できることを見つけて感謝の言葉を伝える
残存能力に注目し、自己効力感を維持する
体験談
父が認知症になってから、危ないことをしようとすることが増えました。ガスコンロを使おうとする時に「お父さん、火を使わないで!」と止めていましたが、父は頑固に「自分でやる!」と怒り出してしまいます。
ケアマネージャーさんから「『~しないで』という否定形ではなく、『~しましょう』というポジティブな言い方に変えてみては?」とアドバイスを受けました。
それからは、「お父さん、一緒にお茶を飲みましょう」「お父さん、散歩に行きましょう」と、別の活動に誘うようにしました。すると、父は素直に応じてくれるようになり、危険な行動も自然に避けられるようになりました。
言葉の使い方一つで、こんなにも反応が変わるのかと驚いています。
— 82歳の父(レビー小体型認知症)を在宅介護する55代息子
「~しないで」という否定形は反発を招きます。「~しましょう」とポジティブに代替案を提示することで、スムーズに行動を変えられます。
詳しく知る
認知症のある方は、否定的な言葉に敏感に反応することがあります。「~しないで」「ダメ」「やめて」という言葉は、制限や否定のメッセージとして受け取られ、反発心や不安を引き起こします。
これは、認知症によって「なぜ止められているのか」という理由の理解が難しくなっているためです。理由が分からないまま行動を制限されると、本人は「自分が否定されている」と感じてしまいます。
ポジティブなコミュニケーションには、次のような効果があります。
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反発を減らす: 否定ではなく提案なので、受け入れやすくなります。
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具体的な行動を示す: 「何をすればよいか」が明確になります。
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自尊心を守る: 命令や制限ではなく、一緒に行動する提案なので、尊重されている感覚が保たれます。
具体的な言い換えの例:
- 「外に出ないで」 → 「一緒にお茶を飲みましょう」
- 「それを触らないで」 → 「こちらを見てください」
- 「大きな声を出さないで」 → 「少し静かに話しましょうか」
- 「歩き回らないで」 → 「ここに座って休みましょう」
このように、「しないでほしいこと」ではなく、「してほしいこと」を伝えることが大切です。
実践のステップ
「~しないで」という言葉を使う前に、一呼吸置く
「代わりに何をしてもらうか」を考える
「~しましょう」「~しませんか」とポジティブに提案する
危険な行動は、別の魅力的な活動に誘導する
「一緒に」という言葉を添えて、共同作業の形にする
命令形ではなく、依頼形や提案形を使う
注意点
ただし、緊急時や危険が切迫している場合は、明確に「止まって!」「待って!」と伝える必要があります。その場合も、できるだけ穏やかな声で、理由を簡潔に添えると良いでしょう(「危ないから、待って」など)。
応用・バリエーション
食事の場面でも応用できます。「それは食べないで」ではなく、「こちらを食べましょう」と別の食べ物を勧めることで、スムーズに誘導できます。また、「服を脱がないで」ではなく、「上着を羽織りましょう」と提案することも有効です。
まとめ
否定形「~しないで」は反発を招く
ポジティブな提案「~しましょう」に言い換える
代替案を具体的に提示
「一緒に」で共同作業の形に
自尊心を守る言葉選び