訪問診療や訪問看護の活用
在宅でも安心の医療サポート
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
通院そのものが大きな負担になっている場合、訪問診療や訪問看護の活用が、在宅でも安心できる医療サポートを受けるための現実的な選択肢になります。通院の負担を減らすことは、本人と介護者双方の生活の質を守ることにつながります。
体験談
父(85歳、アルツハイマー型認知症、歩行が困難)の通院は、毎回、車椅子での移動、待合室での長い待ち時間、慣れない環境への戸惑いと、本人にとっても私にとっても大きな負担になっていました。特に体調が優れない日は、通院自体が困難で、受診を先延ばしにしてしまうこともありました。
ケアマネジャーさんから、「訪問診療という選択肢もありますよ」と教えてもらったときは、正直「そこまでする必要があるのか」と迷いもありました。しかし、一度試しに利用してみると、月に2回、医師が自宅まで来てくれ、血圧測定や体調確認、薬の調整まで、通院と変わらない診療を受けられることが分かりました。
さらに、訪問看護も併用することで、普段の健康管理や、私が対応に困ったときの相談も、電話一本でできるようになりました。通院という大きな負担がなくなったことで、父の表情も穏やかになり、私自身の介護の負担も大きく軽減されました。
「病院に行くのが医療」という思い込みを手放し、在宅でも十分な医療サポートを受けられる選択肢があると知ったことで、介護の形が大きく変わりました。
— 85歳の父(アルツハイマー型認知症)を介護する56歳息子
詳しく知る
なぜ訪問診療・訪問看護が有効なのか
なぜ訪問診療・訪問看護が有効なのか
通院は、移動、待ち時間、慣れない環境への適応など、本人にとって身体的にも精神的にも大きな負担を伴います。特に歩行が困難な方や、外出そのものに強い抵抗を示す方にとっては、通院を続けること自体が難しくなることがあります。
訪問診療は、医師が定期的に自宅を訪れ、診察や薬の調整を行う仕組みです。訪問看護は、看護師が定期的に自宅を訪問し、健康状態の確認やケアを行います。これらを活用することで、通院の負担なく、継続的な医療サポートを受けることができます。具体的な工夫は下の実践のステップを参考にしてください。
💬 「そこまでする必要があるのかと迷いました」
💬 「そこまでする必要があるのかと迷いました」
介護経験者からのアドバイス
「訪問診療と聞いたとき、正直『まだ通院できているのに、そこまでする必要があるのか』と迷いました。でも、実際に利用してみると、父の負担が大きく減っただけでなく、私自身の介護の負担も軽くなりました。
『病院に行くのが当たり前』という思い込みを手放し、選択肢を広げることの大切さを実感しています。もっと早く相談していればよかったと思います。」
訪問診療・訪問看護でできること
訪問診療・訪問看護でできること
- 定期的な健康チェック(血圧、体温、体重など)
- 薬の処方や調整
- 褥瘡(床ずれ)などのケア
- 家族への介護方法のアドバイス
- 急な体調変化時の相談・往診
こんな時は特に活用を検討したい
こんな時は特に活用を検討したい
- 通院そのものが本人・介護者双方に大きな負担になっている
- 外出への強い拒否があり、通院が困難になっている
- 終末期に近い段階で、在宅での看取りを希望している
こうした場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、利用できるサービスを具体的に検討しましょう。
実践のステップ
ケアマネジャーに相談し地域で対応可能な訪問診療・訪問看護の事業所を紹介してもらう
現在のかかりつけ医から訪問診療対応の医療機関を紹介してもらう
訪問頻度と緊急時対応の可否を事前に確認する
訪問診療の医師と訪問看護の看護師の連携体制を確認する
介護保険・医療保険の適用範囲と自己負担額を事前に確認する
注意点
訪問診療・訪問看護を利用していても、意識障害や急な高熱、呼吸困難など緊急性の高い症状が見られる場合は、様子を見ずに速やかに訪問医や救急に連絡してください。
こんな場合は当てはまらないことも
この項目は通院の負担が大きい場合に訪問診療・訪問看護を勧める内容だが、画像検査や内視鏡検査など専門的な機器・設備が必要な診療は訪問診療では対応できない。そうした検査が目的の受診まで訪問診療に置き換えることはできないため、かかりつけ医と相談し、訪問診療と外来通院を使い分けてほしい。
応用・バリエーション
訪問診療と外来通院を併用し、専門的な検査が必要な場合のみ通院するという使い分けも可能です。かかりつけ医と相談しながら、本人に合った形を探りましょう。
まとめ
このヒントのポイント
通院の負担が本人・介護者双方の大きな負担になることがある
訪問診療・訪問看護は在宅での継続的な医療サポートを可能にする
ケアマネジャーやかかりつけ医から事業所を紹介してもらえる
介護保険・医療保険の適用範囲を事前に確認する
通院困難や終末期の在宅療養では特に活用を検討したい
関連するヒント
根拠について:訪問診療・訪問看護の活用が通院困難な高齢者の医療アクセスと生活の質の維持に資するという考え方は在宅医療の分野で広く支持されている。