認知症専門医やもの忘れ外来を受診
専門的な診断と治療で進行を遅らせる
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
もの忘れの増加を「年のせい」と決めつけてしまうと、適切な治療の開始が遅れることがあります。認知症専門医やもの忘れ外来を受診し、専門的な診断を受けることが、進行を穏やかにする治療や、今後の生活設計につながります。
体験談
父(78歳)が、同じ話を何度も繰り返したり、簡単な物の名前が出てこなくなったりする様子が増えたとき、私は「年のせいだろう」と、あまり深く考えていませんでした。近所の内科の先生に相談しても、「歳を重ねれば、誰でも多少はもの忘れが増えますよ」と言われ、それ以上の検査は特にありませんでした。
しかし、症状は徐々に進み、道に迷って帰れなくなることまで起こるようになり、さすがに不安を感じて、思い切って「もの忘れ外来」を掲げる専門クリニックを受診することにしました。
専門医による問診と、MRIなどの画像検査、認知機能検査を経て、アルツハイマー型認知症の初期段階であるという診断を受けました。ショックはありましたが、同時に、進行を穏やかにする薬の処方や、今後の生活の組み立て方について、具体的なアドバイスを受けることができました。
「もっと早く専門医に相談していれば」という後悔もありますが、診断を受けたことで、漠然とした不安が、具体的な対応策に変わったことに救われる思いがしました。年のせいだと決めつけず、専門的な診断を受けることの大切さを実感しています。
— 78歳の父の異変に気づき専門医を受診した50歳息子
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なぜ専門医の受診が重要なのか
なぜ専門医の受診が重要なのか
もの忘れの増加は、加齢による自然な変化と、認知症の初期症状との見分けが難しい場合があります。一般的な内科では、専門的な認知機能検査や画像検査を行う体制が整っていないことも多く、「年のせい」として経過観察になってしまうことがあります。
しかし、認知症の種類によっては、早期に治療を開始することで進行を穏やかにできる薬があり、また、治療可能な他の病気(甲状腺機能低下症、正常圧水頭症など)が、もの忘れの症状として現れている場合もあります。専門医による正確な診断は、適切な治療方針を決めるための重要な第一歩です。具体的な工夫は下の実践のステップを参考にしてください。
💬 「年のせいだと思い込んでいました」
💬 「年のせいだと思い込んでいました」
介護経験者からのアドバイス
「近所の先生に『歳のせい』と言われて、それ以上疑うことをしませんでした。でも、症状が進んでから専門医を受診し、もっと早く来ていればと後悔しました。
診断を受けたことで、漠然とした不安が具体的な対応策に変わり、気持ちが少し楽になりました。年齢のせいだと決めつけず、専門的な視点で見てもらうことの大切さを痛感しています。」
受診をためらう気持ちへの向き合い方
受診をためらう気持ちへの向き合い方
診断を受けることへの不安や、本人が受診を嫌がることもあります。「脳の健康診断を受けてみよう」など、本人の不安を煽らない誘い方を工夫したり、家族が先に相談窓口に問い合わせて、受診の進め方についてアドバイスをもらったりする方法もあります。
実践のステップ
地域包括支援センターや医師会にもの忘れ外来・専門外来を相談する
症状がいつ頃からどのように現れたか具体的なエピソードを記録しておく
認知機能検査や画像検査(MRI・CTなど)を受ける
診断結果とあわせて今後の治療方針や利用できる制度について相談する
診断や方針に納得がいかない場合はセカンドオピニオンを検討する
注意点
同じことを何度も尋ねる、置き忘れが極端に増えた、慣れた道で迷う、性格や行動に以前と異なる変化が見られるといったサインがある場合は、『年のせい』と決めつけず、早めに専門医への相談を検討してください。
こんな場合は当てはまらないことも
この項目自体が受診を勧める内容ですが、すでに専門医の診断を受けている場合は、自己判断で治療方針を変更せず、担当医と相談しながら進めてください。
応用・バリエーション
本人が受診に強い抵抗を示す場合は、いきなり『もの忘れ外来』と伝えるのではなく、『脳の健康診断』『物忘れの心配を相談しに』など、本人の不安を煽らない伝え方を工夫しましょう。
まとめ
このヒントのポイント
もの忘れの増加を年齢のせいと決めつけると治療開始が遅れることがある
専門医による認知機能検査・画像検査で正確な診断ができる
治療可能な他の病気がもの忘れとして現れる場合もある
症状の経過を記録しておくと診察がスムーズに進む
早期の受診サインが見られたら専門医への相談を検討する
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根拠について:認知症の早期診断・早期治療が進行の穏やかな管理や治療可能な疾患の発見に資するという考え方は認知症診療の分野で広く支持されているが、治療効果や進行速度には個人差がある。