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分類4代謝・内分泌・栄養の異常5分で読めます

低血糖症とは?

糖尿病治療の副作用などで起こる脳へのダメージ

この記事は一般的な知識提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

体験談・具体的な事例

山口文雄さん(仮名・72歳)は2型糖尿病で、スルホニルウレア系の血糖降下薬を長年服用していました。「きちんと薬を飲んでいれば大丈夫」と思っていた文雄さんでしたが、70歳を過ぎたころから思わぬ問題が起き始めました。 朝食前に異常に汗をかき、手が震える。気づいたら床に倒れていたこともありました。「低血糖だった」と後から妻に言われましたが、本人にはその時間帯の記憶がありません。 低血糖発作が繰り返されるうちに、妻の清子さんは夫の「ぼんやりさ」が増していることに気づきました。以前は達者だった計算が遅くなり、TVの話題を追えなくなった。かかりつけ医に相談すると、「低血糖が繰り返されることで、脳にダメージが蓄積していく可能性がある」と説明を受けました。 血糖降下薬が見直され、低血糖のリスクが少ない薬(DPP-4阻害薬)に変更されました。食事指導・血糖測定の徹底で、低血糖発作は激減しました。 「高齢になると低血糖でも自覚症状が出にくくなる。気づかないまま繰り返すと脳への影響が蓄積する」——文雄さんはこの経験から、「自分の体のサインを見逃さないようにしよう」と意識が変わりました。

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基礎知識の解説

低血糖症とは

低血糖症(特に糖尿病治療薬による)が繰り返されると、脳神経細胞へのダメージが蓄積し、認知機能障害を引き起こします。高齢者は低血糖の症状(汗・震え・動悸)を感じにくく(無自覚性低血糖)、気づかないまま繰り返すことが多いです。血糖管理薬の見直しと低血糖予防が最重要です。

主な症状

  • 1低血糖発作時:発汗・手の震え・動悸・顔面蒼白
  • 2低血糖発作時:意識障害・けいれん(重篤例)
  • 3認知機能低下(繰り返す低血糖の後遺症)
  • 4記憶障害・集中力低下
  • 5高齢者では症状が出にくい(無自覚性低血糖)
  • 6夜間低血糖(睡眠中に気づかず起きる)
  • 7早朝のぼんやり感・倦怠感

原因・メカニズム

脳はブドウ糖を主なエネルギー源とし、グリコーゲン貯蔵を持ちません。血糖が低下すると脳のエネルギー供給が途絶え、特に海馬・皮質などの神経細胞が脆弱になります。重篤または繰り返す低血糖は、神経細胞死・軸索障害を引き起こし、永続的な認知機能障害につながります。

診断

血糖値の測定(低血糖発作時:<70mg/dL、重篤例:<50mg/dL)で確認します。HbA1cが低すぎる(過剰治療)場合も低血糖リスクを示唆します。持続血糖測定(CGM)で無自覚性低血糖を検出します。認知機能検査と既往の低血糖エピソードを照合します。

治療・ケア

急性期:ブドウ糖摂取(経口または静注)。予防:低血糖リスクの少ない薬剤への変更(DPP-4阻害薬・SGLT-2阻害薬・GLP-1作動薬)。高齢者のHbA1c目標を緩めに設定(7.5〜8.0%以下)。患者・家族への低血糖対応教育が重要です。

予後・経過

低血糖の繰り返しを防ぐことで認知機能の悪化を防止できます。すでに生じた認知障害の回復は困難なことが多いですが、低血糖を止めることで進行を止められます。

この疾患の重要ポイント

  • 「高齢糖尿病患者の認知症」には低血糖の繰り返しが関与している可能性を常に検討する
  • 高齢者は低血糖症状を感じにくい(無自覚性低血糖)——血糖測定と周囲の観察が重要
  • HbA1cを下げすぎることが脳を傷める——高齢者の血糖目標は緩めに設定する
  • スルホニルウレア系・インスリンが特に低血糖リスクが高い——見直しを検討
  • 低血糖で倒れた後に「記憶がない」は脳へのダメージのサイン——すぐに受診を
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