3分要約認知機能・記憶障害人物誤認相貌失認
認知症で家族の顔を認識できない原因と対処法|専門医が解説
2026/4/18|医師監修
ケースの状況
アルツハイマー中等度の妻が「夫の顔がわからない」「あなた誰ですか」と言うようになった。30年間連れ添った夫が「知らない人」と言われ、深く傷ついている。
医師の視点
相貌失認(顔を認識できなくなること)は、脳の後頭・側頭葉の障害による症状です。「愛情が薄れた」「忘れられた」のではなく、脳が「顔という情報を処理できなくなっている」だけです。感情の記憶は残っていることが多く、声・笑顔・スキンシップへの反応は保たれています。
1
「私は夫です」という訂正をやめる
訂正は本人に混乱と恐怖を与えます。代わりに「毎日来ていますよ。お茶を入れましょうか」と穏やかに声をかけることで、本人が安心できる関係を作ります。
2
声・笑顔・スキンシップを活用した多感覚アプローチ
顔の認識ができなくても、声・笑顔・手の温もりへの反応は残っていることが多いです。毎回穏やかに話しかけ、手を握り返してくれたら「通じている」サインです。
3
配偶者自身の悲しみをケアする
「知らない人」と言われる辛さは計り知れません。認知症家族会への参加や心理カウンセリングを通じて、配偶者が悲しみを安全に吐き出せる場を作ることが長期的な介護継続の鍵です。
経過と結果
夫が「私は夫です」と言う代わりに「毎日来ていますよ」と穏やかに声をかけるようになると、妻が「ありがとう」と笑顔を見せた。
1ヶ月後には手を差し伸べると握り返してくれるようになり、2人の間に新しい穏やかな関係が生まれた。
夫は認知症家族会に参加し「同じ経験をしている人がいた」という安心感を得た。
今日からできること
「私は夫(娘)です」という訂正を、「毎日来ていますよ」という穏やかな挨拶に変えてみましょう。正確さより安心を優先することが、関係を守ります。