異食行為には環境整備で対応する
口に入れそうな物を片付け、安全を確保
ケーススタディ
グループホームで暮らすPさん(82歳、前頭側頭型認知症)は、最近、食べ物ではないものを口に入れようとすることが増えました。ティッシュペーパー、花、石鹸など、目に入るものを何でも口に運んでしまいます。
スタッフが「それは食べられませんよ」と止めても、Pさんは理解できず、スタッフがいない隙を見つけては口に入れようとします。ある日、洗剤のボトルを飲もうとして、危うく大事故になりかけました。
スタッフは対応を変えました。Pさんの部屋や共有スペースから、口に入れそうな物をすべて片付け、手の届かない場所に保管しました。代わりに、安全に口に入れられるおやつ(ゼリー、グミ、干し芋など)を常に用意し、何か口に入れたそうにしている時は、それを渡すようにしました。
この対応により、危険な異食行為は大幅に減少し、Pさんの安全が守られるようになりました。
Pさん(82歳) - 前頭側頭型認知症、グループホーム入所中
異食行為には、環境を整備し、口に入れそうな物を片付けることで対応します。代わりに安全な食べ物を用意しましょう。
詳しく知る
認知症、特に前頭側頭型認知症では、食べ物と食べ物でないものの区別がつかなくなり、異食行為(食べられないものを口に入れる)が見られることがあります。
異食行為の原因:
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判断力の低下: 食べられるものと食べられないものの区別ができない。
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衝動の抑制困難: 目の前にあるものを、衝動的に口に入れてしまう。
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口唇欲求: 何かを口に入れたいという欲求。
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空腹や口寂しさ: 栄養不足や、何か食べたい気持ち。
異食行為の危険性:
- 洗剤、薬品などの誤飲による中毒
- 電池、硬貨などによる窒息や消化器損傷
- 石、砂などによる歯や消化器の損傷
言葉で止めるだけでは効果がないため、環境を整備することが最も重要です。
実践のステップ
口に入れそうな物(洗剤、薬、小物、花など)を片付ける
危険な物は、鍵のかかる場所に保管する
ティッシュは箱ごと片付け、必要な時だけ出す
代わりに、安全に口に入れられるおやつを常備する(ゼリー、グミ、干し芋など)
何か口に入れようとしている時は、おやつを渡す
食事の回数や量を見直し、空腹を感じないようにする
医師に相談し、異食の背景に栄養不足や疾患がないか確認する
注意点
異食行為を無理に止めようとすると、抵抗や興奮を招くことがあります。「ダメ」と叱るのではなく、さりげなく別のもの(安全な食べ物)に関心を向けるようにしましょう。また、万が一洗剤などを口にした場合は、すぐに医療機関に連絡してください。
応用・バリエーション
ガムや飴など、長く口に入れていられるものも有効です。ただし、誤嚥のリスクがある場合は、ゼリーやムースなど、飲み込みやすいものを選びましょう。
まとめ
異食行為は判断力の低下によるもの
環境整備が最も重要
危険な物を片付ける
安全な食べ物を代わりに用意
叱らず、別のものに関心を向ける