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薬や洗剤など危険物は鍵をかけて保管

誤飲・誤食を防ぐ環境整備

Yuya Kobayashi, MD, PhD

医療監修

Yuya Kobayashi, MD, PhD

認知症専門外来・在宅診療医

薬の重複服用や、洗剤・漂白剤の誤飲は、記憶力や判断力の低下により、思いがけず起こることがあります。危険な物は鍵のかかる場所に保管し、本人が自由に取り出せない管理体制を整えることが、重大な事故を防ぐ基本です。

体験談

父(81歳、アルツハイマー型認知症)の薬は、リビングの棚に一包化されたものを置いていました。ある日、薬を飲む時間に確認すると、その日の分だけでなく、翌日以降の分まで数日分がなくなっていることに気づきました。慌てて父に尋ねると、「飲んだかどうか分からなくなって、念のためまた飲んだ」とのことでした。

幸い、深刻な健康被害には至りませんでしたが、薬剤師さんに相談すると、「薬の種類によっては、重複して服用すると重篤な副作用が出ることもあります」と言われ、血の気が引きました。

それ以来、薬は鍵付きのボックスに保管し、決められた時間に私が取り出して手渡す形に変更しました。あわせて、洗剤や漂白剤など、誤って口にすると危険な物も、すべて鍵のかかる棚にまとめて保管するようにしました。

「自分の薬くらい自分で管理できるはず」という思い込みが、実は重大な事故につながりかねない状況を作っていたのだと気づきました。本人の自尊心にも配慮しながら、危険な物は確実に管理する体制を整えることの大切さを学びました。

81歳の父(アルツハイマー型認知症)を介護する53歳息子

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なぜ薬や洗剤の管理が重要なのか

認知症が進行すると、「薬を飲んだかどうか」を正確に覚えていられなくなり、重複して服用してしまうことがあります。薬の種類によっては、重複服用が重篤な副作用や中毒症状を引き起こす可能性があります。

また、洗剤や漂白剤などは、容器のデザインや色によっては飲み物や食品と見誤ることがあり、判断力の低下により誤飲事故につながることがあります。「自分で管理できるはず」という期待だけに頼らず、危険な物へのアクセス自体を制限する管理体制が必要です。

危険物の管理方法

1薬は鍵付きのボックスで管理する

薬は本人の手の届く場所に置かず、鍵付きの薬箱やボックスで管理し、決められた時間に家族が取り出して渡す形にしましょう。

2一包化と服薬カレンダーを併用する

薬剤師に相談し、飲むタイミングごとに薬をまとめる「一包化」と、服薬状況が一目で分かるカレンダー型のケースを組み合わせると、飲み忘れ・重複服用の両方を防ぎやすくなります。

3洗剤・漂白剤・殺虫剤は鍵のかかる棚に保管する

食品と誤認しやすい色や形状の製品は特に注意が必要です。普段使わない在庫は、鍵のかかる納戸や高い棚に保管しましょう。

4詰め替え容器の使用を避ける

飲み物のペットボトルなどに洗剤を詰め替えると、誤飲のリスクが非常に高まります。必ず元の容器のまま保管しましょう。

5定期的に保管状況を見直す

本人の症状の進行に応じて、以前は問題なかった保管方法が危険になることがあります。定期的に見直しましょう。

💬 「自分で管理できるはずだと思っていました」

介護経験者からのアドバイス

「父はまだしっかりしていると思い込み、薬の管理も本人任せにしていました。でも、重複服用に気づいたときは、本当に肝が冷えました。

鍵付きのボックスに変えてからは、そうした不安から解放されました。本人の自尊心を大切にしたい気持ちはありますが、命に関わることは、優先して管理体制を整えるべきだと学びました。」

本人への説明の仕方

管理方法を変える際は、「信用していないから」ではなく、「安全に、確実に薬を飲めるようにするため」という前向きな説明を心がけましょう。頭ごなしに取り上げるのではなく、丁寧な説明が、本人の受け入れやすさにつながります。

こんな時は医療機関に相談

  • すでに薬の重複服用や誤飲が発生した
  • 誤飲後に、吐き気、めまい、意識の変化など体調の異常が見られる
  • 管理方法を変えても、危険物へのアクセスを試みる行動が続く

こうした場合は、様子を見ず、速やかにかかりつけ医や医療機関、中毒110番などの専門窓口に相談してください。

まとめ:期待に頼らず、管理体制で確実に守る

薬や洗剤の誤飲・誤用は、本人の意思や注意力だけに頼っていると、思いがけず起こることがあります。鍵のかかる場所での保管と、家族による確実な管理体制が、重大な事故を防ぐ基本です。

実践のステップ

  1. 薬は鍵付きのボックスで管理し決められた時間に家族が手渡す

  2. 薬剤師に相談し一包化と服薬カレンダーを併用する

  3. 洗剤・漂白剤・殺虫剤は鍵のかかる棚や納戸に保管する

  4. 洗剤などをペットボトルに詰め替えない

  5. 症状の進行に応じて保管方法を定期的に見直す

注意点

すでに薬の重複服用や誤飲が発生した場合、誤飲後に吐き気・めまい・意識の変化など体調の異常が見られる場合、管理方法を変えても危険物へのアクセスを試みる行動が続く場合は、様子を見ず、速やかにかかりつけ医や医療機関、中毒110番などの専門窓口に相談してください。

応用・バリエーション

本人がまだ自分で服薬したいという意欲を強く持っている場合は、無理に全介助にせず、薬剤師と相談しながら、見守りのもとで本人自身に薬箱から取り出してもらう部分的な自立支援の形も検討しましょう。

まとめ

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最終更新日:

参考文献

  1. [1]山口晴保(編)認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント 第4版協同医書出版社 (2023)

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