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趣味やレクリエーション活動を継続

できることを楽しむ時間を大切に

Yuya Kobayashi, MD, PhD

医療監修

Yuya Kobayashi, MD, PhD

認知症専門外来・在宅診療医

認知症の診断を機に、家族が「もう無理だろう」と、本人の趣味やレクリエーションを勝手に諦めてしまうことがあります。難易度を調整しながら、好きだった活動を続けられる方法を探すことが、本人の意欲と生きがいを支えます。

体験談

祖母(83歳、アルツハイマー型認知症)は、若い頃から俳句を詠むことが趣味でした。しかし、認知症の診断を受けてから、「もう難しいことはできないだろう」と、家族が勝手に判断し、俳句の道具を片付けてしまっていました。祖母自身も、次第に「もう自分には無理」と、以前好きだったことへの関心を失っているように見えました。

ある日、デイサービスの職員さんから、「お祖母様、俳句がお好きだったんですね。今日、簡単な言葉遊びのレクリエーションで、とても生き生きとした表情を見せてくれましたよ」と聞き、はっとしました。「もう無理だろう」と決めつけていたのは、実は家族の方だったのかもしれないと気づかされました。

それから、難しい季語や形式にこだわらず、「好きな言葉を並べてみる」という、より簡単な形で俳句もどきの遊びを一緒にしてみることにしました。すると祖母は、少し戸惑いながらも、季節の言葉を口にし、以前のような楽しそうな表情を見せてくれました。

「できなくなった」と決めつけず、形を変えてでも好きなことを続けられる方法を探すことの大切さを、この経験から学びました。

83歳の祖母(アルツハイマー型認知症)と暮らす孫

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なぜ趣味の継続を諦めてしまうのか

認知症の診断を受けると、家族は「もう以前と同じようにはできないだろう」という思い込みから、本人の趣味やレクリエーションを、良かれと思って先回りしてやめさせてしまうことがあります。しかし、これは本人にとって、大切な生きがいや自己表現の機会を奪うことにもなりかねません。

認知症になっても、長年親しんできた活動への興味や、それに伴う感情的な満足感は、比較的保たれやすいとされています。以前と全く同じ形でなくても、難易度を調整することで、活動そのものを続けられる可能性は多くあります。

趣味を継続する工夫

1難易度を調整する

複雑なルールや高度な技術が必要な部分は簡略化し、本人が無理なく取り組める形に調整しましょう。俳句であれば、季語や形式にこだわらず、好きな言葉を並べる遊びに変える、といった工夫です。

2結果より過程を大切にする

上手にできるかどうかより、取り組む過程そのものを楽しめるよう、家族が結果を評価しすぎない姿勢を心がけましょう。

3専門職の視点を借りる

デイサービスや作業療法士など、レクリエーションの専門的な視点を持つ人に相談すると、本人に合った活動の工夫を教えてもらえることがあります。

4本人が「もう無理」と諦めていても、機会を作ってみる

本人自身が意欲を失っているように見えても、実際にやってみると楽しめることがあります。決めつけずに、機会を作ってみましょう。

5新しい趣味も選択肢に入れる

以前の趣味の継続が難しい場合でも、今の状態に合った新しい楽しみを一緒に探すことも、大切な視点です。

💬 「もう無理だろうと決めつけていました」

介護経験者からのアドバイス

「祖母のために良かれと思って、俳句の道具を片付けてしまいました。でも、それは家族の思い込みだったんだと、デイサービスの職員さんの言葉で気づかされました。

形を変えて一緒に楽しんでみたら、祖母の表情が驚くほど生き生きとしていました。『できなくなった』と決めつける前に、方法を工夫してみることの大切さを学びました。」

継続的に楽しむための工夫

  • 一度でうまくいかなくても、時間や方法を変えて何度か試してみる
  • 家族も一緒に参加し、楽しい雰囲気を共有する
  • 無理強いはせず、本人が乗り気でないときは別の日に再度誘う

こんな時は無理をしない

本人が明確に活動への拒否を示す場合や、体調が優れない場合は、無理に続けさせようとせず、休息を優先しましょう。

こんな時は専門家に相談

  • 以前は楽しめていた活動に、全く反応を示さなくなった
  • 趣味の活動中に、強い混乱や不安を示す
  • 意欲の低下が、生活全般に大きく影響している

こうした場合は、うつ症状や、認知機能のさらなる変化の可能性も考えられるため、かかりつけ医に相談してください。

まとめ:「できなくなった」と決めつけず、形を変えて続ける

認知症になっても、好きだった活動への興味や、それに伴う喜びは、形を変えることで続けられる場合があります。難易度を調整し、結果よりも過程を大切にする姿勢が、本人の意欲と生きがいを支えることにつながります。

実践のステップ

  1. 複雑なルールや技術が必要な部分を簡略化し無理なく取り組める形に調整する

  2. 上手にできるかより取り組む過程そのものを楽しめるよう結果を評価しすぎない

  3. デイサービスや作業療法士などの専門的な視点を借りる

  4. 本人が『もう無理』と諦めていても決めつけずに機会を作ってみる

  5. 以前の趣味の継続が難しい場合は新しい楽しみも一緒に探す

注意点

以前は楽しめていた活動に全く反応を示さなくなった場合、趣味の活動中に強い混乱や不安を示す場合、意欲の低下が生活全般に大きく影響している場合は、うつ症状や認知機能のさらなる変化の可能性も考えられるため、かかりつけ医に相談してください。

応用・バリエーション

細かい手指の動きが難しくなっている場合は、道具を大きめのものに変える、動作の一部を家族が手伝うなど、身体機能に合わせた調整も併せて行いましょう。

まとめ

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最終更新日:

参考文献

  1. [1]山口晴保(編)認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント 第4版協同医書出版社 (2023)

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