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分類8その他・稀な遺伝性疾患5分で読めます

ファブリー病とは?

脂質代謝異常による全身性の遺伝性疾患

この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

体験談・具体的な事例

小林拓海さん(仮名・27歳)は子どものころから「足の裏が焼けるように痛い」という症状に悩んでいました。「気のせい」と言われ続けましたが、20代になって「温度を感じにくい」という異変も出てきました。 ある日、「なんか体が熱い」と感じながら運動していると突然意識を失いました。病院でMRIを撮ると脳の白質に小さな異常が見つかり、「27歳にしては脳の血管に問題がある」と神経内科に紹介されました。 詳細な検査でα-ガラクトシダーゼA(GLA)酵素活性が著明に低下しており、GLA遺伝子の変異が確認されました。「ファブリー病」の診断でした。「脂質(Gb3)が全身の血管・臓器に蓄積するX連鎖性の遺伝性疾患です」と説明を受けました。 「幼少期からの灼熱痛、温度感覚異常——全部がこの病気の症状だったんですね」と拓海さんは言いました。「早く診断できれば、酵素補充療法で進行を遅らせられます」との言葉に、早期発見の重要性を改めて感じました。 現在、2週間に1回の酵素補充療法(アガルシダーゼβ)点滴を続けています。脳・心臓・腎臓への進行を抑制するための治療が続いています。

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基礎知識の解説

ファブリー病とは

ファブリー病は、GLA遺伝子変異によりα-ガラクトシダーゼA酵素が欠損し、糖脂質(Gb3・lyso-Gb3)が全身の血管内皮・神経・臓器に蓄積するX連鎖性のライソゾーム病です。若年性脳梗塞・心筋症・腎不全の三大合併症と、四肢末端の灼熱痛・発汗障害が特徴です。酵素補充療法で進行を抑制できます。

主な症状

  • 1四肢末端の灼熱痛(ファブリー疼痛)
  • 2発汗障害(無汗症・低発汗)
  • 3角膜混濁(輪状混濁)
  • 4毛細血管拡張症(被膜血管腫)
  • 5若年性脳梗塞・TIA
  • 6認知機能障害(脳血管病変の蓄積による)
  • 7心筋症・不整脈
  • 8腎不全(タンパク尿から進行)

原因・メカニズム

GLA酵素欠損によりGb3が全身の血管内皮・平滑筋・心筋・神経・腎糸球体に蓄積します。血管内皮のGb3蓄積が血管壁を障害し、血栓形成・血管狭窄を引き起こします。Gb3の神経毒性が末梢神経の小線維を障害し、灼熱痛を引き起こします。X連鎖性のため男性が重症、女性は保因者で軽症〜無症状のことが多いです。

診断

男性:血漿α-ガラクトシダーゼA酵素活性の著明な低下で診断します。女性:酵素活性が正常範囲でも変異を持つことがあるため、GLA遺伝子解析が必要です。血漿lyso-Gb3の上昇が活動性マーカーとして有用です。皮膚生検や電子顕微鏡でGb3封入体を確認できます。

治療・ケア

酵素補充療法(ERT):アガルシダーゼα/β(2週間に1回の点滴)が主体です。シャペロン療法(ミガラスタット):特定の変異に有効な経口薬です。疼痛:カルバマゼピン・ガバペンチンが灼熱痛に有効です。腎・心・脳の合併症への対症療法を並行して行います。

予後・経過

未治療では30〜40代で重篤な合併症(心筋症・腎不全・脳梗塞)が生じます。ERT早期開始で臓器障害の進行を遅らせられます。女性保因者も症状が出る場合があり、治療対象となります。

この疾患の重要ポイント

  • 「若年性脳梗塞」の患者にはファブリー病のスクリーニングを(GLA酵素活性・lyso-Gb3)
  • 「幼少期からの原因不明の手足の灼熱痛・発汗障害」はファブリー病のサイン
  • X連鎖性——男性は重症、女性保因者も症状が出ることがある
  • 酵素補充療法(ERT)で進行を抑制できる——早期診断が長期予後を変える
  • 多臓器(脳・心・腎)の包括的管理が必要——多職種チームでの対応を
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