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分類4代謝・内分泌・栄養の異常5分で読めます

副甲状腺機能異常(高カルシウム血症)とは?

カルシウム代謝異常による認知機能障害

この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

体験談・具体的な事例

野口敏子さん(仮名・69歳)は骨粗鬆症の検査のために受けた血液検査で、カルシウム値が高いことを指摘されました。「カルシウムが高いとどういう問題があるの?」と思っていた敏子さんでしたが、担当医は「脳にも影響が出ることがある」と言いました。 確かに思い当たることがありました。最近ぼんやりしている、疲れやすい、便秘がひどくなった、気分が沈む——そういった症状が半年ほど続いていました。 副甲状腺ホルモン(PTH)の値も高く、「原発性副甲状腺機能亢進症」と診断されました。副甲状腺の腺腫(良性の腫瘍)が過剰なPTHを分泌し、骨からカルシウムが溶け出して血液中に増加していました。 外科手術で腺腫を摘出した後、カルシウム値は速やかに正常化しました。「手術の翌日から、頭がすっきりした」と敏子さんは言います。認知機能検査でも改善が確認されました。 「まさか骨の検査が認知症の治療につながるとは」と敏子さんは笑います。骨粗鬆症の定期検査が、思わぬ「治る認知症」の発見につながったのでした。

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基礎知識の解説

副甲状腺機能異常(高カルシウム血症)とは

副甲状腺機能亢進症(特に原発性)では、副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌により高カルシウム血症が生じ、認知機能障害・抑うつ・倦怠感などの神経精神症状を引き起こします。手術による腺腫摘出で根治できる「治る認知症」の一つです。

主な症状

  • 1認知機能低下(集中力・記憶力の低下)
  • 2倦怠感・易疲労感
  • 3抑うつ・不安
  • 4無気力
  • 5多飲・多尿
  • 6便秘
  • 7悪心・嘔吐
  • 8骨粗鬆症・骨折・骨痛

原因・メカニズム

副甲状腺腺腫(または過形成)から過剰なPTHが分泌され、骨からのカルシウム放出が増加します。高カルシウム血症は神経細胞の興奮性を低下させ、神経伝達を障害します。脳内の神経回路全体の活動が低下することで、認知機能・感情・覚醒度が影響を受けます。

診断

血液検査でカルシウム高値・PTH高値を確認します。尿中カルシウム排泄増加も確認します。頸部エコー・核医学検査(Tc-セスタミビシンチ)で腺腫を同定します。骨密度測定で骨への影響を評価します。

治療・ケア

原発性副甲状腺機能亢進症の確実な根治は腺腫摘出術です。手術で多くの患者の症状が大幅に改善します。手術ができない場合は、シナカルセット(カルシウム模倣薬)で高カルシウム血症を管理します。

予後・経過

手術で根治した場合、認知症様症状は多くの場合に回復します。長期間放置した場合は一部の障害が残ることがあります。

この疾患の重要ポイント

  • 高カルシウム血症は「骨・石・うめき声・精神症状」で覚える(bones, stones, groans, psychiatric)
  • 認知症疑いには必ず血清カルシウム・PTH検査を含める
  • 手術で根治できる——早期発見が「治る認知症」につながる
  • 骨粗鬆症の血液検査が偶然の発見につながることがある——健診の重要性
  • 副甲状腺機能低下症でも低カルシウム血症により神経症状が出る点に注意
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