ジェスチャーや写真を使って意思を確認する
言葉が難しくなっても、視覚情報でコミュニケーションを補完
ケーススタディ
特別養護老人ホームの介護士Gさんは、利用者のHさん(77歳、アルツハイマー型認知症)に「昼食は何を食べたいですか?」と聞いても、Hさんは答えられずに困った表情をすることに気づきました。
Gさんは質問の仕方を変えました。「お魚は好きですか?」と聞くと、Hさんは「はい」と答えました。続けて「今日はお魚とお肉、どちらがいいですか?」と2択で聞くと、「お魚」と即答しました。
それ以来、Gさんは「YES/NO」で答えられる質問や、2択の質問を中心に使うようにしました。Hさんは自分の意思を伝えられることに自信を持ち、表情も明るくなっていきました。
Hさん(77歳) - アルツハイマー型認知症・中等度、特別養護老人ホーム入所中
複雑な質問は答えにくく、混乱を招きます。YES/NOで答えられる質問や、2択の質問にすることで、自分の意思を伝えやすくなります。
詳しく知る
認知症が進行すると、言語能力、特に「考えて答える」という能力が低下します。「何を食べたいか」「どこに行きたいか」といったオープンな質問は、選択肢が無限にあるため、答えることが非常に難しくなります。
複雑な質問がもたらす問題:
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思考の負担: 複数の選択肢を思い浮かべ、比較し、選ぶという一連のプロセスが困難です。
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混乱と不安: 答えられないことで、混乱や不安を感じます。
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自信の喪失: 「自分は何も決められない」と感じてしまいます。
シンプルな質問形式の利点:
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YES/NO質問: 「はい」か「いいえ」で答えられるので、思考の負担が最小限です。
- 例: 「お茶を飲みますか?」「散歩は好きですか?」
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2択質問: 2つの選択肢から選ぶだけなので、比較が簡単です。
- 例: 「お茶とコーヒー、どちらがいいですか?」
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具体的な質問: 抽象的ではなく、具体的な内容にします。
- 例: 「今日は何をしますか?」→「散歩に行きますか?」
これらの質問形式により、本人は自分の意思を伝えることができ、自己決定の喜びを感じられます。
実践のステップ
オープンな質問(「何が~」「どこに~」)を避ける
YES/NOで答えられる質問にする
2つの選択肢から選ぶ形式にする
具体的な内容を提示して質問する
答えられない場合は、質問の仕方を変えてみる
「分からない」と答えた時も、責めずに別の聞き方を試す
注意点
ただし、YES/NO質問ばかりだと、本人の意思が反映されない場合があります。例えば「お風呂に入りますか?」と聞いて「いいえ」と答えても、実際には入浴が必要な場合もあります。その時は、時間を置いてから再度聞いたり、「温かいお湯が気持ちいいですよ」と別の角度から提案したりしましょう。
応用・バリエーション
選択肢を提示する際は、実物や写真を見せると、さらに答えやすくなります。「リンゴとバナナ、どちらがいいですか?」と聞く時に、実際の果物を見せることで、視覚的にも理解しやすくなります。
まとめ
複雑な質問は混乱を招く
YES/NOで答えられる質問にする
2択で選択肢を明確に
具体的な内容で質問する
自己決定の機会を大切に