昔の話に耳を傾け、記憶を一緒に楽しむ
長期記憶を活かして自尊心を保ち、楽しい時間を共有
体験談
夫が認知症と診断されてから、よく「不安だ」「怖い」と訴えるようになりました。最初は「大丈夫よ、何も心配ないわ」と励ましていましたが、夫はますます不安そうな顔をするばかりでした。
認知症カフェで相談したところ、「否定せずに、まず感情を受け止めてあげてください」とアドバイスを受けました。それからは、夫が「不安だ」と言ったら、「不安なんだね。何が不安なの?」と聞くようにしました。
すると、夫は「道が分からない」「家に帰れない気がする」と具体的な不安を話してくれるようになりました。「そうか、道が分からないと不安だよね。でも大丈夫、私がそばにいるからね」と伝えると、夫は安心した表情を見せるようになりました。
感情を否定せず、共感することの大切さを学びました。
— 75歳の夫(初期アルツハイマー型認知症)を在宅介護する70代妻
不安や恐怖、悲しみなどの感情を否定せず、「そうなんですね」と受け止め、共感を示すことで、心の安定につながります。
詳しく知る
認知症のある方は、記憶障害や判断力の低下により、常に不安や混乱を抱えています。自分がどこにいるのか、何をすべきなのか、周囲の人が誰なのか、といった基本的なことが分からなくなることもあります。
このような状況で感じる不安や恐怖は、とても大きなものです。この感情を「心配ない」「大丈夫」と否定すると、本人は「自分の気持ちを理解してもらえない」と感じ、孤独感や不信感を募らせます。
感情を受け止める共感的なコミュニケーションには、次のステップがあります。
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感情を言葉で確認する: 「不安なんですね」「寂しいんですね」と、相手の感情を言葉にして返します。
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理由を聞く: 「何が不安ですか?」と優しく尋ねます。答えられなくても、聞く姿勢が大切です。
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共感を示す: 「そう感じるのは当然ですね」「それは辛いですね」と、感情に寄り添います。
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安心材料を提供する: 「私がそばにいますよ」「一緒にいますから大丈夫」と、具体的な安心感を伝えます。
感情を受け止めることで、本人は「理解してもらえた」と感じ、心が落ち着きます。
実践のステップ
「不安だ」「怖い」などの感情表現を、まず受け止める
「大丈夫」と安易に否定しない
「不安なんですね」と、感情を言葉で確認する
「何が不安ですか?」と優しく理由を聞く(答えられなくてもOK)
「それは辛いですね」「そう感じるのは自然ですよ」と共感する
「私がそばにいますよ」と、安心感を具体的に伝える
注意点
ただし、過度に心配そうな態度を見せると、かえって本人の不安を増幅させることがあります。共感しつつも、穏やかで落ち着いた態度を保つことが大切です。また、不安の背景に身体的な不調(痛み、空腹、排泄の不快感など)がないかも確認しましょう。
応用・バリエーション
怒りや悲しみなど、他の感情に対しても同じアプローチが有効です。「悲しいんですね」「悔しいんですね」と受け止め、「そう感じるのは当然ですね」と共感することで、感情が落ち着いていきます。
まとめ
感情を否定せず、まず受け止める
「不安なんですね」と言葉で確認
理由を優しく聞く(答えられなくてもOK)
共感の言葉で寄り添う
具体的な安心感を提供する