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分類8その他・稀な遺伝性疾患5分で読めます

てんかん性認知症とは?

非けいれん性てんかん重積状態による認知障害

この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

体験談・具体的な事例

鈴木善雄さん(仮名・71歳)は「最近認知症が急に悪化した」と息子に連れられてやってきました。半年前まで元気だったのに、ここ2ヶ月で急速に「ぼんやり」が強くなり、会話が噛み合わなくなっていました。 もの忘れ外来での脳波検査で、担当医が驚きました。脳波に「てんかん性放電」が確認されました。「発作が見えなくてもてんかんが起きている状態——非けいれん性てんかん重積状態(NCSE)というものがあります」と説明を受けました。 「てんかんが原因で認知症のように見えている?」と息子は驚きました。「そうです。高齢者では全身けいれんが起きない、気づかれないてんかんが認知症のように見えることがある。治療で改善します」。 抗てんかん薬(レベチラセタム)を投与すると、数日後に善雄さんの「ぼんやり」は著明に改善しました。「急速に悪化した認知症が、薬で良くなった」——それが息子の目に映った奇跡でした。 その後も定期的な脳波検査を行い、抗てんかん薬を継続しています。「てんかんと認知症は無関係ではない。長期のてんかんが認知機能に影響することもある」と担当医は説明しました。

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基礎知識の解説

てんかん性認知症とは

てんかん性認知症(特に非けいれん性てんかん重積状態:NCSE)は、てんかん発作(特に目立った全身けいれんを伴わないもの)が持続的に起きることで、認知機能が低下する状態です。高齢者では古典的な「けいれん」なしで「ぼんやり・混乱・認知症様症状」として現れることがあり、抗てんかん薬で改善する「治る認知症」の一つです。

主な症状

  • 1非けいれん性てんかん重積(NCSE):混乱・ぼんやり・反応の鈍さ
  • 2記憶障害(特に発作後に悪化)
  • 3言語障害・失語様症状
  • 4「急速に悪化する認知症」(短期間での著明な悪化)
  • 5発作後(ポスタール)状態:発作後数時間〜数日の混乱
  • 6慢性:長期てんかんによる累積的な認知機能低下
  • 7脳波異常(てんかん性放電・発作波)

原因・メカニズム

てんかん発作中・後の過度な神経活動が海馬・皮質の神経細胞に酸化ストレス・興奮毒性をもたらします。長期にわたる反復発作が海馬を萎縮させ(てんかん性海馬硬化)、慢性的な認知機能低下をもたらします。NCSEでは発作が持続しながら意識は保たれるため、「認知症のような状態」として見過ごされます。

診断

脳波検査(EEG)がNCSEの診断に不可欠です(てんかん性放電・発作波の確認)。「急速に変化する認知症」「薬で改善する認知症」はてんかんを必ず疑います。MRIで海馬萎縮・てんかん焦点を確認します。アルツハイマー病などの認知症との合併も多いです。

治療・ケア

急性NCSE:抗てんかん薬(ジアゼパム・レベチラセタム)の静注。慢性てんかん:適切な抗てんかん薬の選択・調整(レベチラセタム・ラモトリギン等が高齢者に比較的安全)。バルプロ酸は高齢者での肝毒性・血小板減少に注意が必要です。

予後・経過

NCSEは治療で劇的に改善することがあります。長期てんかんによる認知機能障害は部分的な回復にとどまることがあります。てんかんの適切なコントロールが認知機能の保護に重要です。

この疾患の重要ポイント

  • 「急速に悪化した認知症」——てんかんを必ず鑑別に入れ、脳波検査を行う
  • 高齢者のNCSEは「けいれんなし」の「ぼんやり・混乱」として現れる——見逃されやすい
  • 抗てんかん薬で劇的に改善する「治る認知症」——脳波検査の積極的活用を
  • 長期のてんかんが海馬を萎縮させ、累積的な認知機能低下をもたらす——適切な発作管理が脳を守る
  • アルツハイマー病との合併が多い——両方を管理する治療戦略が必要
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