認知症の告知をするべきか|本人への伝え方と家族の対応
ケースの状況
78歳の父に認知症の診断が下りた。「本人に告げるべきか、黙っているべきか」——家族は悩んでいる。本人の性格は「白黒はっきりしたい」タイプで、事実に向き合う力があると感じている。
医師の視点
告知に「絶対の正解」はありません。本人の性格・価値観・認知症の種類・ステージによって最善の方法は異なります。ただし「本人が自分の状況を理解した上で治療・生活設計に参加できる」という意義は、適切な告知によってのみ得られます。
主治医・家族で事前に十分相談して告知方針を決める
「診断名を含めてすべてを一度に伝える」のではなく、本人の反応を見ながら段階的に伝える「段階的告知」が多くの場合に有効です。どの言葉を使うか、どのタイミングで伝えるかを主治医と事前に打ち合わせます。
最初は「脳の変化」として事実を伝える
「検査の結果、記憶に関わる脳の部分に少し変化が見つかりました」という中立的な言葉から始めます。本人の反応を観察し、質問があれば丁寧に答えます。「ショックを与える」のではなく「事実を伝える」という姿勢が重要です。
本人の受容に合わせて「認知症」「アルツハイマー」と段階的に伝える
本人が「これって認知症?」と自ら確認を求めてきたとき、正直に答えます。診断名が伝わったタイミングで、今後の生活設計や意思確認(エンディングノートなど)の話し合いを始めます。
経過と結果
主治医から「記憶に関わる脳の変化」として初回告知すると、父は「やっぱりそうか」と静かに受け止めた。
2週間後に父から「認知症ってやつ?」と尋ねてきたため正直に答えると、「まだ軽いんだろ?」と前向きな反応。
1ヶ月後にアルツハイマー型と正式に伝えると「分かった。
できることはやる」と決意を示し、治療に積極的に参加するようになった。
今日からできること
主治医に「告知について、どのようにするのがこの父には適切でしょうか」と相談の場を設けてもらいましょう。一人で抱え込まず、専門家と一緒に方針を決めます。