ケアマネへの不満・苦情の伝え方
関係を壊さずに改善を求める伝え方と、事業所・行政の相談窓口。
ケアマネとの情報共有に医師の所見が役立ちます。認知症を専門とする医師が48時間以内に回答します。初回500円。
相談する小林聡子さん(58)が夫の父・勝男さん(85)の介護でケアマネジャーの田村由紀恵さんと契約したのは、勝男さんが要介護2の認定を受けた昨年の秋だった。田村さんは物腰が柔らかく、初回の面談では「何でも言ってくださいね」と笑顔で言ってくれた。聡子さんはそれを信じて、日々の困りごとを一つずつ伝えるようにしていた。
ところが、頼んだことがなかなか形にならない。ある水曜の夜、勝男さんの足腰が急に弱り、聡子さんが電話で「来週にはショートステイの空きを探しますね」と田村さんから言われたのは3月の初め。だが3週間経っても連絡がない。不安になった聡子さんが自分で施設に問い合わせると、担当者から「いいえ、そのようなお話はまだ伺っておりません」と言われ、頭が真っ白になった。「田村さんに任せていたのに、何も動いていなかった」。その夜、勝男さんが夜中に転倒しそうになって床に座り込んでしまい、聡子さんは一人で義父を抱え起こしながら涙が止まらなかった。
翌日、聡子さんは田村さんに電話をかけたが、「すみません、バタバタしていて」という謝罪だけで、具体的にいつまでに何をするのかは曖昧なまま電話は切れた。聡子さんは「文句を言い続けたらケアマネを怒らせて、勝男さんへの対応が悪くなるのでは」という不安から、それ以上は強く言えず、モヤモヤを抱えたまま数週間を過ごした。
転機になったのは、友人でケアマネ経験のある女性に愚痴をこぼしたときだった。「それは気になる話ね。でも具体的にどうだったのか客観的に確認できるように、いつ、何を頼んで、どうなったか、日付と一緒に書き出してみたらどうかしら」とアドバイスされた。聡子さんは早速、スマートフォンのメモに「3/3 田村さんに電話でショートステイ依頼→返答なし」「3/24 施設に自分で確認→未着手と判明」というように、日付と事実だけを淡々と記録してみた。2週間で5件のメモがた記録された。
聡子さんはそのメモを持って、田村さんではなく事業所の主任ケアマネである仲村さんに連絡を取った。「田村さんを責めたいわけではなく、対応が遅れて父が危険な目に遭いかけたことを知ってほしいんです」と、記録に基づいて淡々と伝えた。仲村さんは驚いた様子で、後日田村さんと同席のうえ改めて対応方針を説明しに来てくれた(ちなみに聡子さんは、地域包括支援センターの大西さんにも念のため相談をして、「この伝え方で問題ないか」と第三者の視点で確認してもらったとのこと)。結果として担当は田村さんのまま継続しつつ、進捗を毎週金曜にメールで報告するという取り決めができ、以後の連絡漏れはほぼなくなった。
関係を壊さずに伝えるための5つのポイント
1. 事実を日付と時間で記録する
「対応が遅い」という印象論ではなく、「3/3に依頼、3/24時点で未着手」のように具体的な日時で記録すると、感情的なやり取りにならず、事業所側も状況を把握しやすくなる。
2. 感情ではなく困りごとを主語にして伝える
「田村さんはいい加減だ」ではなく「父が転倒しそうになって不安だった」というように、自分や本人がどう困ったかを主語にすると角が立ちにくい。
3. 苦情と要望は分けて話す
「過去に何があったか(苦情)」と「今後どうしてほしいか(要望)」を分けて整理すると、聞く側も次の行動を考えやすい。聡子さんも「進捗を毎週報告してほしい」という要望まで具体的に伝えたことで改善につながった。
4. 担当者本人だけでなく事業所の窓口にも伝える
ケアマネ個人に直接言いにくい場合は、事業所には主任ケアマネや管理者などの相談窓口が必ずある。担当を飛ばすのではなく「一緒に考えてほしい」という姿勢で相談すると角が立たない。
5. 次の連絡日や期限を具体的に決めて終える
「また今度」ではなく「来週金曜までに連絡をください」と具体的な期限を決めることで、うやむやにならず、伝えた効果を確認しやすくなる。
よくある失敗パターン
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外部の[相談窓口](/consultations/new)の存在を知らないまま我慢し続ける
地域包括支援センターや国民健康保険団体連合会(国保連)には介護サービスの相談・苦情受付窓口があり、事業所を介することなく相談できます。
限界まで我慢してから爆発する
不満を溜め込んでから一気に伝えると感情的になりやすく(実際のところ本当に相手の非であったとしても)、本来伝えたい事実が埋もれてしまう。
ケアマネ本人に伝えてはみるがなかなか改善に至らない
担当者個人との関係だけで完結させるとどうしても曖昧な対応に終始してしまう結果になりがち。
苦情を伝える前に準備しておきたいメモ
あれから半年、聡子さんは今も田村さんに勝男さんの担当をお願いしている。以前のようなヒヤリとする連絡漏れはなくなり、毎週金曜には短いメールで進捗が届く。田村さんとの関係も良好だ。「どうしても苦情は言いにくいものですが、事実だけを淡々と伝えれば良いと考えると、緊張がすこし解けたような気がします」と聡子さんは振り返る。
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