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神経フェリチン症の重要ポイント
「40〜55歳発症の不随意運動・認知機能低下+家族歴(常染色体優性)」ではNBIAの一型として神経フェリチン症を鑑別する
「血清フェリチン低値」は逆説的な所見——体内に鉄が過剰なのに血清では低値になる、この組み合わせが診断の鍵
MRI T2強調画像の基底核低信号(鉄沈着)が特徴的——SWIを追加すると鮮明に描出できる
FTL遺伝子解析が確定診断——ハンチントン病・他のNBIAとの鑑別に遺伝子検査が必須
常染色体優性遺伝——子・兄弟への遺伝確率50%、遺伝カウンセリングと成人後の遺伝子検査の選択肢を必ず提案する
鉄キレート療法(デフェリプロン)が現時点での中心的治療——超稀少疾患のため国内NBIA専門施設への紹介が重要
体験談・具体的な事例
基礎知識の解説
神経フェリチン症とは
神経フェリチン症(Neuroferritinopathy)は、フェリチン軽鎖遺伝子(FTL)の変異によって異常なフェリチンタンパクが産生され、鉄が脳の基底核(線条体・淡蒼球・視床)に過剰沈着する常染色体優性遺伝の超稀少疾患です。「脳内鉄沈着を伴う神経変性疾患(NBIA)」の一型で、世界で100家系以下の報告しかありません。40〜55歳に発症することが多く、不随意運動(舞踏様運動・ジストニア)・構音障害・認知機能障害が主症状です。血清フェリチン値の低下とMRIの基底核T2低信号が特徴的な診断手がかりです。
主な症状
- 1不随意運動(舞踏様運動・ジストニア——四肢・体幹・顔面)
- 2構音障害(ろれつが回りにくい、言葉がもつれる)
- 3嚥下障害(誤嚥リスク、進行期に顕著)
- 4小脳失調(ふらつき・歩行障害)
- 5眼球運動障害(一部症例)
- 6認知機能低下(実行機能・注意の障害が先行)
- 7精神症状(抑うつ・認知症様症状・行動変容)
- 8血清フェリチン値の低下(逆説的な所見:体内鉄過剰なのに血清は低値)
- 9MRI T2強調画像での基底核低信号(鉄沈着)
- 10常染色体優性遺伝による家族集積(親・兄弟・子への50%遺伝リスク)
原因・メカニズム
原因・メカニズム
FTLタンパク(フェリチン軽鎖)は鉄を安全にフェリチン複合体内に貯蔵する役割を担います。FTL遺伝子のフレームシフト変異(c.460dupA等)により、異常なC末端を持つフェリチン軽鎖タンパクが産生されます。この変異型フェリチンは鉄を正常に取り込めず、鉄を「漏出」させます。余剰の鉄がフェントン反応を介してフリーラジカル(活性酸素種)を大量産生し、基底核神経細胞に酸化ストレスを与えることで選択的な神経変性が生じます。鉄の毒性は線条体・淡蒼球・視床の神経回路を優先的に障害し、不随意運動・認知症様症状の原因となります。
診断
診断
MRIのT2強調画像で両側基底核(特に被殻・淡蒼球)の低信号(鉄沈着)を確認することが診断の第一歩です(Chinnery ら 2007)。SWI(磁化率強調画像)ではさらに鮮明に鉄沈着を描出できます。血清フェリチン値の低下(≦20 ng/mL または正常下限以下)は逆説的な所見として重要な診断手がかりです(体内では鉄が蓄積しているため、通常はフェリチン高値を呈するはずであり、低値は異常なフェリチン機能を示唆します)。FTL遺伝子の変異解析で確定診断します。鑑別診断として、ハンチントン病・パントテン酸キナーゼ関連神経変性症(PKAN)・その他のNBIA(BPAN・MPAN等)との鑑別が必要です。家族歴(常染色体優性)の確認も診断に有用です。
治療・ケア
治療・ケア
根治療法はありません。鉄キレート療法(デフェリプロン 25〜30 mg/kg/日 分3経口投与)が脳内鉄の排泄を促す可能性があり、進行を緩やかにする効果が期待されていますが、エビデンスは限定的です。不随意運動(舞踏様運動)にはクロナゼパム・テトラベナジン、ジストニアにはボツリヌス毒素局所注射が使用されます。構音・嚥下障害には言語療法、運動機能低下には理学療法・作業療法を継続的に行います。遺伝カウンセリングが家族計画において不可欠です。稀少疾患であるため、NBIA専門施設(国内では大学病院神経内科)での管理が推奨されます。
予後・経過
予後・経過
通常40〜55歳に発症し、発症後10〜20年で著明な機能低下を来します。進行速度には個人差があり、同一家系内でも差が見られることがあります。不随意運動と構音・嚥下障害が先行し、後期には認知症様症状・誤嚥性肺炎が問題となります。誤嚥性肺炎・感染症が主な死因となることが多いです。
神経フェリチン症の重要ポイント
「40〜55歳発症の不随意運動・認知機能低下+家族歴(常染色体優性)」ではNBIAの一型として神経フェリチン症を鑑別する
「血清フェリチン低値」は逆説的な所見——体内に鉄が過剰なのに血清では低値になる、この組み合わせが診断の鍵
MRI T2強調画像の基底核低信号(鉄沈着)が特徴的——SWIを追加すると鮮明に描出できる
FTL遺伝子解析が確定診断——ハンチントン病・他のNBIAとの鑑別に遺伝子検査が必須
常染色体優性遺伝——子・兄弟への遺伝確率50%、遺伝カウンセリングと成人後の遺伝子検査の選択肢を必ず提案する
鉄キレート療法(デフェリプロン)が現時点での中心的治療——超稀少疾患のため国内NBIA専門施設への紹介が重要
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