「薬を飲んでくれない」「どう管理すればいい?」という医療的な疑問を認知症を専門とする医師に相談できます。お試し相談¥1,000〜。

相談する
🍽️食事・栄養4分で読める

水分摂取を見守り、脱水を予防する

喉の渇きに気づきにくくなることを理解

Yuya Kobayashi, MD, PhD

医療監修

Yuya Kobayashi, MD, PhD

認知症専門外来・在宅診療医

高齢になると、喉の渇きを感じる感覚そのものが鈍くなり、本人が水分不足を訴えないまま脱水が進むことがあります。本人の訴えを待つのではなく、時間を決めて定期的に水分を勧める見守りが重要です。

体験談

真夏のある日、母(81歳、アルツハイマー型認知症)の様子がいつもとどこか違うことに気づきました。ぼんやりとした表情で、呼びかけへの反応も鈍く、唇が乾いているように見えました。慌てて体温を測ると平熱でしたが、念のため訪問看護師さんに連絡すると、「水分を摂れているか確認してください」と言われ、思い返すと、その日はほとんど水分を口にしていないことに気づきました。

慌てて経口補水液を少しずつ飲んでもらったところ、次第に表情がはっきりしてきて、事なきを得ました。看護師さんからは「高齢になると、喉の渇きを感じる感覚そのものが鈍くなります。本人が『喉が渇いた』と言わないからといって、水分が足りているとは限りません」と説明を受け、ぞっとしました。

それ以来、母には時間を決めて定期的にお茶や水を勧めるようにし、麦茶やゼリー飲料など、母が好んで口にしてくれるものをいくつか常備するようにしました。喉の渇きの訴えを待つのではなく、こちらから積極的に働きかけることの大切さを、あの日の出来事で痛感しました。

81歳の母(アルツハイマー型認知症)を介護する53歳娘

詳しく知る

なぜ脱水に気づきにくいのか

加齢に伴い、喉の渇きを感じるセンサー(口渇中枢)の感度が低下し、体が水分を必要としていても「喉が渇いた」という自覚症状が出にくくなることがあります。さらに認知症があると、喉の渇きという感覚自体をうまく言葉で伝えられなかったり、そもそも水分摂取の必要性を認識しにくくなったりすることもあります。

このため、「本人が欲しがらないから水分は足りているだろう」という思い込みは危険です。気づいたときには脱水がかなり進んでいる、という事態にもなりかねません。脱水は、意識の混濁、体調不良、便秘の悪化、さらには熱中症や尿路感染症のリスク上昇にもつながります。

水分摂取を見守る工夫

1時間を決めて定期的に水分を勧める

本人からの訴えを待つのではなく、食事の合間、起床後、入浴後など、決まったタイミングで水分を勧める習慣を作りましょう。

2好みの飲み物をいくつか用意する

水やお茶が苦手な場合は、麦茶、ジュース、ゼリー飲料、スープなど、本人が好んで口にできる水分補給の選択肢を複数用意しましょう。

3水分摂取量を記録する

一日にどれくらいの水分を摂れているか、簡単な記録をつけることで、不足に気づきやすくなります。

4脱水のサインに注意する

口や唇の乾き、皮膚の張りの低下、尿の色が濃い、ぼんやりした様子、便秘の悪化などは、脱水のサインである可能性があります。

5気温や活動量に応じて意識的に増やす

夏場や暖房の効いた室内で過ごす時間が長い場合は、通常よりも意識的に水分摂取の機会を増やしましょう。

💬 「喉が渇いたと言わないから大丈夫だと思っていました」

介護経験者からのアドバイス

「母が水分を欲しがらないのを見て、『本人が要らないと言うのだから大丈夫』と、正直軽く考えていました。でも、それが大きな間違いだったと分かって、本当に怖くなりました。

今は時間を決めて、こちらから積極的に水分を勧めるようにしています。『喉が渇いたと言わない=足りている』ではないということを、身をもって学びました。」

むせやすい場合の工夫

水分でむせやすい場合は、とろみ剤を使って飲み込みやすい濃度に調整したり、ゼリー状の水分補給食品を活用したりする方法があります。

こんな時は医療機関に相談

  • ぼんやりとした様子、呼びかけへの反応の鈍さが見られる
  • 唇や口の中の乾燥、皮膚の張りの低下が見られる
  • 尿量の減少や、尿の色が濃くなっている
  • 発熱や嘔吐、下痢を伴っている

こうした場合は、脱水が進行している可能性があるため、自己判断で様子を見ず、速やかに医療機関に相談してください。

まとめ:訴えを待たず、こちらから働きかける

喉の渇きを感じる感覚が鈍くなることで、本人が水分不足を自覚し、訴えることが難しくなります。本人からの訴えを待つのではなく、時間を決めて積極的に水分を勧める見守りが、脱水を防ぐ鍵になります。

実践のステップ

  1. 食事の合間、起床後、入浴後など決まったタイミングで水分を勧める

  2. 麦茶やゼリー飲料など、本人が好んで口にできる水分補給の選択肢を複数用意する

  3. 一日の水分摂取量を簡単に記録し不足に気づけるようにする

  4. 口や唇の乾き、尿の色の変化など脱水のサインを日常的に観察する

  5. 夏場や暖房の効いた室内では意識的に水分摂取の機会を増やす

  6. むせやすい場合はとろみ剤やゼリー状の水分補給食品を活用する

注意点

ぼんやりとした様子や呼びかけへの反応の鈍さ、唇や皮膚の乾燥、尿量の減少、発熱や嘔吐・下痢を伴う場合は、脱水が進行している可能性があります。自己判断で様子を見ず、速やかに医療機関に相談してください。

応用・バリエーション

水分摂取を嫌がる場合は、スープや味噌汁、果物など、食事の中で水分を補える工夫を取り入れる方法もあります。飲み物の温度(常温、少し温かいものなど)を変えると受け入れやすくなることもあります。

まとめ

関連するヒント

最終更新日:

参考文献

  1. [1]山口晴保(編)認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント 第4版協同医書出版社 (2023)

本サイトの医療コンテンツは医師による査読を経て公開しています。

監修ポリシーを確認する →

このヒントで解決しないときは医師に相談

個別の状況や症状について、医師にオンラインで直接相談できます。48時間以内に回答が届きます。

お試し相談 ¥1,000(初回1回限定)・48時間以内に医師が回答

介護をひとりで抱え込まないために

医療機関でも使われている資料を、無料会員登録(30秒)でいつでも閲覧できます。

  • 登録無料・30秒で完了
  • 10種の資料がいつでも閲覧可能
  • 個人情報は厳重に管理します