「わかっていますよ」と示す相槌で安心させる
共感的傾聴で孤独感を和らげる
体験談
母は認知症が進行してから、言葉での会話が難しくなりました。質問しても答えられず、私が話しかけても反応が薄いことが増えました。「もう私のことが分からないのかな」と悲しくなることもありました。
ある日、訪問看護師さんが母の手を優しく握りながら、目を見て笑顔で話しかけているのを見ました。すると、母も笑顔を返し、手を握り返していました。言葉は交わされていないのに、心が通じ合っているように見えました。
それからは、私も母と話す時は、必ず手を握ったり、肩に触れたりしながら、笑顔で目を見るようにしました。母は言葉では答えませんが、笑顔を返してくれたり、私の手を握り返してくれたりします。
言葉以外のコミュニケーションの大切さを、母が教えてくれました。
— 88歳の母(アルツハイマー型認知症・重度)を在宅介護する60代娘
言葉が難しくなっても、表情、視線、タッチング(触れること)などの非言語コミュニケーションで、心を通わせることができます。
詳しく知る
認知症が進行すると、言語能力が低下し、言葉でのコミュニケーションが難しくなります。しかし、非言語コミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)の能力は、比較的長く保たれることが知られています。
非言語コミュニケーションには、次のようなものがあります。
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表情: 笑顔は、世界共通の「安心」「友好」のサインです。穏やかな表情で接することで、相手も安心します。
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視線・アイコンタクト: 目を見て話すことで、「あなたに関心がある」「大切に思っている」というメッセージが伝わります。
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タッチング(触れること): 手を握る、肩に触れる、背中をさするなど、優しく触れることで、安心感と愛情を伝えられます。
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声のトーン: 言葉の内容が理解できなくても、声の調子(優しい、穏やか、明るいなど)から感情を読み取ることができます。
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姿勢・距離: 同じ目線の高さで、適度な距離(近すぎず遠すぎず)で接することが大切です。
これらの非言語コミュニケーションは、言葉以上に強いメッセージを伝えることがあります。特に、認知症が進行した方にとっては、言葉よりも感覚的・直感的なコミュニケーションの方が理解しやすい場合が多いのです。
実践のステップ
話しかける時は、必ず笑顔を心がける
相手の目を見て、アイコンタクトを取る
優しく手を握る、肩に触れるなど、適切なタッチングを行う
声のトーンを穏やかに、優しく保つ
相手と同じ目線の高さで話す(立ったままではなく、座ったり膝をついたり)
ゆっくりとした動作で、焦らない
相手の表情や反応を観察し、気持ちを読み取る
注意点
タッチングについては、個人差があります。触れられることを好まない方もいるため、相手の反応を見ながら適切な距離感を保ちましょう。また、突然触れると驚かせてしまうので、視界に入ってから、ゆっくりと手を伸ばすことが大切です。
応用・バリエーション
音楽や香り、味覚なども非言語コミュニケーションの一種です。好きだった音楽を一緒に聴いたり、好きだった香りの花を見せたり、好物を一緒に味わったりすることで、言葉を超えた心の交流ができます。
まとめ
言葉以外のコミュニケーションが重要
笑顔、視線、タッチングで心を通わせる
声のトーンや姿勢も大切なメッセージ
非言語能力は比較的長く保たれる
相手の反応を見ながら適切な距離感を