「一人で外出させていいか」「お金の管理を本人に任せていいか」など、安全に関わる判断を医師の視点から得られます。

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徘徊対策でGPS機器や施錠の工夫を

行方不明を防ぐ安全対策

Yuya Kobayashi, MD, PhD

医療監修

Yuya Kobayashi, MD, PhD

認知症専門外来・在宅診療医

見当識障害による外出は、夜間だけでなく日中の見守りが手薄な時間帯にも起こり得ます。玄関の施錠を工夫し、ドアの開閉に気づける仕組みを整えることが、行方不明を防ぐための基本的な対策です。

体験談

祖母(86歳、アルツハイマー型認知症)と暮らし始めてしばらくは、日中は特に問題なく過ごせていたため、玄関の鍵は普段通りの一つだけで、特別な対策はしていませんでした。ある平日の昼下がり、私が2階で家事をしている間に、祖母が一人で外に出てしまったことがありました。

幸い、近所の方が「〇〇さんじゃない?どこか行くの?」と声をかけてくれたことで、大事には至らずに済みましたが、もし誰も気づかなければ、と考えるとぞっとしました。

地域包括支援センターに相談すると、「日中も見守りが手薄になる時間帯があるなら、玄関に補助錠をつけたり、ドアが開いたことが分かるセンサーを設置したりすることをお勧めします」とアドバイスされました。

それから、玄関には本人が一人では開けにくい高さに補助錠を追加し、ドアの開閉を知らせるセンサーチャイムを設置しました。あわせて、近所の方々にも祖母の状況を伝え、見守りの協力をお願いしました。

完全に外出を止めることはできませんが、「気づける仕組み」があることで、私自身も少し肩の力を抜いて日中の家事に取り組めるようになりました。

86歳の祖母(アルツハイマー型認知症)と同居する孫

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なぜ日中も対策が必要なのか

夜間の徘徊対策は意識されやすい一方、日中は「誰かが家にいるから大丈夫」と油断しがちです。しかし、家事や来客対応など、家族がわずかに目を離した隙にも、見当識障害による外出は起こり得ます。

本人にとっては、「何かをしなければ」という思いから、玄関を通って外に出ること自体に強い違和感がない場合が多く、気づかないうちに外出してしまうことがあります。日中・夜間を問わず、家族の目が届かない時間帯を想定した対策が必要です。

施錠と見守りの工夫

1補助錠を高い位置や低い位置に設置する

通常の鍵に加えて、本人の目線や手の届きにくい位置に補助錠を設置することで、一人で開けにくくなります。

2ドアセンサーやチャイムを活用する

ドアが開くと音や通知で知らせるセンサーを設置することで、家族が別の部屋にいても、すぐに気づける体制を整えられます。

3窓の施錠も見直す

玄関だけでなく、窓からの外出が可能な場合は、窓用の補助錠も併せて検討しましょう。

4生活動線の中で見守りが手薄になる時間を把握する

家事や来客対応など、家族の注意が分散しやすい時間帯を把握し、その時間帯に特に注意を払いましょう。

5地域との連携を作っておく

近隣住民や自治会に事情を伝えておくことで、家族の目が届かないときも、地域の目による見守りが助けになることがあります。

💬 「日中は大丈夫だと思い込んでいました」

介護経験者からのアドバイス

「夜間の対策は考えていましたが、日中はまさか大丈夫だろうと油断していました。近所の方が気づいてくれなければ、と思うと今でも怖くなります。

補助錠とセンサーを設置してからは、家事をしていても『気づける』という安心感が生まれました。日中も夜間も、同じように備えることの大切さを実感しています。」

施錠を工夫する際の注意点

  • 火災など緊急時に、家族がすぐに開けられる方法も確保しておく
  • 本人を閉じ込めるという意識ではなく、気づける仕組みを作るという発想を大切にする
  • 補助錠の存在を、本人の尊厳を損なわない形で説明できるよう工夫する

こんな時は専門家に相談

  • 施錠やセンサーを設置しても、外出を試みる行動が頻繁に見られる
  • 実際に外出し、行方不明になったことがある
  • 外出しようとする際に、強い興奮や混乱を伴う

こうした場合は、家庭内の対策だけで抱え込まず、かかりつけ医やケアマネジャー、地域包括支援センターに相談してください。

まとめ:日中も夜間も、同じように備える

見当識障害による外出は、時間帯を問わず起こり得ます。玄関や窓の施錠を工夫し、ドアの開閉に気づける仕組みを整えることが、行方不明という重大な事態を防ぐための基本的な備えになります。

実践のステップ

  1. 本人の目線や手の届きにくい位置に補助錠を設置する

  2. ドアが開くと音や通知で知らせるセンサーを設置する

  3. 玄関だけでなく窓の施錠も見直す

  4. 家事や来客対応など見守りが手薄になる時間帯を把握しておく

  5. 近隣住民や自治会に事情を伝え地域との連携を作っておく

注意点

施錠やセンサーを設置しても外出を試みる行動が頻繁に見られる場合、実際に外出し行方不明になったことがある場合、外出しようとする際に強い興奮や混乱を伴う場合は、家庭内の対策だけで抱え込まず、かかりつけ医やケアマネジャー、地域包括支援センターに相談してください。

応用・バリエーション

本人が特定の目的(『仕事に行く』『子どもを迎えに行く』など)を持って外出しようとする場合は、施錠の工夫と併せて、その気持ちに寄り添った声かけや、注意をそらす関わりも組み合わせると効果的です。

まとめ

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最終更新日:

参考文献

  1. [1]山口晴保(編)認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント 第4版協同医書出版社 (2023)

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