緊急連絡先を見やすい場所に掲示
万が一の時にすぐ連絡できる体制
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
介護者本人に急な体調不良が起きた場合、認知症のある方は自分で助けを呼ぶことが難しいことがあります。緊急連絡先を家族以外の人にも分かる場所に掲示しておくことが、万が一の際に迅速な対応につながります。
体験談
父(82歳、アルツハイマー型認知症)と二人で留守番をしていたある日、私が急な発熱で動けなくなってしまいました。誰かに助けを求めたいと思っても、父にケアマネジャーの連絡先を伝えても、電話番号を覚えて正確にかけることは難しく、混乱させてしまうだけでした。結局、なんとか自分のスマートフォンで自力で連絡を取りましたが、もし私が意識を失っていたらと考えると、ぞっとしました。
この出来事をきっかけに、地域包括支援センターに相談し、「緊急連絡先を、電話のそばや冷蔵庫など、家族以外の人が来てもすぐに分かる場所に掲示しておくとよいですよ」とアドバイスをもらいました。
それから、リビングの電話のそばと、冷蔵庫のドアに、大きな文字でケアマネジャー、かかりつけ医、近隣の頼れる方、そして私自身の携帯番号を書いたリストを貼りました。あわせて、救急隊員向けに、父の持病や服薬情報をまとめた「救急情報キット」を冷蔵庫に用意しました。
実際に使う場面がないことが一番ですが、いざというときに、誰が来てもすぐに必要な情報にたどり着ける備えがあることで、私自身の不安が大きく和らぎました。
— 82歳の父(アルツハイマー型認知症)と二人暮らしをする53歳娘
詳しく知る
なぜ緊急連絡先の掲示が重要なのか
なぜ緊急連絡先の掲示が重要なのか
在宅介護では、介護者自身の急病や事故など、予期しない事態が起こる可能性も考えておく必要があります。認知症のある方は、こうした緊急時に、自分の判断で誰かに助けを求めたり、正確な連絡先を伝えたりすることが難しい場合があります。
また、救急隊員や訪問した第三者が駆けつけた際に、本人の持病や服薬状況、かかりつけ医の情報がすぐに分からないと、適切な処置が遅れる可能性もあります。緊急連絡先や医療情報を、誰が来てもすぐに分かる場所に掲示しておくことは、こうした万が一の事態への備えです。
緊急連絡先を整える工夫
緊急連絡先を整える工夫
1目立つ場所に掲示する
電話のそば、冷蔵庫のドアなど、家族以外の人が家に入ってもすぐに気づく場所に、大きな文字で連絡先を掲示しましょう。
2掲示する情報を整理する
ケアマネジャー、かかりつけ医、近隣の頼れる方、家族の携帯番号など、優先順位をつけて分かりやすくまとめましょう。
3救急情報キットを用意する
本人の持病、服薬内容、アレルギーの有無などをまとめた情報を、冷蔵庫など決まった場所に保管しておくと、救急隊員が迅速に必要な情報を得られます。多くの自治体で、こうしたキットを無料配布していることもあります。
4見守りサービスや緊急通報システムを活用する
自治体や民間の緊急通報システム(ボタン一つで通報できる機器など)を導入することで、介護者本人が動けない状況でも助けを呼べる仕組みを整えられます。
5定期的に情報を更新する
連絡先や服薬情報は変わることがあるため、定期的に見直し、最新の状態を保ちましょう。
💬 「もし意識を失っていたらと考えると怖くなりました」
💬 「もし意識を失っていたらと考えると怖くなりました」
介護経験者からのアドバイス
「自分が動けなくなったときのことを、それまで真剣に考えたことがありませんでした。でも、あの日の経験で、備えの必要性を痛感しました。
連絡先を掲示し、救急情報キットを用意してからは、『もしものときも、誰かが来ればすぐに対応できる』という安心感が生まれました。介護者自身の緊急時への備えも、忘れてはいけない視点だと学びました。」
家族間での情報共有も大切に
家族間での情報共有も大切に
離れて暮らす家族がいる場合は、緊急連絡先や医療情報を共有しておき、万が一の際にすぐに連携できる体制を整えておきましょう。
こんな時は特に備えを強化すべき
こんな時は特に備えを強化すべき
- 介護者が一人で介護を担っている(老々介護、遠距離介護など)
- 介護者自身に持病がある
- 近隣とのつながりが少なく、助けを呼びにくい環境にある
こうした状況では、緊急通報システムの導入や、地域の見守りサービスの利用を積極的に検討しましょう。
まとめ:もしものときに、誰でも助けられる備えを
まとめ:もしものときに、誰でも助けられる備えを
介護者自身の急な体調不良は、いつ起こるか分かりません。緊急連絡先や医療情報を、家族以外の人にも分かる形で掲示しておくことが、万が一の際に迅速な対応を可能にし、本人と介護者双方の安全を守ることにつながります。
実践のステップ
電話のそばや冷蔵庫のドアなど目立つ場所に大きな文字で緊急連絡先を掲示する
ケアマネジャー・かかりつけ医・近隣の頼れる方・家族の連絡先を優先順位をつけてまとめる
持病や服薬内容、アレルギーをまとめた救急情報キットを用意する
自治体や民間の緊急通報システムの導入を検討する
連絡先や医療情報を定期的に見直し最新の状態を保つ
離れて暮らす家族とも緊急連絡先や医療情報を共有しておく
注意点
介護者が一人で介護を担っている場合、介護者自身に持病がある場合、近隣とのつながりが少なく助けを呼びにくい環境にある場合は、緊急通報システムの導入や地域の見守りサービスの利用を積極的に検討してください。
応用・バリエーション
スマートフォンの操作が難しい方には、ボタン一つで通報できるシンプルな緊急通報機器の方が扱いやすい場合があります。地域包括支援センターに、利用できるサービスを相談してみましょう。
まとめ
このヒントのポイント
介護者自身の急病時、本人だけでは助けを呼ぶことが難しい場合がある
緊急連絡先を家族以外にも分かる場所に掲示しておくことが重要
救急情報キットが救急隊員の迅速な対応に役立つ
緊急通報システムの活用も選択肢の一つ
老々介護や遠距離介護など特にリスクが高い状況では備えを強化する
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