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分類6中毒・薬剤によるもの6分で読めます

薬剤性認知機能障害とは?

睡眠薬・抗不安薬・抗コリン薬などの多剤併用

この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

体験談・具体的な事例

永井美代子さん(仮名・79歳)は複数の慢性疾患を持ち、5つの病院から合計12種類の薬を処方されていました。何年も前からの不眠に対してベンゾジアゼピン系睡眠薬、胃もたれにはH2ブロッカー、花粉症に抗ヒスタミン薬、膀胱炎には抗コリン薬——複数の医師が処方した薬が「偶然に重なって」いました。 「最近急に認知症が進んだ」と娘の恵美さんが心配して受診した老年内科で、主治医が薬のリストを見て眉をひそめました。「これだけ抗コリン薬・ベンゾジアゼピン系が重なっていれば、認知機能が落ちて当然です」。 「薬剤性認知機能障害」と判断され、薬の整理が始まりました。不眠にはベンゾジアゼピン系の代わりにスボレキサント(オレキシン受容体拮抗薬)へ変更、抗ヒスタミン薬は中止、H2ブロッカーはプロトンポンプ阻害薬に変更。抗コリン薬の膀胱直腸障害治療薬も見直しました。 3ヶ月後の再診で美代子さんは「頭がすっきりした」と言い、認知機能検査のスコアが明らかに改善していました。「薬を飲んでいたことが、逆に認知症を引き起こしていたとは…」と恵美さんは驚きを隠せませんでした。

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基礎知識の解説

薬剤性認知機能障害とは

薬剤性認知機能障害は、睡眠薬・抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)・抗ヒスタミン薬・抗コリン薬・H2ブロッカーなどの薬剤が認知機能を低下させる状態です。高齢者では薬剤の代謝・排泄が低下しており、薬が脳に蓄積しやすくなります。原因薬剤を整理することで改善が期待できる「治る認知症」の一つです。

主な症状

  • 1認知機能低下(記憶・注意・処理速度)
  • 2過剰な鎮静・傾眠・ふらつき
  • 3混乱・見当識障害
  • 4便秘・口渇・尿閉(抗コリン症状)
  • 5転倒リスクの増加
  • 6薬剤開始後・増量後に症状が悪化する
  • 7服薬中止・減量で症状が改善する

原因・メカニズム

ベンゾジアゼピン系薬はGABA受容体を強化して鎮静・健忘作用を持ちます。抗コリン薬はアセチルコリン系(記憶・認知に不可欠)を阻害します。高齢者では血液脳関門の透過性上昇・肝腎機能低下による薬の蓄積が起きやすく、若年者の数倍の脳への影響が生じます。「抗コリン薬負荷スコア(ACB)」が認知症リスクを評価するツールとして使われています。

診断

服用中の全薬剤(市販薬・サプリ含む)のリストアップが最重要です(ポリファーマシーの確認)。認知症様症状が特定の薬剤開始・増量後に出現または悪化したかを確認します。「お薬手帳」を持参させ、複数医療機関からの処方を一元把握します。

治療・ケア

原因薬剤の中止または減量(急な中止は禁忌の場合があるため漸減)が治療です。かかりつけ薬剤師・薬局による処方整理(ポリファーマシー解消)が有効です。ベンゾジアゼピン系睡眠薬の代替薬(スボレキサント・レンボレキサント)への変更が有効です。

予後・経過

原因薬剤の中止・変更で多くの場合に認知機能が改善します。改善には数週間〜数ヶ月かかることがあります。

この疾患の重要ポイント

  • 「多剤服用高齢者の認知症様症状」は薬剤性認知機能障害を必ず疑う——「治る認知症」
  • 抗コリン薬・ベンゾジアゼピン系・抗ヒスタミン薬が特に注意が必要な薬剤
  • 「お薬手帳」持参・かかりつけ薬剤師への相談でポリファーマシーを防ぐ
  • 高齢者に「ひとつ薬を追加するなら、ひとつ薬を見直す」という原則を
  • 家族が薬の管理を手伝うことで過剰服薬・見落としを防ぐ
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