介護離職を避け、仕事との両立を図る
職場や制度を活用し、経済的安定を保つ
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
介護の負担が増えると、「仕事を辞めるしかない」と思い込んでしまうことがあります。しかし、介護休業や勤務時間の短縮といった両立支援制度を活用することで、経済的な安定を保ちながら介護を続けられる可能性があります。
体験談
母(80歳、アルツハイマー型認知症)の症状が進み、通院やデイサービスの送り出しなど、日中の対応が増えてきた頃、私は「もう仕事を続けながらの介護は無理かもしれない」と、退職を真剣に考え始めていました。上司に相談しようとした矢先、たまたま社内の福利厚生の案内で「介護休業制度」という言葉を目にしました。
詳しく調べてみると、介護休業や介護休暇、勤務時間の短縮など、法律で定められた両立支援の制度があることを知りました。人事担当者に相談すると、思っていた以上に柔軟な働き方ができる可能性があることが分かり、退職以外の選択肢が見えてきました。
結局、介護休業を一時的に取得して生活のリズムを整え、その後は時短勤務とデイサービスを組み合わせることで、仕事を続けながら介護をする体制を整えることができました。
「介護と仕事の両立は無理だ」と思い込み、退職という選択肢しか見えていなかった自分に気づき、反省しました。制度を知り、活用することで、経済的な基盤を保ちながら介護を続けられる道があったのだと実感しました。
— 80歳の母(アルツハイマー型認知症)を介護しながら働く52歳女性
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なぜ介護離職は避けるべきなのか
なぜ介護離職は避けるべきなのか
介護の負担が増えると、「仕事を続けながらの介護は無理だ」と、退職を選択してしまうことがあります。しかし、介護離職は、収入の減少だけでなく、社会とのつながりの喪失、将来的な年金額への影響など、長期的に大きな不利益をもたらす可能性があります。
介護は、いつまで続くか予測が難しいものであり、収入源を断ってしまうことは、経済的な不安を増大させ、結果的に介護そのものを続けることを難しくするリスクもあります。退職を決断する前に、利用できる両立支援制度を十分に検討することが重要です。
仕事との両立を図る工夫
仕事との両立を図る工夫
1介護休業・介護休暇制度を知る
法律により、対象家族一人につき通算93日まで取得できる介護休業や、年5日(対象家族が2人以上は10日)取得できる介護休暇の制度があります。まずは自社の制度を人事担当者に確認しましょう。
2勤務時間の短縮や柔軟な働き方を相談する
短時間勤務、フレックスタイム、テレワークなど、勤務形態を柔軟に調整できる制度がないか、会社に相談してみましょう。
3介護保険サービスと組み合わせる
デイサービスやショートステイ、訪問介護などを活用し、日中の介護を外部サービスに委ねることで、就業時間を確保しやすくなります。
4早めに職場に相談する
介護の状況を一人で抱え込まず、早い段階で上司や人事担当者に相談することで、利用できる制度や配慮について、具体的な調整がしやすくなります。
5地域の相談窓口も活用する
ハローワークや地域の「介護離職防止」を掲げる相談窓口でも、両立に関する情報提供や相談を受けられます。
💬 「退職しかないと思い込んでいました」
💬 「退職しかないと思い込んでいました」
介護経験者からのアドバイス
「介護の負担が増えたとき、退職以外の選択肢が見えていませんでした。でも、介護休業制度を知ったことで、視野が大きく広がりました。
制度を活用しながら、仕事と介護を両立できる体制を整えられたことで、経済的な不安も減り、気持ちにも余裕が生まれました。知らなかっただけで、実は多くの選択肢があったのだと実感しています。」
両立を続けるための心構え
両立を続けるための心構え
- 完璧な両立を目指さず、状況に応じて働き方を柔軟に見直す
- 職場に頼ることは悪いことではないと考える
- 一時的に業務量を調整してもらうなど、無理のない範囲で相談する
こんな時は退職も含めて総合的に検討すべき
こんな時は退職も含めて総合的に検討すべき
- 両立支援制度を活用しても、心身の限界を感じている
- 職場の理解が得られず、両立の継続が困難な状況にある
- 本人の状態が悪化し、常時の付き添いが必要になっている
こうした場合は、退職を含めた選択肢についても、ファイナンシャルプランナーやケアマネジャー、地域の相談窓口と一緒に、総合的に検討しましょう。
まとめ:退職の前に、両立支援制度を確認する
まとめ:退職の前に、両立支援制度を確認する
介護の負担が増えたときこそ、「仕事を辞めるしかない」と決めつける前に、介護休業や勤務時間短縮といった両立支援制度を確認することが大切です。制度を活用することで、経済的な安定を保ちながら、介護を続けられる可能性が広がります。
実践のステップ
自社の介護休業・介護休暇制度の内容を人事担当者に確認する
短時間勤務やテレワークなど柔軟な働き方を会社に相談する
デイサービスや訪問介護など介護保険サービスと組み合わせて就業時間を確保する
介護の状況を早い段階で上司や人事担当者に相談する
ハローワークや地域の介護離職防止相談窓口も活用する
注意点
両立支援制度を活用しても心身の限界を感じている場合、職場の理解が得られず両立の継続が困難な状況にある場合、本人の状態が悪化し常時の付き添いが必要になっている場合は、退職を含めた選択肢について、ファイナンシャルプランナーやケアマネジャー、地域の相談窓口と一緒に総合的に検討してください。
応用・バリエーション
正社員以外の雇用形態で働いている場合でも、一定の条件を満たせば介護休業・介護休暇の対象になることがあります。雇用形態にかかわらず、まずは制度の対象になるか確認してみましょう。
まとめ
このヒントのポイント
介護の負担増加で安易に退職を選択すると長期的な不利益が大きい
介護休業・介護休暇・勤務時間短縮など法律で定められた両立支援制度がある
介護保険サービスと組み合わせることで就業時間を確保しやすくなる
早めに職場に相談することが具体的な調整につながる
限界を感じる場合は退職も含めて総合的に検討する
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