助けにもなる
電動車椅子・音声入力機器・バリアフリー改修などの補助具と環境整備が、就労継続・在宅生活の延長を可能にする重要な支援要素となる
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