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階段には照明と手すりを設置

転落事故を防ぐ環境整備

Yuya Kobayashi, MD, PhD

医療監修

Yuya Kobayashi, MD, PhD

認知症専門外来・在宅診療医

階段は、転落すると重大な怪我につながりやすい場所です。両側への手すりの設置と、明るい照明の確保は、認知機能や身体機能が低下した方の階段利用における基本的で重要な安全対策です。

体験談

祖父(85歳、アルツハイマー型認知症)と暮らす二階建ての実家には、昔ながらの急な階段があり、片側にしか手すりがついていませんでした。ある夕方、祖父が2階の自室から一人で降りようとした際、途中で足を踏み外し、下まで転げ落ちてしまいました。幸い、腕に打撲を負う程度で済みましたが、頭を打っていたら、と考えると恐ろしくなりました。

「昔から使っている階段だから」と特に対策をしていなかったことを、心から後悔しました。理学療法士さんに相談すると、「片側だけでなく両側に手すりをつけること、そして階段の照明を明るくすることが、転落防止には効果的です」とアドバイスされました。

それから、階段の両側に手すりを設置し、上り口と下り口の両方にセンサー式の照明を取り付けました。さらに、階段の各段の縁には、段差を分かりやすくする滑り止めのテープも貼りました。

工事後、祖父は手すりをしっかり掴みながら、以前より慎重に、しかし安定した様子で階段を上り下りできるようになりました。「これまで大丈夫だったから」という考えが、実は危険信号を見過ごす原因になっていたのだと痛感しました。

— 85歳の祖父(アルツハイマー型認知症)と暮らす孫

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なぜ階段が特に危険なのか

階段は、平らな場所での転倒とは異なり、転落した際の落差があるため、頭部外傷や骨折など、重大な怪我につながりやすい場所です。加齢による筋力やバランス感覚の低下に加え、認知症があると、段差の位置や奥行きを正確に判断する力(視空間認知)が低下することがあり、踏み外しのリスクがさらに高まります。

「昔から使っている階段だから大丈夫」という思い込みは、身体機能や認知機能の変化によって、いつの間にか危険な状況に変わっていることを見過ごす原因になります。具体的な工夫は下の実践のステップを参考にしてください。

💬 「昔から大丈夫だったのに、と思っていました」

介護経験者からのアドバイス

「長年使ってきた階段だから、今更対策が必要だとは思っていませんでした。でも、祖父が転げ落ちたときの音と恐怖は、今でも忘れられません。

両側の手すりと照明を整えてからは、祖父の階段利用が明らかに安定しました。『これまで大丈夫だったから』という考えを手放し、今の状態に合わせて見直すことの大切さを学びました。」

実践のステップ

  1. 階段の両側に手すりを設置する

  2. 階段の上り口・下り口にセンサー式のライトなどを設置し明るさを確保する

  3. 各段の縁に色の異なる滑り止めテープを貼り段差を分かりやすくする

  4. 可能であれば階段利用時に家族が付き添う体制を作る

  5. 見守りのない時間帯は安全柵で階段の使用を制限することも検討する

注意点

対策を整えても階段の上り下りで頻繁にふらつきが見られる場合、すでに転落や転倒による怪我が発生した場合、一人での階段利用を完全に避けることが難しい場合は、環境整備だけで対応せず、理学療法士やケアマネジャーに相談してください。

こんな場合は当てはまらないことも

手すりや照明を整えても、加齢や病状の進行により階段の上り下りそのものが危険な段階に達していることがあります。その場合は、階段への対策を重ねるよりも、寝室や生活の中心を1階に移すなど、そもそも階段を使わない生活動線に変える方が現実的な解決になることがあります。

応用・バリエーション

階段の利用自体にリスクが大きい場合は、寝室や生活の中心を1階に移す、あるいは階段昇降機の設置を検討するなど、根本的な生活動線の見直しも選択肢の一つです。

まとめ

関連するヒント

根拠について:階段への手すり設置と照明確保が転落事故の予防に資するという考え方は住環境整備の分野で広く支持されているが、必要な対策は個人の身体状況・住宅構造により異なる。

最終更新日:

参考文献

  1. [1]山口晴保(編). 認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント 第4版. 協同医書出版社 (2023)

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