目線を合わせ、穏やかな表情で接する
非言語コミュニケーションで安心感と尊重を示す
ケーススタディ
デイサービスで働くCさんは、利用者のDさん(75歳、アルツハイマー型認知症)とのコミュニケーションに悩んでいました。「お風呂に入りましょう」と声をかけても、Dさんは理解できない様子で首を傾げるばかりでした。
ある日、Cさんは言葉だけでなく、タオルと石鹸を実際に見せながら「お風呂です」と伝えてみました。すると、Dさんは「ああ、お風呂ね」とすぐに理解し、スムーズに入浴介助ができました。
それからは、食事の時間には食器を見せ、外出の時には帽子とバッグを見せるようにしました。視覚的な情報を加えることで、Dさんとのコミュニケーションが格段に円滑になったのです。
Dさん(75歳) - アルツハイマー型認知症・中等度、デイサービス利用中
言葉だけでは理解が難しい場合、ジェスチャーや実物を見せることで、視覚的に情報を補い、理解を助けることができます。
詳しく知る
認知症が進行すると、言語理解が難しくなります。特に抽象的な言葉(「お風呂」「食事」など)は、音として聞こえても意味が結びつきにくくなることがあります。
このような場合、視覚的な情報を活用することが非常に効果的です。視覚情報は言語情報よりも直感的に理解しやすく、記憶にも残りやすいという特徴があります。
視覚的な情報の活用方法には、次のようなものがあります。
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実物を見せる: タオル、食器、衣類など、実際に使うものを見せることで、何をするのかを直感的に理解できます。
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ジェスチャーを使う: 「食べる」動作や「歩く」動作を実演することで、言葉の意味を補強します。
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図や写真を使う: トイレのマーク、自分の部屋の写真など、視覚的な目印があると、場所や目的が分かりやすくなります。
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文字を書く: 聴覚より視覚の方が残存している場合、大きな文字で書いて見せることが有効です。
認知症のタイプによっては、視覚認知が低下している場合もあるため、その方の状態に合わせて適切な方法を選ぶことが大切です。
実践のステップ
話しかける時は、関連する物を実際に見せる
「お風呂」「食事」などの言葉に、タオルや食器などの実物を添える
身振り手振りを大きく、ゆっくり見せる
トイレや自室など、よく使う場所に写真や絵のマークを貼る
聞き取りにくい時は、紙に大きく書いて見せる
その方の視力や視覚認知の状態を把握しておく
注意点
レビー小体型認知症など、視覚認知に問題がある場合、図や写真が逆に混乱を招くことがあります。その方の認知症のタイプと症状を理解した上で、適切な方法を選びましょう。また、視力低下がある場合は、眼鏡の使用や照明の調整も重要です。
応用・バリエーション
スケジュールボードに、時間ごとの活動を写真やイラストで示しておくと、一日の流れが視覚的に分かりやすくなります。また、家族の写真を見せながら名前を伝えることで、人物の認識を助けることもできます。
まとめ
言葉だけでなく視覚情報を加える
実物、ジェスチャー、図、文字を活用
視覚認知の状態に合わせた方法選択
場所や時間の目印に写真やマークを使用
聴覚より視覚の方が残存している場合が多い