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薬は家族が管理し、決まった時間に渡す

誤飲・過剰摂取を防ぐ

Yuya Kobayashi, MD, PhD

医療監修

Yuya Kobayashi, MD, PhD

認知症専門外来・在宅診療医

服薬を本人任せにすると、時間がまちまちになったり、飲んだかどうか分からなくなったりすることがあります。決まった時間に家族が薬を手渡し、飲むところを見届ける習慣が、正確な服薬と体調の安定につながります。

体験談

祖母(85歳、アルツハイマー型認知症)の薬は、最初のうちは「朝ごはんの後に飲んでね」とだけ伝えて、本人に任せていました。しかし、その日によって朝食の時間がまちまちだったり、テレビに気を取られて食後すぐに薬を飲むのを忘れてしまったりすることが多く、飲む時間も、飲んだかどうかも、日によってバラバラになっていました。

ある週、体調を崩して病院を受診した際、医師から「薬をきちんと決まった時間に飲めているかどうかで、効果が大きく変わることがあります」と言われ、これまでの管理方法を見直す必要があると気づきました。

それから、「朝食後」ではなく「朝8時」というように、時間を具体的に決め、その時間になったら、私が必ず祖母のそばに行き、薬を手渡して、飲むところを見届けるようにしました。最初は「そこまでしなくても」と祖母は少し戸惑った様子でしたが、決まった時間に決まった流れで薬を渡すことが習慣になると、むしろ祖母の方から「そろそろお薬の時間じゃない?」と声をかけてくれるようになりました。

本人任せにせず、家族が主体的に関わることで、服薬のリズムが整い、祖母の体調も安定してきたように感じます。

— 85歳の祖母(アルツハイマー型認知症)を介護する孫

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なぜ家族が管理することが重要なのか

「朝食後」「夕食前」といった曖昧なタイミングの指示は、本人にとって具体的な行動のきっかけになりにくく、生活リズムが乱れた日には、服薬のタイミングもずれてしまいがちです。また、飲んだかどうかを覚えていられず、飲み忘れや重複が起こることもあります。

薬の効果は、決まった時間に規則正しく服用することで安定して発揮されるものが多く、服薬のタイミングがバラバラになると、効果が十分に得られなかったり、逆に短時間で重複して過剰摂取になったりするリスクがあります。家族が主体的に関わり、決まった時間に手渡し、見届けることが、確実な服薬を支える基本です。具体的な工夫は下の実践のステップを参考にしてください。

💬 「本人任せにしていたことを反省しました」

介護経験者からのアドバイス

「『朝食後に飲んでね』とだけ伝えて、あとは本人に任せていました。でも、それが服薬のリズムを乱す原因になっていたんだと気づきました。

決まった時間に手渡し、見届ける習慣にしてからは、祖母自身も服薬のリズムを覚え、むしろ声をかけてくれるようになりました。本人任せにせず、家族が関わることの大切さを実感しています。」

本人の自尊心にも配慮する

手渡しや見届けを行う際は、「監視されている」と感じさせないよう、「一緒に確認しましょうね」といった、寄り添う姿勢での声かけを心がけましょう。

実践のステップ

  1. 『食後』ではなく『朝8時』など具体的な時刻を決める

  2. 決まった時間に家族が本人のそばに行き薬を手渡す

  3. 薬を渡すだけでなく実際に飲み込むところまで見届ける

  4. 毎日同じ時間・同じ場所・同じ流れで行い習慣化する

  5. 家族が不在の時間帯はデイサービスや訪問介護での服薬確認を検討する

注意点

家族が管理しても頻繁に飲み忘れや拒否が起こる場合、薬の量や種類が多く管理の負担が大きい場合、家族だけでの見守り体制の維持が難しくなってきた場合は、かかりつけ医や薬剤師、ケアマネジャーに相談してください。

こんな場合は当てはまらないことも

この項目は家族が主体的に手渡し・見届けを行う服薬管理を勧める内容だが、本人がまだ自力で時間通りに服薬できる段階であれば、必要以上に手渡し・見届けを行うと、本人の自尊心を傷つけ、できる力をかえって奪ってしまうことがある。本人の実際の管理能力を見極めたうえで、どこまで家族が関わるかを判断してほしい。

応用・バリエーション

本人が『監視されている』と感じて抵抗を示す場合は、『一緒に確認しましょうね』など寄り添う言葉を選び、手渡しの動作を自然な日課の一部として位置づける工夫をしましょう。

まとめ

関連するヒント

根拠について:家族による定時の服薬管理・見届けが服薬アドヒアランスの向上に資するという考え方は在宅医療・薬学の分野で広く支持されている。

最終更新日:

参考文献

  1. [1]山口晴保(編). 認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント 第4版. 協同医書出版社 (2023)

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