食器の色や形を工夫して視認性を上げる
認知機能の低下を環境で補う
ケーススタディ
デイサービスで働くQさんは、利用者のRさん(80歳、アルツハイマー型認知症)が食事をほとんど食べないことに悩んでいました。Rさんは食卓に座っても、目の前の食事に気づかない様子で、ぼんやりとしていました。
ある日、Qさんは作業療法士のアドバイスを受けて、Rさんの食器を変えてみました。白いテーブルクロスの上に白い食器を置いていたのを、赤や青など、鮮やかな色の食器に変え、テーブルクロスも濃い色に変更しました。
すると、Rさんは食器に気づき、「あ、ご飯がある」と言って、自分から食べ始めたのです。それ以降、Rさんの食事摂取量は大幅に改善しました。
Qさんは「視覚的な工夫で、こんなにも変わるのか」と驚き、他の利用者にも同じ配慮をするようになりました。
Rさん(80歳) - アルツハイマー型認知症、デイサービス利用中
食器の色や形を工夫して視認性を上げることで、食事に気づきやすくなり、自分で食べられるようになります。
詳しく知る
認知症が進行すると、視覚認知機能が低下し、目の前にあるものを認識しにくくなることがあります。特に、背景と同じ色のものは、区別がつかず、「見えていない」状態になります。
視覚認知の問題:
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コントラストの低下: 似た色同士の区別が難しい(白いテーブルの上の白い食器など)。
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立体感の喪失: 平面的に見え、食器の縁や深さが分からない。
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色の認識低下: 特に青系の色が認識しにくい。
視認性を上げる工夫:
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色のコントラスト: テーブルと食器、食器と食べ物の色を対比させる。
- 例: 白いご飯は赤や青の食器に、濃い色の煮物は白い食器に。
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明るい色: 赤、オレンジ、黄色など、明るく鮮やかな色は認識しやすい。
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縁のある食器: 縁に色がついた食器は、立体感が分かりやすい。
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シンプルなデザイン: 柄が複雑だと、食べ物との区別がつきにくい。
これらの工夫により、本人が食事に気づき、自分で食べられるようになることがあります。
実践のステップ
テーブルクロスと食器の色を対比させる
白いテーブルには、赤や青などの食器を使う
食器の縁に色がついたものを選ぶ
食器のデザインはシンプルなものを選ぶ
食べ物と食器の色も対比させる(白いご飯には濃い色の茶碗)
照明を明るくし、食事が見やすい環境を作る
本人の視力や視覚認知の状態を把握しておく
注意点
ただし、認知症のタイプによっては、鮮やかすぎる色が刺激になりすぎることもあります。特に、レビー小体型認知症の方は、視覚的な刺激に過敏な場合があるため、様子を見ながら調整しましょう。
応用・バリエーション
箸やスプーンも、持ち手に色がついたものや、太くて握りやすいものを選ぶと、使いやすくなります。また、ランチョンマットを使って、食事のスペースを明確にするのも効果的です。
まとめ
視覚認知の低下で食事に気づかない
色のコントラストで視認性を上げる
テーブルと食器、食器と食べ物の色を対比
明るく鮮やかな色が認識しやすい
シンプルなデザインを選ぶ