かかりつけ医との信頼関係を築く
定期受診で病状を安定管理
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
認知症の治療は長期にわたるため、専門性だけでなく、本人と医師との信頼関係も重要です。定期的な受診を通じて信頼関係を築くことが、些細な変化への早期対応と、安定した病状管理につながります。
体験談
父(83歳、アルツハイマー型認知症)は、診断を受けた病院から紹介された、少し離れた場所にある専門クリニックに通っていました。専門的な治療という点では安心でしたが、毎回違う雰囲気の待合室、慣れない道のりに、父は受診のたびに不安げな様子を見せ、診察室でもうまく症状を伝えられずにいました。
ある日、長距離の通院に疲れた様子の父を見て、地域の「もの忘れ外来」を掲げる、自宅から近いクリニックに変更することを検討しました。実際に受診してみると、先生は父のペースに合わせてゆっくり話を聞いてくれ、待合室のスタッフも顔を覚えてくれるようになり、父も次第にリラックスした様子で通院できるようになりました。
何より大きかったのは、先生が父の「いつもと違う様子」に敏感に気づいてくれるようになったことです。数か月かけて信頼関係を築いたことで、些細な体調の変化も相談しやすくなり、私自身も一人で抱え込まずに済むようになりました。
専門性の高さだけでなく、長く付き合える関係性を築けるかどうかも、かかりつけ医選びの大切な視点なのだと実感しました。
— 83歳の父(アルツハイマー型認知症)を介護する54歳息子
詳しく知る
なぜ信頼関係が治療に影響するのか
なぜ信頼関係が治療に影響するのか
認知症の治療は、多くの場合、数年から長期にわたって継続されます。信頼関係のない医師との診察では、本人が緊張してうまく症状を伝えられなかったり、逆に「大丈夫です」と実際の状態を隠してしまったりすることがあります。
一方、長く関わりを続け、信頼関係が築かれた医師であれば、本人の普段の様子を知っているからこそ、些細な変化(表情の違い、話し方の変化など)にも気づきやすくなります。こうした早期の気づきが、症状の急な悪化や合併症の早期発見につながります。
かかりつけ医との信頼関係を築く工夫
かかりつけ医との信頼関係を築く工夫
1通いやすさも考慮して選ぶ
専門性の高さだけでなく、自宅からの距離や通院の負担も考慮し、無理なく継続して通える医療機関を選びましょう。
2定期的な受診を継続する
体調が安定しているからと受診の間隔を勝手に空けず、決められたペースで通院を続けることが、信頼関係の土台になります。
3日常の様子を記録して伝える
診察時間は限られているため、自宅での様子(食欲、睡眠、気分の変化など)を簡単にメモしておき、診察時に伝えると、医師が状態を把握しやすくなります。
4疑問や不安は遠慮せず伝える
薬の効果や副作用、今後の見通しについて疑問があれば、遠慮せず質問しましょう。信頼関係は、双方向のコミュニケーションから育まれます。
5家族も医師との関係を大切にする
本人だけでなく、介護をしている家族自身も、医師や看護師と良好な関係を築くことで、相談しやすい環境が整います。
💬 「専門性だけを重視していました」
💬 「専門性だけを重視していました」
介護経験者からのアドバイス
「最初は、専門性の高いクリニックだからと、通院の負担を軽視していました。でも、父にとっては、慣れない環境そのものが大きなストレスだったんです。
近くのもの忘れ外来に変えてから、通院自体の負担が減っただけでなく、先生との信頼関係が、父の小さな変化への気づきにつながっていると感じています。専門性と通いやすさ、両方のバランスが大切だと学びました。」
医師との関係で困ったときの対応
医師との関係で困ったときの対応
- 説明に納得がいかない場合は、遠慮せずセカンドオピニオンを検討する
- 医師との相性がどうしても合わないと感じる場合は、転院も選択肢の一つとして考える
- ケアマネジャーに、地域で評判の良い医療機関について相談してみる
こんな時は医療機関を見直す
こんな時は医療機関を見直す
- 通院そのものが大きな負担になり、受診の継続が難しくなっている
- 症状や不安をうまく伝えられず、診察が形式的になっている
- 病状の変化に医師が気づかず、対応が後手に回っていると感じる
こうした場合は、無理に同じ医療機関に通い続けず、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、より合った医療機関を探すことも検討しましょう。
まとめ:長く付き合える関係が、安定したケアを支える
まとめ:長く付き合える関係が、安定したケアを支える
認知症の治療は長期にわたるからこそ、専門性だけでなく、本人と医師との信頼関係が重要になります。通いやすさに配慮し、定期的な受診を通じて関係を築くことが、些細な変化への早期対応と、安定した病状管理につながります。
実践のステップ
専門性だけでなく自宅からの通いやすさも考慮して医療機関を選ぶ
体調が安定していても決められたペースで定期受診を継続する
自宅での様子(食欲・睡眠・気分の変化)を簡単に記録し診察時に伝える
薬の効果や副作用、今後の見通しについて疑問は遠慮せず質問する
家族自身も医師や看護師と良好な関係を築き相談しやすい環境を整える
注意点
通院そのものが大きな負担になり受診の継続が難しくなっている場合、症状や不安をうまく伝えられず診察が形式的になっている場合、病状の変化に医師が気づかず対応が後手に回っていると感じる場合は、無理に同じ医療機関に通い続けず、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。
応用・バリエーション
遠方の専門医による診断が必要な場合でも、日常的な経過観察は近くのかかりつけ医と連携して行う「病診連携」という形を取れることがあります。紹介元の医師に相談してみましょう。
まとめ
このヒントのポイント
認知症の治療は長期にわたるため医師との信頼関係が重要
専門性だけでなく通いやすさも考慮して医療機関を選ぶ
定期的な受診の継続が信頼関係の土台になる
日常の様子を記録して伝えると診察の質が上がる
受診の継続が難しい場合や対応が後手に回る場合は見直しを検討する
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