栄養補助食品で不足分を補う
食事量が減っても栄養バランスを保つ工夫
医療監修
Yuya Kobayashi, MD, PhD
認知症専門外来・在宅診療医
食事量が減っても、栄養補助食品を上手に取り入れることで、必要な栄養を補うことができます。三食すべてで完璧を目指すのではなく、足りない分を補うという考え方が、介護者の負担軽減にもつながります。
体験談
母(79歳、アルツハイマー型認知症)は、以前と比べて明らかに食が細くなり、一食の食事量も半分程度になっていました。三食きちんと作っても、ほとんど残してしまうことが多く、体重も少しずつ減っていきました。「もっと食べさせなきゃ」と焦る気持ちから、無理に食べさせようとして、母を疲れさせてしまうこともありました。
定期健診で、かかりつけ医から「このままだと栄養状態が心配です。食事量を無理に増やそうとするより、少量でも栄養が摂れる工夫を考えましょう」とアドバイスされ、栄養補助食品を紹介されました。
最初は「サプリメントに頼るなんて」と少し抵抗がありましたが、実際に少量で高カロリー・高タンパクなゼリーやドリンクタイプの栄養補助食品を、おやつ代わりに取り入れてみると、母も無理なく口にすることができました。食事の量そのものは変わらなくても、栄養面での不安が和らぎ、私自身の焦りも減りました。
三食すべてで栄養を完璧に摂らせようとするのではなく、足りない分を補う選択肢があると知っただけで、気持ちがずいぶん楽になりました。
— 79歳の母(アルツハイマー型認知症)を介護する50歳娘
詳しく知る
なぜ栄養補助を考える必要があるのか
なぜ栄養補助を考える必要があるのか
認知症が進行すると、食欲の低下、咀嚼・嚥下機能の低下、活動量の減少など、さまざまな要因が重なり、食事量が徐々に減っていくことがあります。食事量の減少が続くと、低栄養状態(体重減少、筋力低下、免疫力の低下など)につながり、体調不良や感染症のリスクを高める可能性があります。
一方で、通常の食事量を無理に増やそうとすると、本人にとって食事自体が負担になり、かえって食欲不振を悪化させることもあります。少量でも効率よく栄養を摂取できる栄養補助食品を活用することは、無理なく栄養状態を支える現実的な選択肢の一つです。
栄養補助食品を取り入れる工夫
栄養補助食品を取り入れる工夫
1おやつや間食として取り入れる
食事とは別に、おやつの時間に高カロリー・高タンパクなゼリーやドリンクタイプの栄養補助食品を取り入れると、無理なく栄養を補えます。
2好みの味を見つける
栄養補助食品にはさまざまな味やタイプがあります。本人の好みに合うものを見つけることで、継続して摂取しやすくなります。
3普段の料理に混ぜ込む
粉末タイプの栄養補助食品を、味噌汁やスープ、おかゆなどに混ぜ込むことで、味の変化を最小限にしながら栄養を補うこともできます。
4専門家に相談しながら選ぶ
持病(腎臓病、糖尿病など)によっては、摂取を避けるべき成分が含まれる製品もあります。管理栄養士やかかりつけ医に相談しながら、本人に合った製品を選びましょう。
💬 「サプリメントに頼るのは負けだと思っていました」
💬 「サプリメントに頼るのは負けだと思っていました」
介護経験者からのアドバイス
「『きちんと食事を作ってあげなきゃ』という思いが強くて、栄養補助食品に頼ることに抵抗がありました。でも、無理に三食で栄養を完璧に摂らせようとするより、足りない分を補うという考え方に変えてから、私自身の気持ちがずいぶん楽になりました。
母も、義務感なくおやつ感覚で摂れる栄養補助食品なら、自然と口にしてくれています。完璧を目指さなくていいんだと分かって、介護そのものが少し楽になりました。」
栄養状態を見守るポイント
栄養状態を見守るポイント
- 体重の変化を定期的に確認する
- 顔色や活気、皮膚の状態などを観察する
- 食事量だけでなく、水分摂取量にも注意する
こんな時は医療機関に相談
こんな時は医療機関に相談
- 短期間で体重が大きく減少している
- 栄養補助食品を取り入れても食事量の減少が続く
- 持病があり、栄養補助食品の選択に不安がある
こうした場合は、自己判断で製品を選ばず、かかりつけ医や管理栄養士に相談し、本人に合った栄養管理の方法を検討してください。
まとめ:完璧を目指さず、足りない分を補う
まとめ:完璧を目指さず、足りない分を補う
食事量が減ってきたときに、無理にすべてを食事だけで補おうとする必要はありません。栄養補助食品という選択肢を上手に取り入れることで、本人の負担を増やさずに栄養状態を支えることができます。
実践のステップ
おやつや間食の時間に高カロリー・高タンパクな栄養補助食品を取り入れる
本人の好みに合う味やタイプを見つける
粉末タイプは味噌汁やおかゆに混ぜ込み味の変化を抑える
持病がある場合は管理栄養士やかかりつけ医に相談しながら製品を選ぶ
体重や顔色、水分摂取量など栄養状態を定期的に観察する
注意点
短期間で体重が大きく減少している場合、栄養補助食品を取り入れても食事量の減少が続く場合、持病があり栄養補助食品の選択に不安がある場合は、自己判断で製品を選ばず、かかりつけ医や管理栄養士に相談してください。
応用・バリエーション
咀嚼・嚥下機能が低下している場合は、ゼリータイプなど飲み込みやすい形状の栄養補助食品を選びましょう。液体でむせやすい場合はとろみをつけられるタイプもあります。
まとめ
このヒントのポイント
食事量の減少は低栄養状態のリスクにつながる
無理に食事量を増やすより栄養補助食品で補う方法もある
おやつ感覚や普段の料理への混ぜ込みで無理なく取り入れられる
持病がある場合は専門家に相談しながら製品を選ぶ
急激な体重減少が続く場合は医療機関に相談する
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