定期的に自宅の安全チェックを実施
潜在的な危険を早期発見
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
一度安全対策を行っても、時間の経過とともに、家具の劣化や配置の変化によって、新たな危険が生まれることがあります。定期的に自宅を見直す「安全チェックの日」を作ることが、潜在的な危険の早期発見につながります。
体験談
母(81歳、アルツハイマー型認知症)と暮らし始めて1年が過ぎた頃、ケアマネジャーさんが訪問時にふと、「そういえば、リビングのラグの端、少しめくれていますね」と指摘してくれました。言われて初めて気づきましたが、長年そこにあったラグの角が、いつの間にか反り返り、つまずきやすい状態になっていたのです。
それまで、最初に安全対策をひと通り済ませたことで、「もう対策は万全だ」と思い込んでいました。しかし、家の中の状態は、時間の経過とともに少しずつ変化していきます。ラグの劣化だけでなく、電気コードの配線が変わっていたり、新しく置いた観葉植物が動線を狭めていたりと、最初のチェック時にはなかった危険が、いつの間にか増えていることに気づかされました。
それ以来、3か月に一度、家中を歩いて回り、床の状態、コードの配置、家具の配置、照明の明るさなどを確認する「安全チェックの日」を作ることにしました。ケアマネジャーさんにも、訪問のたびに気づいた点を教えてもらうようお願いしています。
一度整えたら終わりではなく、継続的に見直すことの大切さを、この出来事から学びました。
— 81歳の母(アルツハイマー型認知症)を介護する53歳娘
詳しく知る
なぜ定期的なチェックが必要なのか
なぜ定期的なチェックが必要なのか
家の中の安全対策は、一度整えたら終わりではありません。敷物やラグの劣化、家具の配置換え、新しく増えた物によって、以前は問題なかった場所が、いつの間にか危険な場所に変わっていることがあります。
また、本人の身体機能や認知機能も、時間とともに変化していきます。以前は問題なく使えていた場所や道具が、今の状態には合わなくなっていることもあります。「一度対策したから安心」という思い込みを手放し、継続的に見直す仕組みを作ることが大切です。具体的な工夫は下の実践のステップを参考にしてください。
💬 「対策は万全だと思い込んでいました」
💬 「対策は万全だと思い込んでいました」
介護経験者からのアドバイス
「最初にひと通り対策をしたことで、もう安心だと思い込んでいました。でも、ケアマネジャーさんに指摘されるまで、ラグのめくれに気づいていませんでした。
定期的にチェックする日を決めてからは、小さな変化にも早く気づけるようになりました。安全対策は、一度整えて終わりではなく、続けていくものなのだと実感しています。」
チェックリストの例
チェックリストの例
- 床の敷物やマットがめくれていないか
- 電気コードが歩行の妨げになっていないか
- 家具の配置が動線を狭めていないか
- 手すりや補助具にぐらつきがないか
- 照明が十分な明るさを保っているか
- 薬や危険物の保管場所に変化がないか
実践のステップ
3か月に一度など定期的なタイミングを決めて家中を歩いて確認する習慣をつける
床・電気コード・家具の配置・照明・手すりなどのチェックリストを用意する
ケアマネジャーや訪問看護師など第三者の視点を定期的に借りる
本人の歩行状態や視力、判断力の変化に合わせて対策を見直す
チェックで見つかった危険箇所は後回しにせずすぐに対応する
注意点
チェックしても気づけない危険が原因で事故が起きた場合、本人の身体・認知機能の変化が大きく対策の方向性に迷う場合、家族だけでの見直しに限界を感じる場合は、理学療法士や福祉住環境コーディネーター、ケアマネジャーに相談してください。
こんな場合は当てはまらないことも
定期的なチェックは有効ですが、認知機能や身体機能の変化が急速な時期には、3か月に一度という頻度では変化に対策が追いつかないことがあります。状態が大きく変わったと感じたときは、次のチェックの時期を待たず、その都度環境を見直す姿勢が必要です。
応用・バリエーション
家族だけでチェックするのが難しい場合は、ケアマネジャーの定期訪問のタイミングに合わせて一緒に確認してもらう、あるいは福祉用具の専門相談員による住宅診断サービスを利用する方法もあります。
まとめ
このヒントのポイント
一度の安全対策では時間とともに新たな危険が生まれることがある
定期的な安全チェックの日を決めて習慣化することが大切
チェックリストの活用と第三者の視点が見落としを防ぐ
本人の状態の変化に合わせて対策を見直す
見つかった危険箇所はすぐに対応する
関連するヒント
根拠について:定期的な住環境の安全チェックが事故の早期発見・予防に資するという考え方は在宅介護の安全対策として広く推奨されているが、チェックの頻度や項目は個々の生活環境により異なる。